第3話
お名前は?
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「…で、この問1の例題だがーー」
いつもと変わらない授業風景。
だけど、さっきの出来事から立ち直れない私は、
半ばぼーっと授業を受けていた。
何か今日は散々だなー…。
何でこう、ことごとくついてないんだろう…。
ーーそれは突然起こった。
キィーーーン…
『…えっ?』
突然、マイクがハウリングする音が教室内に響き渡った。私以外の生徒たちも何事かとざわめく。
《生徒の諸君、授業中に邪魔してしまってすまないね》
…この声は……校長先生⁉
何で急に…?
《突然だが、今多数の敵がUSJに侵入し、ヒーロー科生徒達と交戦しているとの情報が入った。今動けるプロヒーローの先生方は、大至急職員室まで来てくれ。それ以外の先生方は担当のクラスで待機して、警察が到着するまでの間、生徒達の安全を確保して欲しい》
敵が侵入⁉︎
しかも、ヒーロー科の生徒達と交戦…⁉︎
ーーー轟くんは無事なの⁉︎
脳裏に、昼間出会った赤い瞳の男がフラッシュバックする。
……まさか!
あの男が雄英に……⁉︎
不安に駆られていると、落ち着いたトーンで、それでいて力強く校長先生は言葉を続ける。
《生徒の諸君、恐れる事はないよ。私たちプロヒーローが、必ず君たちを命懸けで守るからさ!だから、君たちも私たちを信じて欲しい。必ず勝利は我々の手で掴んでみせるさ!》
そう言い残し、校内放送は途切れた。
「今の放送本当なの⁉︎」
「また間違いなんじゃないのか…?」
「みんな落ち着け!校長先生の指示に従って、警察が来るまで落ち着いて待機だ!」
混乱したクラスメイト達を必死に先生がなだめる姿を横目に、私は携帯を手に取ると、轟くんにメールを送ろうとした。
"轟くん、大丈夫⁉︎ もし無事なら返信して欲しい。"そうメールに打ち込み、すぐに送信した。
『……轟くん……』
お願い…。
無事でいて…!!
私はその場で、ただそう祈る事しか出来なかった。
しばらくして警察が雄英に到着し、警察の人から"雄英のプロヒーロー達が敵を退治し、無事ヒーロー科も全員救出した”と聞かされた。
報告を受けた瞬間、教室内は歓喜に湧く。
中には不安や緊張の糸が切れたのか、涙ぐむ子もいた。
その光景を見て、ようやく私も平和が訪れたんだと実感して胸を撫で下ろす。
良かった…。
みんな無事なんだ…。
チラリと心操くんの方を見ると、眉間を寄せて何だか難しそうな顔をしていた。
さっき後味悪い感じになっちゃったし、話しかけるならココしかないっ!
『みんな無事で良かったね!』
「………そうだな」
心操くんは私が話しかけた事に一瞬驚いた様子だったけど、すぐに視線は外され、伏し目がちにそう答えてくれた。
良かった!
一応、返事はしてくれる。
安心した私は更に言葉を続けた。
『やっぱりヒーローは凄いよね!私たち普通科じゃ、到底ヒーローにはなれそうにないや…』
そう言い終わる瞬間、心操くんがキツく私を睨みつける。その表情に背中がサァーっと冷えてくのが分かった。
「勘違いするなよ」
『……えっ…?』
「俺は、ヒーローを諦めたからここにいるんじゃない。ヒーローを諦めてないからここにいるんだ。最初からヒーローを諦めてるお前と一緒にするな」
『ーー!!』
……心操くんも、ヒーロー科志望だったの…?
今、初めて聞いた…。
「…普通科にいる奴らの中には、俺みたいにヒーロー科落ちたから入ったってのも多いんだよ。……お前もそうなんだろ?」
『………うん』
「じゃあ何で諦めたんだよ?何でここにいるんだ?雄英のブランドが欲しいだけか?」
『ちがっ…!』
「違うなら、何で簡単に諦めるんだ」
『それは…っ』
最初は、本気でヒーローを目指してた。
憧れだった雄英に入って、ヒーローになったら、私の個性で1人でも多くの人を救いたいって…
でも……。
「お前は普通科の生徒だ。敵と対峙した所で返り討ちにされるだけだ」
「戦えねェんだったら引っ込んでろッ!このモブ個性がッ!!」
私は…"敵と戦えない”…。