第4話
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あのね、今日不思議な夢を見たの。でも、どこか懐かしくもあって……幼い轟くんが木陰で泣いてて、私から声をかけて、腕に出来た青痣を私の個性で治してあげたの。それが初めての出会いでーー…』
私は見た夢をそのまま轟くんに話すと、轟くんは黙って頷いたり、嬉しそうに目を細めながらずっと話しを聞いてくれた。
『ーーそれで、"私がヒーローになったらチーム組んでくれる?“って言ったら、轟くんが“任せて、ぼくが名前ちゃんを守るよ”って言ってくれたの。それを最後に目が覚めて…でも、これが本当に全部あったことなのか分からなくて……。あの、これって、本当に…』
「あった」
『えっ…』
轟くんを見ると、優しい顔で私を見つめ返し、コクリと頷く。
「全部、本当にあったことだ」
『やっぱり、そうだったんだ…!』
事実と分かり、嬉しさが込み上げてくる。
ようやく少し記憶を思い出す事が出来た。
けれど…。
『でもね、1番大事な約束をまだ思い出せてなくて……ごめんね?』
「気にするな。少しずつ思い出せてんだし、焦らなくていいだろ」
『うん…。そうだね…』
私が思い詰めないように優しい言葉をかけてくれる轟くんも、充分優しい人だよ…。
約束、早く思い出したいなーーー
……ん?
でも、これって…。
私は単純に思い付いた疑問を聞く事にした。
『…ねぇ、轟くん?』
「何だ?」
『”約束“ってさ、直接教えてもらうのはダメなの?』
大事な約束なら、轟くんに直接聞けばいいんじゃないかって思った。そしたら、ずっと悩まなくても済む問題だってーーー
「ダメだ」
『ーーえっ…?』
まさかの一言だった。
予想外過ぎて言葉に詰まっていると、真剣な表情で轟くんは私を見据える。
「今ここで言えばお前はきっと困ると思う」
『…困る…?』
「お前は優しいから……考えすぎて、思い悩むだろうな。だから、ダメだ」
『……そんなに?』
そんな含みのある言い方されたら余計に気になるんだけど…!!
悶々としていると、フッと轟くんは口元を緩める。
「そんな顔しなくても、言うべき時が来たらちゃんと言うから…だから、気にすんな」
『………分かった』
本当は気になるけど…。
轟くんにそこまで言われちゃ仕方がない。
「それよりーー…」
『?』
轟くんは首を傾げながら、じっと私を見つめる。
「俺の事、好きになってくれたか?」
『ーーッ!!』
ドクンッと心臓が大きく脈打つ。
そうだった……。
もともとは、付き合って欲しいから好きになってもらえるよう頑張るって、轟くんに宣言されてたんだ…!!
記憶を取り戻すことばっかり意識しちゃってた…。
「俺は何回か好きだって伝えてるが、肝心のお前からはまだ何も聞いてないぞ?」
『えっ!あっ、そそそのっ、わ、私は…!』
何て言えばいいか分からなくて、言葉が出て来ない。顔も熱い。
私は、轟くんのこと……どう思ってる?
優しくて、カッコよくて、私をこんなにも思ってくれて、申し分ないくらいだ。
でも、これは……“好き”なの?
あたふたしていると、じっと私の顔を見つめていた轟くんが突然吹き出した。
「フッ…、悪ィ、そんな慌てるとは思わなくて……からかって悪かった」
『えっ……からかってたの⁉︎』
「まぁ、半分本気だけどな…。けど、そんなに真っ赤になる所見れたんなら良かった」
『よ、良かったって……何が良かったの?私が面白い反応したから?』
反応が面白くてからかわれたんだと、少しむくれながらそう言うと、轟くんは少し目を細めて何だか試す様な視線を私に送る。
「いや…、
今俺の事、意識してくれたんだろ?」
『ーーっ…!』
「もっと意識してくれ。頭ン中、俺の事しか考えられないくらい…。そうなったら、俺の事好きになってくれたって事だろ?」
轟くんはそう言って微笑む。
……轟くんが、こんなに恋愛感情をストレートに伝えてくる人だとは思わなかった。
天然で、言葉数少なそうに見えるのに、伝える時は大胆で積極的だ。