第10話
お名前は?
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ショッピングモールでの出来事の後、雄英は敵の動きを警戒して、例年使っていた合宿先をキャンセルし、当日まで明かさない運びになった事を相澤先生から聞かされた。
私は相澤先生に、
ショッピングモールでの出来事を話すと…
「警察がヒーロー達と連動して敵連合の情報収集に当たってくれてるそうだ。だからお前は心配しなくて良い」
『……本当に、大丈夫でしょうか…』
「何かあれば必ず俺達プロが守るさ。だから安心しろ」
『ーー!、…はいっ』
やっぱり、プロが言ってくれると心強いな…。
そうだよね。きっと大丈夫…。
相澤先生の力強い言葉に、私の中にあった不安な気持ちがどんどん消えて無くなって行くのが分かった。
ーーこうして
林間合宿当日!
「いよいよ今日から林間合宿が始まる。この合宿で諸君らには更なる高みへと目指してもらいたい。……そこで、君らの補助・サポート役として、今回特別ゲストに来てもらった」
「おぉ!」
「誰⁉︎ 女の子⁉︎」
「オイ、一言あいさつを」
『は、はいっ!』
私は相澤先生の後ろから、みんなの前にひょっこり姿を現した。
『今回みなさんの補助・サポートをさせてもらいます、
1年C組普通科の苗字 名前です。1週間よろしくお願いします』
緊張しながら挨拶すると、おぉ〜!とみんなから驚きや歓喜の声が上がった。
「体育祭で"仮想敵"直してた人だー!」
「あぁ、あの時の人か!」
「苗字じゃん!えっ、普通科も参加したり出来んの⁉︎」
「あれが噂に聞いていた轟の彼女か…!チクショウ、こんなキャラデザじゃなけりゃオイラだってあれくらい可愛い女子にモテまくんのによー!」
早速何か色々誤解されてるッ!⁉︎
…というか、私のこと意外と知ってくれてる人が多いのにビックリ。
やっぱり体育祭の影響が大きいのかな?
ふと、視線の先にかなりビックリした様子の轟くんと目が合い、私は少し困った顔で笑う。
轟くんにも言ってなかったからなぁ…。
何となく言って良いのかよく分からなかったし…そりゃビックリだよね。
「苗字の個性は"修復"だ。お前らが怪我した時や、何かを直して欲しい時は苗字に言えば修復してくれる。だから遠慮せず個性を最大限まで引き出せよ」
「はい!」
みんなの威勢の良い声に、私もやる気スイッチが入った。
頑張ってみんなの役に立てる様、全力でサポートするぞ…!
その後、バスが到着するまでの間待機していると、
轟くんが私に近付いて来るのが見えた。
「名前、お前も合宿呼ばれてたんだな」
『そ、そうなの!私も急に言われてビックリしちゃって…』
ヒーロー科編入も兼ねてるんだけど、相澤先生から内密にって言われてたし、正直に話せないんだよね…。
「そうなのか。そんな事もあるんだな」
『ねっ?分かんない事もあるもんだね〜…』
「全くだッ!」
『!!』
私達の会話が聞こえていたのか、大きな声で割って入って来る人物に視線を向けると、そこには相変わらず怖い顔で私を睨み付ける爆豪さんが居た。
「どんな汚え手使やあ、てめーが合宿に参加出来んだ⁉︎ 俺に体育祭で証明するとかデカイ口叩いておきながら、あっさり予選敗退してた奴がよぉ⁉︎」
『ゔっ…。そ、それは…』
痛いとこを突かれ、私が何も言えずにいると、私を庇う様に1人の男子が目の前に現れた。
「そ、それは違うと思うよ…かっちゃん。苗字さんの個性が評価されたから、こうやって僕らのサポート役に任命されたんじゃないかな…?」
『…!』
この人は確かーー…緑谷くん!
体育祭で轟くんと戦った人だ…。
私のこと庇ってくれた…?
何て優しい人…!
「あ"ぁ"ん!⁉︎ やんのかデクてめー!」
「止めろって爆豪!緑谷の言う通りだ。せっかく俺たちのために来てくれてんだから感謝しよーぜ?」
「しねぇわ!」
爆豪さんが緑谷くんに掴み掛かろうとした所で、後ろから赤髪のツンツン頭の人に止められ、反対側へと引っ張られて行く。
その光景を見て以前も同じ様なくだりがあった事を思い出し、あの赤髪の人は爆豪さんのストッパー役なのだと理解した。
「…ご、ごめんね?怖い思いさせちゃったよね?基本みんな良い人だから気にしないで」
『うん、大丈夫。庇ってくれてありがとう緑谷くん!凄く嬉しかったよ』
「そんなっ…、大袈裟だよ!ぼ、僕はただ本当の事を言ったまでで……体育祭の映像観てた時、本当に凄いって思ってたんだ」
そう言うと、緑谷くんはいきなり目を輝かせて少し興奮した様子で私に詰め寄る。
「苗字さんの個性って生物と物質どっちにも使えるんだよね⁉︎それって凄く珍しいんだよ!回復系なんてただでさえ希少価値があるのに、その上更に物質にまで使えるなんて万能性高過ぎるし、きっと色んな場面でーー」
「緑谷。名前が困ってる」
「えっ⁉︎」
轟くんの一言に緑谷くんがハッとして私に顔を向ける。
実際私は、さっきまでの弱々しい感じの緑谷くんと明らかに様子が変わった事に少しビックリして固まっていた。
緑谷くんはそんな私を見て、申し訳なさそうな表情をする。
「ご、ごめん!僕…他の人の個性を分析するのが好きで、つい熱くなっちゃうクセが…」
『…あははっ!ビックリした〜。緑谷くんって思ってたより面白い人なんだね?』
「えっ!面白い⁉︎…は、初めて言われた…大抵みんな引いちゃうか、同じ趣味でノッて来るかのどっちかだから…」
『好きな事をそんなに熱く語れるって素敵な事だよ!
それだけ分析出来れば、戦闘でも有利になりそうだね?好きな事も突き詰めて行けば1つの武器になるって言うし、これからもどんどん続けて行ってね!』
「…っ!、ありがとう…!」
緑谷くんは大きな瞳をキラキラと輝かせながら、嬉しそうに笑ってくれた。
そうこうしてる内にバスが到着。
途中B組に煽られたりしながらも、私はこれから始まるヒーロー科との日々に内心ワクワクしていた。
けれどそのワクワクも直ぐ様打ち砕かれ、私はヒーロー科の本当の厳しさを目の当たりにする事となる…。