第18話
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の
私はじっと心操くんの次の行動を見定める。
相手をよく見て…行動を予測する!
心操くんの捕縛布は中~遠距離タイプだ。捕縛をうまく避けて身を隠しながら不意を突くしか方法はない…!
「フッ…。苗字のくせに、一丁前に戦略を立ててるのか?バカなんだから無理するなよ」
『ーーっ、…』
咄嗟に手で口を塞ぐ。
出かけた言葉をギリギリ喉奥へと押し込んだ。
危ないっ…!
思わず言い返しそうになった…。
心操くんの個性は洗脳だ。意識しないと、また体育祭の時みたいに操られちゃう…!
「…答えない、か…。あの時よりかは成長したみたいだな!」
『!!』
吐き捨てるような言葉と共に、再び勢いよく捕縛布が私に襲い掛かる。しっかり視界に捉えながらそれを躱すと、すかさず次の捕縛布が無防備になった私を襲う。
『くっ…!』
ギリギリ躱しながら、私は転がり込むように林の中へと飛び込んで心操くんの視界から消える。チッ、と舌打ちをする音が聞こえた。
「…良い動きだ。さすがビッグ3に鍛えられてるだけはあるな」
『……』
「けど…いつまでも逃げ回ってばかりじゃ、俺は倒せないぞ?」
私は心操くんにバレないように木々の隙間から位置を確認する。
ここからじゃまだまだ遠い…。
何か心操くんの気を引く方法はーー…。
ふと、足元付近に落ちている葉っぱや枝が目に映った。
視線を巡らせれば、所々に枯れて朽ちた葉っぱや枝が散乱している。
その瞬間、私の中で一つの考えが
これを上手く活用出来ればきっと……隙が出来る!
「ずっと隠れてるつもりか?……来ないなら俺から行くぞ」
捕縛布を構え直す心操くんを横目に見ながら、私は地面に両手を這わせた。ふと、通形先輩との特訓の日々が脳裏によみがえった。
「修復かぁ~。いい個性じゃないか!」
『そうですね…。でも、先輩みたいにガッツリ戦闘向きじゃないので、1人じゃ何も出来なくて…』
「そんなことないさ!どんな個性も、使い方次第で相手の隙を突く事が出来るもんだよ!」
『使い方次第…。それ、相澤先生にも言われました』
「でしょ?例えば俺の個性は "透過" だけど、攻撃は受けない代わりに、相手が俺より速かったらコッチの攻撃は当たらないワケだよね?」
『あぁ。確かに…』
攻撃が当たらないだけでも十分チート個性だけど…。
「そこでだ!俺は相手の不意を突くために、地上からは絶対に見つからないこの地面に身を隠す方法を思い付いたんだよね!」
そう言って先輩は自分の足のつま先でトントン、と地面をつつく。
『なるほど!発想の転換!』
私も先輩にやられたけど、確かにあれはビックリした。
普通人間が地面の中にいるとは思わないもんね…。
ちょっとトラウマになってるもん私。
「こんな風にして、個性は使い方次第でいくらでも変貌を遂げるんだよね!君もいつもと違う使い方をしてみればいいんじゃないかな?自分でも色々試して、使えると思ったらそれを実践で活用して行くんだ!」
『はいっ!頑張ります!』
ーー先輩…。アドバイスありがとうございます!!
『半径50m全てを……修復ッ!』
意識を集中させながら個性を発動させる。すると、地面に散乱していた葉っぱや枝が元の場所へ戻ろうと空中を浮遊する。
個性を伸ばす訓練はずっと地道に鍛えていた。状態にもよるけど、最大で半径100m範囲内にある物は修復可能だ。
「何だ…っ⁉」
心操くんは、突然起こる周りの状況に混乱しているようだった。
今なら意識は私から外れている!
私は素早く林の中から飛び出すと、心操くんに向かって突っ込んで行った。
『隙ありっ…!!』
「ーーッ!!」
目を大きく見開いた心操くんが私を瞳に映す。
心操くんが捕縛布に手を伸ばすよりも早く、私の手が心操くんの腕に触れる。
ーー
勝ちを確信した瞬間ーーー…腕を掴んだ私の手を逆に掴み返され、その勢いのまま後ろに倒れこむ様に地面へと押し倒された。
『う"っ…!』
ゴツン、と後頭部を強く打ち付けたせいで一瞬目の前がチカチカする。
少し遅れて
『いたたた…』
固く閉じていた瞳を薄っすら開ける。
そこには私を押し倒した状態のまま固まった心操くんが、視界いっぱいに覆いつくしていたーー。