第6話
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『なに…このステージ…⁉︎』
暫くコースを突き進んでいると、目の前に信じられない光景が飛び込んで来た。
広大な土地一面が底の見えない崖と、そこから生える様に細長い円状の土地がそびえ立っている。
しかも移動手段はたったロープ1本のみ。
まるで綱渡りみたいだ…と思った。
《落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォーーール!!!》
『…これ、落ちて助かるんですか…?』
綱渡りより、そっちの方が気になった。
けれど最初は怖気付いていたヒーロー科や他の科の人達も、徐々に個性を使ったり、地道に綱渡りしながら突き進んで行く姿を目の当たりにし、私も触発される。
『うぅっ……怖気付いてちゃダメだ…!』
流石に個性を使って土地を修復するのには時間がかかるし、この広さではまた使い過ぎてしまう。
仕方なく、私は地道にロープを渡っていく。
…し、下見ちゃダメだッ!!
前だけ見よう!!
精神統一しながら進む事だけを考える。
疲れたら時折体を修復しながら、何とか最後まで突き進み、無事ステージをクリアした。
『私、何とか食らい付いてるよね…?』
1つ1つ、確実にクリア出来ている事に少し希望が見えて来た。
このまま必死に付いて行けば、きっと…!
昂る気持ちを抱えながら、私は次のステージへと進んで行く。
その途中、地響きを起こす程の爆発音が前方から聞こえ、顔を上げた。
『なに今の⁉︎ 地雷のステージからだよね⁉︎』
見ると、何かが空中を飛んでいるのが目に入った。
モジャモジャ頭のあの人は確かーー。
『…ヒーロー科に居た人!!』
それは以前、心操くんとヒーロー科に突撃した時に、爆豪さんに絡まれた後フォローしてくれていた人だった。
《後方で大爆発!⁉︎ 何だあの威力⁉︎ 偶然か故意かーーーA組緑谷、爆風で猛追ーーー…っつーか!!抜いたぁぁぁーー!!》
緑谷と呼ばれた人は、先頭にいた轟くんと爆豪さんを追い越し、一位の座を奪い取っていた。
『……緑谷くんか…凄いな…』
みんな必死なんだ。
みんな本気でヒーローを目指してる。
だって、ヒーローになりたくて集まって来たんだもん…!
『ーーもちろん、私だって……!!』
闘争心が燃え上がる。
負けたくなくて、私は両手を地雷が埋まっている地面に這わせた。
個性を使って、みんなが気を取られてる間に……一気に駆け抜けるッ!!
『地面を……修復ッ!!!』
念じた瞬間、地面から残った地雷がボコボコと浮き上がってくる。
「な、何だっ⁉︎」
「地雷が勝手に出てきた⁉︎」
予想通り、みんな急な状況に気を取られている。
その隙に私は地雷を避けながら、猛ダッシュした。
《おーっと!⁉︎このとんでも状況!!またしても普通科の苗字の個性かぁぁーー!⁉︎》
ーーーいける…!!
次々にみんなを追い抜いて行くごとに、自信が満ち溢れてくる。
ーーー私も、ヒーローに…!!
「さすがだな、苗字」
『ーー⁉︎』
聴き慣れた声に振り返ると、私の後を追う様に心操くんが後ろから付いて来ていた。
「やっぱライバルと認めただけはあるな!勝ち上がってやろうぜ……一緒に」
ーー心操くん…!
そう言ってニッと笑う心操くんに、胸が熱くなる。
私を認めてくれてるんだ、って…。
『…っ、…うんーーーー』
ーーあ……れ……?
答えた瞬間、何故か体がスイッチを切ったかの様に動かなくなった。
なん、で……急に……⁉︎
「ーーお前はホント、詰めが甘いよな…」
私の状況を理解しているかの様に、心操くんは不敵に笑いながら言い放つ。
言ってる意味が分からなくて言い返したいのに、言葉が出てこない。
だんだん意識も
「言っただろ?……"お前にも容赦しない"って」
まさか…!
これが、心操くんの個性…⁉︎
ふと、入学式の自己紹介の時に話していた場面が脳裏によみがえる。
「心操人使です。個性は……"洗脳"です。洗脳に掛かった人は何でも言いなりにできます」
ーーやられたッ……!!
「…そのまま試合が終わるまで立ち尽くしていろ」
薄れる意識の中、そう言った心操くんの言葉を最後に、
私は意識を失ったーー…。