第7話
お名前は?
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結局、轟くんとは気まずい別れをしたまま、
昼休みは終了。
私は重く沈んだ気持ちを抱えながら、1-Cの控え室へと戻って来ていた。
……まさか轟くんのお父さんが、
私の尊敬するエンデヴァーだったなんて…。
本来なら喜ばしい事で、轟くんに聞きたい事たくさんあるのに、さっきの轟くんの様子を見た後じゃ、その気持ちも素直に喜べない。
私は深い溜め息を吐く。
轟くん、どうしてあんなにお父さんを憎んでるの…?
「…どうしたんだよ、暗い顔して」
『ーー!、…心操くん…』
顔を上げると、心操くんがいつの間にか私のそばに来て、心配そうに顔を覗き込んでくれていた。
『ちょっと…色々、あって…』
「……」
『…な、なに?』
心操くんはじーっと私の顔を見ると、何かを見透かした様に目を細める。
「どーせ轟だろ」
『えっ…!な、何で分かったの?』
「分かるよ。苗字の考える事なんて」
真剣な顔でキッパリと言い切る心操くんに、私は思わず動揺した。
『……心操くんには、隠し事出来ないね?』
そう言うと心操くんはフンッ、と得意げに鼻を鳴らす。
「当たり前だ。つか、俺じゃなくてもすぐバレるだろ。お前、分かりやすく顔に書いてあるから」
『えっ!うそっ?』
思わず頬に手をやると、心操くんは呆れた様に「やっぱバカだな」とお得意の毒を吐く。私が言い返そうとすると、それよりも先に、心操くんは私に言葉を投げかけてきた。
「…で、何があったんだよ?話しくらいなら聞く。言いにくい事なら別に無理に聞かないけど」
……心操くん、心配してくれてるのかな?
口ではからかったりしてくるけど、
こういう時の心操くんって、やっぱ優しいんだな…。
『……ありがとう。でも、もう大丈夫。心操くんの優しさに少し気が紛れたよ!』
そう言って笑うと、心操くんは少し照れた様子で私から顔を逸らす。
「別に…。俺はただ、お前が落ち込んでるとコッチの調子が狂うから…」
『でも、気にかけてくたのは事実だし、それでも私は嬉しいよ』
「………」
心操くんは何も言わずに、じっと私を見る。何か言いたげな様子に私が首を傾げると、心操くんは真剣な眼差しで口を開いた。
「…あんま無理すんなよ。お前、辛い事とか全部1人で抱え込むタイプだろ。苦しい時は頼れよ……俺に」
『…えっ…?』
「……そんだけ」
そう言って心操くんはくるりと背を向けると、私から離れて行った。
『………』
まるで、全部見透かした様な心操くんの言葉に、私の本心を見抜かれたみたいで、恥ずかしいのに…何故かそれが嬉しかった。
…頼れよ、か…。
まさか、心操くんからそんな言葉が聞けるなんて。
ちょっと、一瞬…ときめいてしまった。
そうこうしている内に、午後の部が始まり、私達はスタジアムへと足を運んだーー。