第6話
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ーーいよいよ……この日がやって来た!
待ち望んだ雄英体育祭当日、私たちは間もなく始まる入場の時間まで、1-Cの控え室で待機していた。
『フゥー……き、緊張してきた〜…』
私は興奮して止まない心臓を落ち着かせようと深呼吸を繰り返すが、高まる鼓動は中々鎮まってくれない。
落ち着け私ー!
緊張し過ぎて体ガチガチになってるよ!
「そんな調子で大丈夫か?手が震えてるぜ」
『し、心操くん…!』
心操くんはそんな私の様子を面白そうに眺めながら言った。
「体育祭で証明するんじゃなかったのか?」
『ちょ、更にプレッシャーかけないで下さい…!今落ち着かせてるんだから!…っていうか、心操くん何でそんな涼しそうな顔出来るのッ⁉︎余裕ありすぎだよ!』
全く緊張の素振りも見えない心操くんは、これまた余裕の表情を浮かべながら言った。
「絶対勝ち上がるって決めてるから」
『……なるほど』
ちょっと今、納得してしまった。
その意思の強さが心操くんの心の強みなんだ。
そういうとこ、私も見習わなきゃ…!
《群がれマスメディア!今年もお前らが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!??》
そうこうしてる内に、プレゼント・マイク先生の開始の挨拶が耳に届く。
「出るぞー。準備しろよみんなー」
そう言って扉から入って来た担任の掛け声により、私たちは会場へと足を運んだーー。
《雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!》
マイク先生のテンポの良い解説が響き渡り、スタジアムの熱を盛り上げる。
《どうせてめぇらアレだろ、こいつらだろ!⁉︎敵の襲撃を受けたにも
ワァーと歓声が沸き起こる中、1-Aの生徒たちが入場する様子を私は後ろから眺めていた。
『す…すごい歓声』
そりゃそうだ。体育祭は本来いつだってヒーロー科がメインとして扱われる。
それに、今年は何かと話題のヒーロー科だから、よりいっそう盛り上がってるんだろう…。
にしてもーー…。
《B組に続いて普通科C・D・E組…!!サポート科F・G・H組もきたぞー!そして経営化…》
ーー私たち、サラッと流し過ぎじゃないですか⁉︎
「俺らって、完全に引き立て役だよなぁ」
「たるいよねー…」
クラスメイトの人達も、自分達が全く注目されてない事を察してか、自暴自棄な発言をしていた。
心操くんもその様子を気にしてるみたいだったので、こそっと耳打ちする。
『他のみんなって、やっぱり本気でヒーロー目指そうとはしてないのかな?』
「そうだろうな。多分本気なのは俺たちだけだ」
そう言うと、心操くんは何かを決意した様な眼差しで私を見つめる。
「普通科にも本気でヒーロー目指してる奴がいるって所……見せてやるぞ、苗字」
『ーー!、…うんっ!』
私たちはスタジアムに整列すると、ミッドナイト先生が愛用のムチをピシャリと鳴らしながらやってきた。
「選手宣誓!!」
……ミッドナイト先生。
相変わらず、すごいセクシーな格好だなぁ…。
女の私でも何だか緊張しちゃう…!
ミッドナイト先生はそんな事にはお構いなしに、騒ぐ生徒に「静かにしなさい!!」と叫ぶと、ヒーロー科へと視線を向け、声を上げる。
「選手代表!!1-A、爆豪勝己!!」
『…えっ…』
えぇ〜!⁉︎
爆豪さんが選手宣誓するのッ⁉︎
な、何て言うんだろう…。
爆豪さんは演壇に上がると、ポケットに手を突っ込んだままやる気のなさそーな態度で口を開いた。
「せんせー。俺が1位になる」
「ふざけんなー!」
「調子乗んなよA組オラァ!」
そう言った瞬間、生徒全員から一斉にブーイングコールが上がった。
爆豪さんはそんな様子を物ともせず、親指を下に向けて私たちを見下す。
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
…爆豪さんには、スポーツマンシップという概念がないんだろうな……。
『…さっ…さすが爆豪さん……ブレないね?』
隣にいる心操くんにそう言うと、心操くんは私を見ることなく視線を前に向けたまま、爆豪さんを少し睨みつける。
「あぁ。相変わらず偉そうでムカつくな。…だから意地でも"やってやる"って思う」
『……うん。そうだね』
心操くん、さっきからずっとやる気が凄い…。
自分で士気を上げて追い込んでるんだ…。
これが、本気でヒーローを目指している人の意思の強さ。
…だから、私も負けちゃいられない!
絶対良い成績残して、ヒーロー科編入するんだッ!!