インターハイ予選決勝、湘北対陵南。予選最終日なのもあり、すごい人だかりだ。席確保の心配もあったが、一番心配なのは高身長なだけでパッと見、選手と間違われる。

「選手の方…あ、失礼しましたっ」

ほらね。これ以上呼び止められると何かと面倒になりそうなので観客席に急いだ。
私がまだ在学してるときの陵南は決して弱くなく、あと一歩のとこでインターハイを逃す。そんな感じだった。
観客席からは試合が始まる前から、仙道さんの名前がちらほら耳に入る。バスケが上手い。ただ、素人な私の目線で経験者やバスケットボールを知ってる者から彼はどう見えるのだろうか。
仙道さんの事、全然知らないんだな。
他校のバスケ部の強さはもっと知らない。湘北高校、はじめて聞く学校だ。
誰かの為に応援しに行くのもはじめてだった。

いよいよ、試合がはじまり両チーム入場する。
観客席はほぼ満員、観客の声援もすごい。赤坊主、湘北ってあんな派手なチームなのか。雰囲気で圧倒されてしまう。
負けじと仙道の名前が会場に響いていた。やっぱりすごい人じゃないか。嬉しい反面、どこか寂しくもっと仙道さんを知りたいとシャツの裾を軽く握った。