第15話
お名前は?
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次の日の昼休み。
私達はいつも通り食堂で昼食を取っていた。
他愛ない話しをしながら食べ進めていたけど、昨日の爆豪くんの言っていた事が気になっていた私は、思い切って轟くんに直接確かめようと思い、口を開く。
『あの…轟くん、聞きたい事があるんだけど…』
「何だ?」
そばをすすりながら、轟くんはコチラに顔を向ける。
『えっと、その……仮免落ちたって、ホント?』
「!」
私が知っていた事に驚いた様子で轟くんは目を見張る。
「…誰かから聞いたのか?」
『あっ、えと、昨日ゴミ捨てに行こうとしたら、たまたま爆豪くんと
探る様に聞かれ、少し焦りながらそう答えると、轟くんは伏し目がちに小さく「…そうか」とだけ呟いた。
何か、あまり聞かれたくなさそうな感じだったな…。
「…本当は、自分から言うべきだと思ってたんだが…お前をガッカリさせるのが嫌で、どうしようかずっと迷ってた。…応援、してくれてただろ?」
『ガッカリなんてっ…!そんな風に思うワケないよ!
確かに、ビックリはしたよ?実力のある2人だから余計に……よっぽど難しい試験だったの?』
「いや…試験内容ってより、周りの状況を無視して、自分本位な行動をしたのが原因だな」
『自分本位な行動…?』
「あぁ。ヒーローらしかぬ行動だ。落ちて当然だと思う」
轟くんがそんな風に言うなんて…。
何かよっぽどマズイ事しちゃったのかな?
……でも、周囲の状況を考えずに自分本位な行動をするって言うのは、ちょっと共感出来る。
私も合宿や実地試験の時に、周囲の状況を無視して自分本位に突っ込んじゃった事あるしね…。
轟くんは推薦入学者だし、個性もチート級で、頭も良くて、何でも完璧にこなす人なんだと思い込んでいた。
けれど、そんな人でも時には上手くいかない事もあるんだと知れて、少しだけ親近感が湧く。
『自分の行いのせいで落ちるのって悔しいよね…。
でも、自分の行動を悔い改められるなら、次は絶対に大丈夫だよ!今回の結果は次に必ず繋がって行くから!轟くんは絶対にプロになれる人だから』
「名前…」
轟くんは嬉しそうに目を細めて微笑む。
「ありがとな。お前のそう言う前向きな所、好きだ」
『…っ!』
唐突な言葉に、思わず胸の鼓動が高鳴る。
お、落ち着け…!
今のは私の内面を褒めてくれただけだから!
でも……嬉しい。
「それに、3ヶ月の特別講習を受けた後に個別テストで結果を出せば、特別に仮免許を発行してもらえるらしい」
『そうなんだっ⁉︎ じゃあ3ヶ月後にまた挑戦出来るんだね!』
「あぁ」
良かった!
それじゃあ、今年中には仮免取得出来るって事だ。
それ聞いて、ちょっと安心した…。
…ってことは、爆豪くんと一緒に受講するって事か。
私は安堵すると同時に、目の前にいる轟くんに向けてガッツポーズを送る。
『スタートは少し遅れたかもしれないけど、今からでも全然巻き返せるよ!爆豪くんと一緒に頑張ってね轟くん!』
「あぁ。爆豪にも伝えとく」
『うーん…それは止めた方が…』
着々とヒーローの道へと進んで行く轟くんに嬉しさもあるけど、本当は少し焦りも感じていた。
もちろん、嬉しい気持ちの方がずっと大きいのだけど。
轟くんもなりたい自分になるために、少しずつ変わって来ている。
だから私も頑張らなくちゃって気持ちになるんだ…。
ーーー✴︎✴︎✴︎
その日の放課後。
私はいつも通り寮に戻ると雄英体操着に着替え、基礎体力をつけるために寮から少し離れた場所でトレーニングを行っていた。
『ハァ…ハァ…、ランニング3km終わり……体修復して、次は個性を伸ばす訓練…』
これがいつもの日課で、日々鍛錬を費やしていた。
ヒーローへの道に近道はない。
普通科にいる私は、こうやって地道に努力していくしかないんだ。
それが、ヒーローになるための1番の近道…!
「毎日頑張ってるね!」
『そりゃあもう!日々の積み重ねが大切だからーーー
…えっ?』
突然、私の背後から明るい陽気な声が聞こえて来て驚きながら振り返るが、そこに人の姿はなかった。
な、なに今の声ッ⁉︎
絶対コッチから聞こえたと思うんだけど…?
注意深く辺りを見渡しても、やはり誰も居ない。
ハッキリ声は聞こえたのに、居るはずの人がいないという不気味な状況に、私の恐怖心はどんどん加速する。
ま、まままさか……幽霊ッ⁉︎
「もう少し視線を下にすれば気付くと思うんだよね!」
『ーー!⁉︎』
また聞こえてきた陽気な声に体が大きく跳ねた。
そして、声の出所は思っていたよりも下から聞こえてきて、言われた通り私は視線を足元まで下げる。
「あっ。ようやく目が合ったんだよね!」
『ギィヤアァァァ!!』
そこには地面から生える様に人の顔があり、ニコリと私に微笑みかける。
状況の理解が追いつかず、私は大絶叫しながらズササッ!と勢い良く後ずさった。
その様子に、顔面だけ男は可笑しそうに笑う。
「アハハハ!お手本の様なリアクションなんだよね!
驚かせがいがあるね君!」
『ひっひひひ、人が、…う、埋まって…っ⁉︎』
「いやぁ実は埋まってるんじゃなくて、コレ俺の個性なんだよね!」
『えっ…?』
「"透過"なんだ、驚かせてごめんね?」
ーー透過…?
そう言うと、男の人は地上へと這い出る様に私の目の前に姿を現すーー…って、
『わぁぁっ!服着て下さい、服ぅーー!!』
現れた姿はまさかの全裸だった。
私は慌てて目を覆って後ろを振り向く。
大丈夫、ギリギリ見てはいない…!
初対面でいきなり全裸で登場なんて、一体…この人は何者なの⁉︎