第21話
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ーーーあれから3日後。
轟くんとは未だに連絡が取れないままでいた。
……詳しく言うと、連絡を取ろうとメッセージを送ったのだけど、今は仮免補講で忙しいらしく、しばらくは連絡が出来ないと返信が来たのだった。
なんでも、もうすぐ仮免補講の最終テストがあるらしい。それに合格すれば、轟くんも爆豪くんも晴れて仮免取得になる。
大事な時期に邪魔する訳にはいかないので、 "頑張ってね" とだけメッセージを送り、それからずっと連絡は控えているのだ。
それに、忙しいのは轟くんたちだけじゃない。
私達にも休息はなかったーーー。
「さぁ!救助訓練についてはこの間説明しましたね?今日はここで実践を交えながら、救助活動の基礎を押さえて行きましょう!」
「はい」
『よろしくお願いします!』
災害救助のプロフェッショナル、スペースヒーロー13号先生の指導の元、私と心操くんはここ……USJで毎日救助訓練を受けていた。
何故そうなったかと言われれば、もちろん相澤先生のお達しだからだ。
私達は2年からヒーロー科に編入する。だけど、今まで普通科で過ごして来た私達と、最初からヒーロー科にいたみんなとの差は思ってた以上に大きい…。
だから少しでも遅れを取らない様に、こうして休む暇もなく日々訓練に明け暮れていた。
「ヒーロー活動をする上で、敵との戦闘は避けられません。今日は敵襲撃が発生した場合の民間人の救出活動を実施して行きます!」
『…民間人の救出活動…!』
「被害を増やさないために、主に避難誘導が重要になる……ですよね?」
心操くんの言葉に、13号先生は「その通り!」と言って人差し指を立てる。
「誰かを救い出す時は、いつ何時も冷静な判断力かつ迅速な対応が求められます。もちろん、事故や災害も同じ事です。一瞬の判断ミスが、時に取り返しのつかない事に……なんて事もあります。そうならないよう、最後まで気を抜かないで下さいね!」
『はいっ!』
「はい」
油断は大敵って言うもんね!
自分の行動には、常に責任を持たないと…!
救助訓練はヒーロー活動において最も基礎的な事だ。
ここでしっかりポイントを押さえて、いつか実践でもしっかり動けるようにしなければ。
そう念頭に置きながら、私達は今日も訓練に励む…。
「ーー…では、今日の訓練はここまで!2人ともよく周りを見て行動出来ていますよ。この調子でしっかり実践にも活かして行って下さいね!」
『はいっ…!、頑張ります!』
「ありがとうございました」
今日の訓練も無事に終わったと一息つこうとした時、13号先生が何かを思い出したように、手のひらに握りこぶしをポンッ、と当てる。
「あっ、そうだっ!君たちに聞こうと思って忘れる所でした!」
『はいっ?』
「…何ですか?」
何を聞かれるのだろうと少しドギマギしながら耳を傾けると、13号先生はくるりと私達に向き直り、人差し指を突き立てながら言い放つ。
「君たちのヒーロー名を教えて下さい!」
『えっ…、ヒーロー名…?』
「………」
……言われてから気付いた。
そう言えば、自分のヒーロー名なんて今まで考えた事もなかった。そんな余裕すらなかったから…。
チラリと心操くんを見ると、彼もまた無表情のまま口を閉ざしているだけだった。
何も言わずに固まる私達を見て、13号先生は「おや?」と言いながら首を傾げる。
「まだヒーロー名考えていなかったんですか?君たちはもう普通科じゃなくなるんですよ。ヒーロー科の一員になるんですから、今後ヒーロー活動に同行する時、コードネームがないと困りますよ?今の内に考えておいて下さいね!」
『…は、はいッ!』
「分かりました」
13号先生からヒーロー名考案の課題を出された所で今日の救助訓練も終わり、私達は寮への帰り道まで一緒に並んで歩いていた。
なので道中の会話はずっとヒーロー名についてどうするか、という事についてだった。
『ーー…やっぱり心操くんもまだ考えてなかったんだね』
「あぁ。そんな余裕なかった」
『あははっ、一緒だ。でも悩むよね~……どんなヒーロー名にしようかなぁ』
「まぁ、プロヒーローはみんな自分の個性を表した名前が多いし、変に
『確かにね。その方が覚えてもらえやすいだろうし』
自分の個性を表したコードネームか…。
やっぱり変にカッコつけたりせず、分かりやすくてシンプルなものがいいよね。
一発でピンと来て、呼びやすいヒーロー名ってーー…
『……うん。決めた!』
「はやっ…。もう決まったのか?」
『うん!なんか自分の中でピンときちゃって』
「どんなコードネーム?」
『ふふっ…、あのねーーー』
コードネームを伝えると、珍しく心操くんは「いいんじゃない?シンプルで」と言って賛同してくれた。
その言葉に私は自信を持ち、この名前でヒーローとして活躍する未来の自分を想像してほくそ笑んだ。