第15話
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーそれは突然訪れた。
平日の雄英。いつもと何ら変わらない授業風景。
午前中の授業を真面目に受けていると、何の前触れもなく突如教室の扉が開かれた。
みんなビックリした様子で開いた扉に注目すると、目線より少し下の位置で佇む小柄な人物がそこに立っていた。
あれは…!
リカバリーガール⁉︎
初めて見た!本当に小っちゃくて可愛い…っ!
でも、何で普通科に…?
呑気にそんな事を思っていると、神妙な面持ちをしたリカバリーガールが一歩教室に踏み込む。
「苗字 名前はどこだい?」
『ーーはっ、ハイッ!!』
まさか名指しされると思わず、私は反射的に返事しながら席を立った。
それにならって今度はみんなが私に注目する。もちろん、隣にいる心操くんも目を丸くして。その目は「何やらかしたんだ?」とでも言いたげだった。
「そこにいたかい。アンタに用があるんだ。悪いけど少しこの子を借りるよ」
「は、はい」
リカバリーガールは戸惑う担任に確認を取ると、「早くついておいで」と言って教室を出て行こうとする。
ど、どう言うこと⁉︎
状況が全く飲み込めないんだけど…!
思うことはたくさんあるけど、どうやら様子を見る限り考えてる暇はなさそうだ。
ワケが分からぬままみんなの視線を浴びながら、私は慌ててリカバリーガールの後を追いかけた…。
「いきなりで悪かったね。説明してる余裕もないくらい急用だったんだ」
校門前に用意されていたタクシーの後部座席に2人で乗り込み腰を下ろした所で、ようやくリカバリーガールは状況を説明してくれる気になったようだ。
『あ、いえ…。あの、今から一体どこに…?』
「病院だよ」
『えっ…?』
答えたのはリカバリーガールではなく、低い男の人の声だった。
私は聞こえた声の先を辿り助手席へと顔を向けると、
そこに座ってコチラを見つめる意外な人物に更に驚かされた。
『ーーオールマイト!⁉︎』
何でオールマイトも一緒にいるのッ⁉︎
雄英にいる事は知ってたけど、まさかこんな唐突に会える日が来るなんて…っ!
ここ最近、凄い人達と出会い過ぎだ。
別に人生の徳を積んで来た自覚はないのだけれど、神様がいるならありがとうと伝えたい。
ーーいや、そんな事よりも…
『…今、病院って言いましたか?』
「そうだよ。今回君の力を借りたくてね。苗字少女の事は相澤くんから話は聞いていて知ってたんだ。"普通科にヒーローになれる素質を持った奴がいます" "あのまま芽を潰すワケには行かない" …ってね」
『相澤先生が…』
オールマイトに名前を知ってもらってるだけでも嬉しいけど、それよりも普段いつでも切り捨てるとか脅す様な事を言いながらも、私達の事をそんな風に言ってもらえてるんだと知り、胸がジーンと熱くなる。
相澤先生の優しさも、中々に不器用だ…。
『私が呼ばれた理由は分かりました……それで、何故病院に?』
その質問にはリカバリーガールが答えてくれた。
「今ヒーロー科で
『えっ…?
それを聞いて真っ先に思い浮かぶのは、つい数日前に会った通形先輩の顔だった。
『まさかっ、危険な状態って通形先輩の事ですか⁉︎』
「いや、違うよ」
焦る私を落ち着かせるように、オールマイトが静かに否定した。
私は安堵するも、次に続く言葉に耳を疑った。
「ーーナイトアイさ…」
『…え…?』
ナイトアイって、通形先輩のーー…
「ーーだからこれからもサーのそばで、今よりもっと成長した俺をみてもらいたいんだよね!」
待ってよ…。
ねぇ、嘘でしょ…?
前言撤回、やっぱり神様なんていない。
だって、理不尽過ぎるよ…!
通形先輩にとってナイトアイはーーー
失いたくない、大切な人だ。
『ーーダメです…っ、絶対に助けないと!私がナイトアイを助けます!』
「待ちな。アンタは他に怪我した子らを治してやっとくれ。ナイトアイは私の治癒で何とかやってみるさ」
『で、でもっーー』
「アンタに無茶はさせられない」
『…っ!』
そっか…。
リカバリーガールは私の "秘密" を知ってるんだ…。
病院で私が眠っていた時に、リカバリーガールに治癒してもらってたから、きっとその時にーー…。
私はそれ以上は何も言えず、唇を噛み締める。
そして、病院に到着するまでの間、ただひたすらナイトアイの無事を願い続けた。
どうか…!お願い…!
通形先輩が悲しむ姿は見たくない!
だからどうか、生きて…!
通形先輩のそばにいてあげて下さい、ナイトアイ!!