第17話
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テレビの向こうでは、ホークスの加勢により背中に炎の翼を
そして炎の熱を圧縮した左手の拳を、脳無の口元へ勢いよく突っ込んだ。
次の瞬間、脳無の口の中で爆発したエンデヴァーの炎が口から吹き出し、そのまま轟々と音をたてながら頭部を
『よしっ…!一撃が決まった!』
これで終わったと、思った。
次の瞬間、獣の様な形相に変わった脳無が雄叫びを上げると、押されていたエンデヴァーの体を逆に押し返し、スピードを上げながら一直線にどこかへと向かう。
嘘でしょッ!?まだ終わってない⁉︎
こんなにダメージを食らっても
あの脳無は普通じゃない…!
今までのどの脳無よりもーー…強い!!
『エンデヴァー…!!』
命懸けで戦っているエンデヴァーの姿を画面越しで眺める事しか出来ない事に歯がゆさを感じていると、エンデヴァーが更に自身の火力を上げたのが分かった。
その威力は地上にいる人達がまともに立っていられない程。
《ーー戦っています…身をよじり…足掻きながら!!》
戦っている…。
私達を守るために…必死に…!
No.1としてあるべき姿を見せるために!
『エンデヴァー…、見てますよ…っ!』
ーーみんながあなたを…!
ーーだから…!負けないで!!
ーー勝って下さい…っ!!エンデヴァー!!
エンデヴァーは脳無と共に更に空高く上空へと飛行していく。
一体どうするつもりなのかと
『ーーぇ…?』
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
周りにいたクラスの人達も同じ様に驚きで目を見張り、画面に釘付けになっている。
倒した…の…?
カメラが追えないほど遠く離れているため、エンデヴァーが一体どうなっているのか全くわからない。
すると隕石が落ちてくるかの様に炎を
そしてその塊は地上へと勢いよくーー…衝突した。
……嫌だ、考えたくない…。
最悪な結果が脳内をよぎり、たまらず消し去ろうと首を左右に振る。
…なのに、脳内に浮かぶのは
ヒーローが勝利する裏には、
必ず犠牲もあるということをーー…。
『ーーっ…!!』
ギリッと唇を噛み締める。
ーー分かっていても、今は…認めたくないッ!!
「見ろよ、アレ…!」
『…!!』
クラスの人の驚いた声に顔を上げると、揺らめく炎の中で黒い人影が見えた。
ハッと息を飲んだ瞬間、沈下した炎の中から右手を高々と掲げたエンデヴァーの姿が露わになる。
そのすぐ足元には、真っ黒に焦げた脳無が力なく横たわっていた。
《エンデヴァーーーー!!!スタンディング!!》
その瞬間、クラス全体から歓喜に湧く声が響き渡った。みんな抱き合ったり、跳ねて喜ぶ姿を視界に映しながら、私は呆然とテレビに映るエンデヴァーを見つめる。
その体はたくさん傷付きながらも、みんなに勇気と希望を与えるに相応しい佇まいだった。
何も変わってない…。
あの日、私を助けに来てくれた…強くて、逞しい、私の憧れたヒーローだ。
《立っています!!勝利の!!いえ!!
『…っ…、エン…デヴァー…っ!』
良かった…っ!
あなたが無事で本当に…良かった…!
ぼやけた視界に映るエンデヴァーを見つめながら、安堵から私はその場に崩れるようにペタリと座り込む。
すると背中を支えるあたたかい手の感触に驚いて振り返れば、心操くんが優しく微笑みながら私を見つめていた。
「良かったな。無事で」
『うん…良かった…』
「苗字がエンデヴァーに憧れる理由…分かった気がするよ」
『ーー!…うんっ、ありがとう』
…こうやってみんなが少しずつエンデヴァーを認めてくれれば良い。
新しい象徴は私達を命懸けで守ってくれるんだと…。だから安心して暮らして大丈夫なんだと…!
きっと遠くない未来に必ずーーー
「オイ、あの炎なんだ?」
「ホントだ!青い炎が急に…!」
『ーー!!?』
突然クラスメイトから耳を疑う言葉が聞こえ、驚いてテレビに視線を戻す。
視界に飛び込んで来た映像に、背筋が凍りついた。
紛れもない、あの炎はーー
《敵連合!!荼毘です!!連合メンバーが!!炎の壁を展開し、エンデヴァーらを囲い込んでおります!!》
『荼毘っ…!?』
何であの場所に荼毘が!?
やっぱりあの脳無は連合が仕組んだモノだったんだ!
…けど、何でこのタイミングで?目的は何なの!?
それに…この光景…、
まるで私が見た夢と同じような状況じゃーー…!!
ーー結局…
その後すぐに駆け付けて来たNo.5ヒーロー ″ミルコ" のおかげで荼毘は退き、その場は誰も被害に遭うことなく収まった。
エンデヴァーは力尽きたのか気を失い、すぐに救急車へと運ばれる途中で映像はスタジオへと切り替わる。
これで事件は解決したかに思えた…が、何故か妙な胸騒ぎが収まらない。
あの悪夢を見た後と同じ感覚がするのだ。
エンデヴァーは大丈夫なんだろうか…。
轟くんもきっと心配してるだろうなーー…
そうだ…!轟くんは…っ!?
「苗字!? どこ行くんだよ!」
慌てて立ち上がる私を心操くんが呼び止める。私は玄関に向かいながら振り向きざまに口を開いた。
『轟くんのとこ!心配だから見て来る!』
「…っ…」
心操くんは何か言いたげな顔をしていたけど、轟くんが心配だった私は足を止めることなくそのままA組の寮へと走った…。