19の春。身長180センチのなよっとした曙は、経営している古書店を閉め、自転車に乗って帰宅しようとした。

「…っ。ない…ない！？」

いつも、お店の横に隙間があるからそこに自転車を駐車している。それがないのだ。私は雷を受けた様なショックを受けた。
仕方ない、盗まれたんだ。と自分に言い聞かせ徒歩で帰った。

◇◇◇



２日後の朝、仙道は考えていた。
朝練に行く途中、マンションの前に絶対盗んで乗り飽きた自転車が倒れている。見覚えのあった自転車に記憶を辿ってみた。
「あ。」と、思い出す。
倒れている自転車を起こし、仙道は持ち主のいる古書店へ向かった。
しかし、朝7時なんて開店してる筈がない。
店の前に止めとけば気づくだろうと、自転車を止めて部活へ足を運んだ。


◇◇◇



曙は驚いていた。諦めていた自転車が戻ってきたのだ。
もし、出会えることがあるならお礼を言おうと誓った。