第7話
お名前は?
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「もうすぐ出番だろう。こんな所で油を売ってる場合か」
エンデヴァーは私達を
私は昂る気持ちを抑えつつ、エンデヴァーに近付いた。
『エンデヴァー!』
「…? 何だ、キミは」
エンデヴァーは眉を潜めながら私を見る。
『私っ…、昔火事に巻き込まれた時に、エンデヴァーに救ってもらったんです!あなたは命の恩人です!私、あなたに憧れてヒーローにーー』
「ーー悪いが、今まで救った人間などごまんといる。いちいち助けた人の事など俺は覚えていない」
エンデヴァーは私に興味なさげに、冷たく言い切る。
『…あっ……そう、ですよね…』
当たり前だ。
自分にとって特別な人だからって、相手もそうだとは限らない。
しかも私が幼少の頃の話だ。
見た目だってきっと変わってるはず。
そんな昔の事を覚えてるハズがない。
ーーけど…、
『それでもあなたは、私が憧れ続ける人です。私は、あなたを一生忘れません』
エンデヴァーは何も言わずただ私を見つめる。
私はエンデヴァーにお辞儀をし、そのまま背を向けた。
『行こう、心操くん』
「…あ、あぁ」
少し戸惑い気味の心操くんに声を掛け、私達はその場を後にした。
「さっきの話し、初耳だけど」
『えっ?』
観覧席に戻って席に着くと、心操くんは気になった様子で突然そう聞いて来た。
「火事に巻き込まれたって…」
『…あぁ、そうだったね……もうずいぶん前の事だよ。死を覚悟した私を、エンデヴァーが助けに来てくれて……』
「もう大丈夫だ。君を助けに来た」
脳裏に、あの日私を救い出してくれたエンデヴァーの言葉がよみがえる。
助かったんだ…。
私、生きてるんだ…。
ヒーローが目の前に現れた瞬間、薄れる意識の中でそう思った。
ーーそれが私の、救いのヒーローの原点。
『…その時に私もエンデヴァーの様に人を救いたいと思って、ヒーローを目指したんだ』
「………」
心操くんは何かを考え込む様に黙ると、言いにくそうに口を開く。
「……もしかして、親御さんってその時にーー」
《お待たせしました!!続きましては〜〜こいつらだ!》
マイク先生の声に心操くんの声がかき消され、何を言っていたのか聞き取れなかった。
『ごめん!何て言ったの?』
「…いや、何でもない」
『?』
心操くんは何故か遠慮すると、スタジアムの方に視線を向けた。
私も深く気にせず、釣られてスタジアムを見つめる。
《優秀!!優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ!ヒーロー科、瀬呂範太!!
…轟くん……大丈夫かな…?
さっきの轟くん…すごく不安定に見えた。
自分で自分を苦しめている様な…そんな感覚…。
《
マイク先生の開始の合図と共に、瀬呂と呼ばれた人が肘からテープの様な物を伸ばすと、それを轟くんの体にグルグルに巻き付け、そのままリングの外へと引き摺る。
ーー轟くんが場外に放り出される⁉︎
…そう焦った瞬間だった。
『ーーえっ…?』
突如、目の前に現れた氷の氷山。
ヒンヤリとした冷気が肌を伝う。
それは、轟くんから発せられた氷結。
けれどその大きさは、今まで見た物と違い、スタジアムのドームを飛び越えるほど巨大な物だった。
「瀬呂くん行動不能!!轟くん2回戦進出!!」
どんまいコールが起こる中、凍って動けない瀬呂くんの氷を、轟くんは左手で溶かしていた。
『……ひだり…』
食堂で話していた、もう一つの力。
それが左手と何かが関係してそうに見えて、私はそこから目が離せなかった。