第3話
お名前は?
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場所は何処か怪しげな雰囲気が漂うBAR。
その空間に突如現れた黒い霧のゲート。
その中から這いずる様に姿を現したのは、先程名前と対面した男だった…。
「危なかったですよ、死柄木 弔。もう少しで姿を見られる所でした」
空間に漂っていた黒い霧は、男の全身が這い出るとスゥっと人の形に姿を戻すが、顔は霧状態のまま漂い、怪しく光る両目だけがそこにあった。
「もうガキ1人に見られたよ…」
言いながら"死柄木”と呼ばれた男は、霧男の目の前のカウンター席に座る。
「ーー⁉︎ ……大丈夫なんですか?」
「大丈夫さァ……ただの雄英に通うガキだ。見られた所で、どうすることも出来ない」
死柄木はニタリと不気味な笑みを浮かべながら言った。
「予定通り……平和の象徴を殺しに行こう…」
ーー世にも恐ろしい瞬間が、あと数時間後に迫ろうとしていた……。
ーーー✴︎✴︎✴︎
『それじゃあ、午後からのヒーロー基礎学、頑張ってね!』
「あぁ……ありがとな」
私たちは昼食を食べ終えて、教室の廊下の分かれ道に差し掛かっていた。
「じゃあな」
そう言って背を向けて歩き出す轟くんの姿を見ていると、何故か急に胸騒ぎがした。
さっきの不気味な男の顔が脳裏にチラついて離れない。
『……ッ、轟くん!』
堪えきれなくて、思わず轟くんを呼び止めてしまった。轟くんは少し驚いた様子で振り返るけど、その目は優しい色をしていた。
「どうした?」
『…あっ……その、』
……どうしよう!
何も考えずに呼び止めちゃった…。
取り敢えず、当たり障りない言葉で…。
『……怪我、しないでね…』
「その時は、お前の個性で癒してくれ。…昔みたいに」
優しい眼差しでそう微笑むと、くるりと背を向けて教室へと歩き出す轟くんを、ただ見つめることしか出来なかった。
昔みたいに…か。
私は昔どんな風に轟くんと関わってたんだろう……。
今とはやっぱり違うのかな?
複雑な心境のまま、私は教室へと足を運んだ。
教室に近付いて行くと、「さっきの警報ビビったよな」「マジで焦ったよ〜」などとクラスメイト達が騒ぐ声が耳に届いた。
……何かあったのかな?
疑問に思いながらも、しれっと教室に入る。幸いまだ昼休み中だったため、気付かれることなく席に着けた。
『ふぅー……良かった、昼休み中で…』
チラリと隣を見ると、私の存在に気付いているのかいないのか、心操くんは頬杖をついて伏し目がちに何かを考え込んでる様だった。
『…お、おはよ』
「………あぁ」
心操くんはコッチを見ることなく、ボソッと小さく返事しただけだった。
……あ、れ…?
何か……。
『心操くん…?』
「……何だよ」
…やっぱり、何かいつもと違う。
確かに普段から愛想良いわけじゃないけど、
今日は特にーーー
『何か……機嫌、悪い…?』
「…っ!別に、普通だろ…」
図星なのか、一瞬表情がこわばったように見えた。
動揺…してるんだろうか。
『…何かあったの?話聞くよ?』
「……何もねえよ」
『でも、何か変だよ?』
「だから、何もねえって!」
『ーー!』
こんなに声を荒げる心操くんは初めてで、私は驚きのあまり固まってしまう。
そんな私を見て、心操くんは苦虫を噛んだような顔をした。
「……悪かった。大声出して」
『う、ううん……私もしつこく聞いちゃってごめんね?』
「謝るな。苗字は悪くないから……今のは完全に八つ当たりだった」
『八つ当たり…?』
…ってことは、やっぱり何かあったって事だよね?
でも聞かれるのすごい嫌がってたし…。
黙ってた方がいいんだろうな…。
「気になるんだろ。八つ当たりの理由」
『ーーえッ⁉︎』
「顔に書いてる……ホント分かりやすいよな、お前は」
心操くんは焦る私を見て軽くため息を吐くと、静かに話し始めた。