プロローグ
お名前は?
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小さい頃、公園でよく泣いてる男の子がいた。
何度か見掛ける内にその男の子が気になって声をかけたことがある。
「うっ…ヒック…」
『どうしたの?』
「…!」
男の子は怯えたような表情をしていた。
だから私はなるべく怖がらせないように優しく微笑む。
『ビックリさせてごめんね?私は名前。あなたの名前は?』
「ぼくは…ーーーー。」
だけど小さな頃の記憶は断片的で、よく遊んでたはずなのに…その子の名前が思い出せない。
「また、遊んでくれる…?」
『うん!もちろんだよ!今日からーーくんは、私のお友達だよ』
「…っ!…ありがとうっ」
それから何度か遊んでいたけど、ある日突然男の子はパタリと公園に来なくなった。
次の日も
そのまた次の日も
待っていても男の子が来ることはなかった。
しばらくして私も親の転勤により引っ越すこととなり、男の子と会う日は訪れないまま月日は流れ……記憶の中の男の子は、もう顔すらも思い出せなくなった。
ただ、私の中であたたかくもあり、どこか切なくも感じた幼い頃の記憶が、いつまでも頭の片隅に残っていた。
ーーー✴︎✴︎✴︎
4月上旬
都内某所
幼い頃暮らしたこの街に
私は再び戻って来た
『…よしっ、荷物はこれで全部かな』
引っ越し業者が運び入れた段ボールの山を並べ、ふぅーっと一息つく。
そこまで多い荷物じゃないけど、
コレ1人で整理してくの大変だなぁ…。
『…取り敢えず、この辺からーー』
近くにある段ボールの蓋を開けて、目に飛び込んできた"それ"に一瞬手が止まった。
それは、シンプルなデザインの洋封筒。差出人は、"雄英高等学校"と書かれている。それを手に取ると、中にあった便箋を取り出し広げた。
そこに書いてあった文字は、
ーー合格通知書 普通科 合格
『……普通科、か…』
そう。
私はあの名門で知られる雄英高校に受験し、見事合格したのだ。
ただ一つ心残りがあるとするならば、希望していたヒーロー科は落ちてしまったこと。
…分かってはいた。
私の個性は物や生物の"修復"だ。
壊れた部品や怪我などは簡単に治せる。
だけど、ヒーロー科の実技試験がまさかロボットの破壊だったなんて…。
私の個性とは真逆だ。
一応予防線として受けていた普通科には受かっていたから良かったけど…。
とにかく!
夢だった雄英高校に受かっただけでもよしとしよう!
ヒーロー以外でだって、役立てる事はあるハズ…!
『よーし!頑張るぞ!』
取り敢えず、まずは目の前の段ボールから整理していかなきゃ…!
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