第3話
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……アイツ、また昼休みに来てたぞ」
"アイツ" とはもちろん、轟くんのことなんだろう…。
『そうなんだ…でも私寝坊していなかったからなぁ…』
「やっぱ寝坊かよ。つかどんだけ寝てんだ…って、今はそんなことどうでもいい」
心操くんのノリツッコミ…!
き、貴重だ…。
「それで……ちょっと言い合いになった」
『えぇ⁉︎ な、何で⁉︎』
予想外の展開に驚く。2人が言い合いになる原因が全く想像つかない。
「あんま詳しくは言いたくないけど……まぁ先に喧嘩売ったのは俺からか」
『心操くんから⁉︎』
ますます訳が分からない!そういうの逆に
しなさそうなイメージだった…。
ふと、先程の轟くんの言葉を思い出した。
「弁当……作ってきてんだろ?」
「……クラスの奴から聞いた」
『ーーもしかして、お弁当のこと?』
「…! 聞いたのか?」
『うん…。迷惑してるなら言ってくれって言われたから……私がお弁当作ってるのを知ってる人は、心操くんだけだから』
「お前はアイツに気を使って言えないだろうと思ったから、代わりに言ったまでだ。……それで、何て言ったんだよ?」
『迷惑はしてないって…言ったよ。ただ、お弁当を作ってきてるのは本当だから、これから行ける日は私から誘うからって』
そう答えた途端、心操くんの眉がピクリと吊り上がり、不愉快そうにコチラを見た。
「…お前、ホントお人好しだよな」
『お人好しって…私はただ、一緒に過ごせる機会があるなら、なるべく時間を取りたいと思ったから…』
「ーーッ…、あぁそうかよ。悪かったな。余計な世話焼いて」
あれ…?
また機嫌悪くなった…?
『……何で、心操くんが怒るの?』
「………」
『私、何か気に障ること言った?』
「……んねぇよ」
『…えっ?』
「俺だって分かんねぇよ…!ただ、無神経なお前見てると無性に腹立つんだよ」
『!』
そう言うと心操くんは私を視界に入れない様に顔を逸らす。その肩越しからは静かな怒りが伝わってきた。
心操くん……。
ショックだった。
ショック過ぎて言葉が出てこない。
無神経、か……。
私、気づかない内に心操くんのこと傷付けちゃったのかな…?
なぜ心操くんがこんなに怒っているのか分からないまま、午後からの授業が始まったーー。
ーーー✴︎✴︎✴︎
*心操視点*
俺は、一体どうしちまったんだ?
「お前の方こそ、その言動は名前に気があるみたいに聞こえるぞ?」
轟の奴にそう言われてから、全く動揺が収まらない。
教室に戻ってからも、ずっとその言葉が脳裏に焼き付く。
そうこうしてる内に、苗字が挙動不審気味に教室に入って来て席に着いた。
……落ち着け。
動揺を悟られるな。普通に接しろ…。
そう思っているのに……
『何か……機嫌、悪い…?』
ーー何で…
『…何かあったの?話聞くよ?』
ーー何で…!
『でも、何か変だよ?』
ーーー何で、こういう時だけ気付くんだよ!
「だからッ、何もねえって!!」
少し感情的になり、キツイ言い方で怒鳴ったせいで、苗字は驚きと困惑が混じった顔で俺を見つめる。
その顔を見た瞬間、一気に後悔が押し寄せた。
やめろ…。
そんな悲しそうな顔で俺を見るな…。
『……何で、心操くんが怒るの?』
俺だって分かんねぇんだよ。
お前が轟の事を話す度に、何故か無性にイラつくんだ…。
俺は…いつからこんな感情的になったんだ?
元々他人に興味なんてなくて、他人が何しようがどうでも良かったはずなのに…。
なのに、俺は…
「お前の方こそ、その言動は名前に気があるみたいに聞こえるぞ?」
俺はーーー…