壱ノ章
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怒っていらっしゃるのか…
謝ろうにも原因がわからないからこのまま平謝りしても失礼だしなぁ
それにさっきのは…
あ、そうか
『あそこから連れ出す咄嗟の嘘か!』
「0点ですね。やり直し」
『ですよねー…』
今までのどこに惚れる要素があったんだろう
しかも白澤様といい鬼灯様といい女性には困っていないはずだ
『まさか過去にトラウマがあって、女性と付き合えないとか…』
「誰かを特別に好きになったことはありませんがいたって正常ですので気にしないでください」
『いったい何時から…』
「あなたを一獄卒として拷問していた時からです」
『ますます訳が分からないのですが』
【鬼灯視点】
約100年前
吼々処に最近入った亡者がおかしいと、誰も不気味がって手を出さないという報告を受けて視察に来ていた時
噂の亡者は華奢で、性別を見間違うくらいには整った顔をしているが、これからいたぶる相手の見てくれなど私には全く関係ない話だ
しかしその珍しい色の瞳は罪人特有の濁ったものではなく、いやに真っ直ぐだったということが気になった
少し調べてみれば彼は生前、孤児であり、親代わりであった夫婦を惨殺し、周辺住民も連続的に殺して廻ったらしい
こんな凶悪犯があんな目を出来るものだろうか
その日から興味本位で仕事の合間に彼のことを調べ始めた
次第に彼の元へ訪れるのは私だけになっていったが、まだ私は資料を探し続けていた
屍のようだったその亡者は私を見ると僅かながらに反応を見せることが増えた
それこそ毎日見ていないとわからないくらいの微々たるものではあったが
今日は目を合わせると少し頬が緩んだ、機嫌がいいのだろうか
終わりかと思って油断していたところを人殴りしたら、再生後には少しムッとしていた
日々の観察は私の密かな楽しみとなり、仕事で疲れている時などに拷問する振りをして会いに行くこともあった
しばらくして、彼の無実は晴れて証明され、あろうことか一緒に働くことになった
謙虚なのか卑屈なのかわからない彼の世話は中々楽しいものだ
その頃にはもう目が離せなくなっていた上に、勉強熱心で努力家で、少し頑固なところがある彼に惚れていたというわけである
『僕は、鬼灯様に愛されるような人間じゃありません…』
「それを決めるのは私です。あなたは自分の魅力に気がついていないだけです」
そしてそれを1番理解しているのはただ1人私だけだと思っていますよ
「今すぐに答えてほしいとは言いません。ただ…心配していた事態が起こってしまった以上、私も生半可な気持ちでは落としに行きませんので覚悟していてください」
『ぜ、善処します…』
「それと」
『まだ何か…?』
「あなたは今日から閻魔大王第二補佐官に昇進です。おめでとうございます。」
『ありがとうござ…って、えええ!?』
「1週間の休暇は諸々の手続きのためでしたが、早く終わりましたので先に報告を、と」
『早すぎませんか…?』
「これまでの働きと、知識量、それと技術課の皆さんからの推薦です」
【時雨視点】
立て続けにこんな驚くことが起こってかなり頭が混乱してきた
技術課の皆さんからの推薦って…僕が邪魔になったのか…
「今まで頑張ったあなたに感謝しての推薦です。私も、あなたの働きと技術には1人の従業員として一目置いていました」
『邪魔になったからじゃないんですか…?』
「そこは心配いりません。後で挨拶に行ってから移動の準備に入ってください」
『わかりました…』
技術課にて
『しつれいしま…』
「「時雨〜〜〜〜〜!!!!」」
「俺たち自分の趣味のためにお前ばっかりにまかせてすまなかった!」
「嫌ってたわけじゃないんだよ!ただ甘え過ぎてたのは事実だ…」
「お前仕事早いしさ、鬼灯様の所で働いた方が色々もっと学べると思ってよ!」
入ってきて早々口々にこんなことを言われるもんだから驚いてしまった
『僕が、必要なくなったんじゃないんですか?』
「「んなわけねぇだろ!!」」
ハモった…そっか…違うんだ…
『あの、この度は推薦していただき、ありがとうございました。技術課の皆さんにはお世話になってばかりで感謝してもしきれません…』
「そんなかしこまらなくてもいいんだよ!」
「そうそう、今日は昇進祝の飲み会もあるからね」
『烏頭さん、蓬さん…』
忌み子と罵られ虐げられていた僕がこんなに幸せでいいんだろうか
こんなにもいい人たちに囲まれて、いつかバチが当たりそうだけれど
今は優しいこの人達への感謝で心がいっぱいだ
【烏頭視点】
あれから仕事を早く切り上げ、予約を取っておいた飲み屋へ向かう
宴会は大いに盛り上がり、時雨も楽しそうに笑ったり時々涙ぐんだりしていた
俺は鬼灯程ではないが酒は強いほうなので終盤に差し掛かってもほろ酔い程度だ
蓬はとっくにダウンしているし、酔っ払いたちのグダグダした雰囲気になってきたのでそろそろお開きにするか
ところで、さっきから俯いている時雨が気になる
酒を大勢に飲まされて眠くなっているようだ
迎えを読んであるので方を揺すって声をかける
「そろそろ鬼灯が迎えに来るぞ」
『うぅ…うる…さん?』
時雨がコテンと首を傾げる
かなり酔っている呂律が回っていない上に肌もほんのり桜色だ
不覚にも色っぽいとか思ってしまった自分を殴りたい
てか気づかなかったが顔近いな
そのとき
ドンッ
酔っぱらいが踊りながら背中に当たった
バランスを崩した俺は時雨の肩に手をかけたまま倒れてしまう
『んむ…!?』
「んん!?!?」
その勢いで唇が重なってしまった
やわらけ…いやいややばいって!!どう見ても俺が時雨を襲ってるようにしか見えないから!
こんな所を鬼灯に見られでもしたら
ガラッ
あ、終わった
コンマ1秒くらいで店の壁にめり込んだ
「不可抗力だ…」
「不注意なあなたが悪い。時雨さん、立てますか?」
『ほ、鬼灯様!』
さっきので酔いが覚めたようだな
俺は一眠りしようか…
【時雨視点】
やばい…告白されてその日にアクシデントとはいえあんな事があるなんてはしたないと思われる…
『あの、ほおず…んん!!』
一通りが少ないところに連れてこられたと思ったらいきなり鬼灯様がキスをしてきた
苦しくなって息を吸おうとするとそこから舌が入り込む
口の中をかき混ぜてくる舌に背筋が痺れる感覚がしてくらくらとしてくる
現実逃避のようにギラギラとした切れ長の目に自分の目が映っているのをぼぅっと眺めた
息が限界になって鬼灯様の胸を叩くとようやく解放され、足の力が抜けるが鬼灯様が抱えてくれる
腰が抜けたようだ…
『んあっ…はぁっ…』
「初めて見る表情ですね」
『な、にを…』
「無防備すぎるあなたが悪い輩に捕まらないように警告と、消毒です」
『あれは事故ですよ!』
「むしろわざとだったらあの程度では済ましていませんよ」
顔が熱い、僕だけ必死になっていると思うと悔しくなってきた…
『僕帰ります!』
「立てないでしょう」
『せ、責任を取って送り届けてください!』
「初めからそういえば良いのですよ」
この人には永遠に勝てそうにない…
謝ろうにも原因がわからないからこのまま平謝りしても失礼だしなぁ
それにさっきのは…
あ、そうか
『あそこから連れ出す咄嗟の嘘か!』
「0点ですね。やり直し」
『ですよねー…』
今までのどこに惚れる要素があったんだろう
しかも白澤様といい鬼灯様といい女性には困っていないはずだ
『まさか過去にトラウマがあって、女性と付き合えないとか…』
「誰かを特別に好きになったことはありませんがいたって正常ですので気にしないでください」
『いったい何時から…』
「あなたを一獄卒として拷問していた時からです」
『ますます訳が分からないのですが』
【鬼灯視点】
約100年前
吼々処に最近入った亡者がおかしいと、誰も不気味がって手を出さないという報告を受けて視察に来ていた時
噂の亡者は華奢で、性別を見間違うくらいには整った顔をしているが、これからいたぶる相手の見てくれなど私には全く関係ない話だ
しかしその珍しい色の瞳は罪人特有の濁ったものではなく、いやに真っ直ぐだったということが気になった
少し調べてみれば彼は生前、孤児であり、親代わりであった夫婦を惨殺し、周辺住民も連続的に殺して廻ったらしい
こんな凶悪犯があんな目を出来るものだろうか
その日から興味本位で仕事の合間に彼のことを調べ始めた
次第に彼の元へ訪れるのは私だけになっていったが、まだ私は資料を探し続けていた
屍のようだったその亡者は私を見ると僅かながらに反応を見せることが増えた
それこそ毎日見ていないとわからないくらいの微々たるものではあったが
今日は目を合わせると少し頬が緩んだ、機嫌がいいのだろうか
終わりかと思って油断していたところを人殴りしたら、再生後には少しムッとしていた
日々の観察は私の密かな楽しみとなり、仕事で疲れている時などに拷問する振りをして会いに行くこともあった
しばらくして、彼の無実は晴れて証明され、あろうことか一緒に働くことになった
謙虚なのか卑屈なのかわからない彼の世話は中々楽しいものだ
その頃にはもう目が離せなくなっていた上に、勉強熱心で努力家で、少し頑固なところがある彼に惚れていたというわけである
『僕は、鬼灯様に愛されるような人間じゃありません…』
「それを決めるのは私です。あなたは自分の魅力に気がついていないだけです」
そしてそれを1番理解しているのはただ1人私だけだと思っていますよ
「今すぐに答えてほしいとは言いません。ただ…心配していた事態が起こってしまった以上、私も生半可な気持ちでは落としに行きませんので覚悟していてください」
『ぜ、善処します…』
「それと」
『まだ何か…?』
「あなたは今日から閻魔大王第二補佐官に昇進です。おめでとうございます。」
『ありがとうござ…って、えええ!?』
「1週間の休暇は諸々の手続きのためでしたが、早く終わりましたので先に報告を、と」
『早すぎませんか…?』
「これまでの働きと、知識量、それと技術課の皆さんからの推薦です」
【時雨視点】
立て続けにこんな驚くことが起こってかなり頭が混乱してきた
技術課の皆さんからの推薦って…僕が邪魔になったのか…
「今まで頑張ったあなたに感謝しての推薦です。私も、あなたの働きと技術には1人の従業員として一目置いていました」
『邪魔になったからじゃないんですか…?』
「そこは心配いりません。後で挨拶に行ってから移動の準備に入ってください」
『わかりました…』
技術課にて
『しつれいしま…』
「「時雨〜〜〜〜〜!!!!」」
「俺たち自分の趣味のためにお前ばっかりにまかせてすまなかった!」
「嫌ってたわけじゃないんだよ!ただ甘え過ぎてたのは事実だ…」
「お前仕事早いしさ、鬼灯様の所で働いた方が色々もっと学べると思ってよ!」
入ってきて早々口々にこんなことを言われるもんだから驚いてしまった
『僕が、必要なくなったんじゃないんですか?』
「「んなわけねぇだろ!!」」
ハモった…そっか…違うんだ…
『あの、この度は推薦していただき、ありがとうございました。技術課の皆さんにはお世話になってばかりで感謝してもしきれません…』
「そんなかしこまらなくてもいいんだよ!」
「そうそう、今日は昇進祝の飲み会もあるからね」
『烏頭さん、蓬さん…』
忌み子と罵られ虐げられていた僕がこんなに幸せでいいんだろうか
こんなにもいい人たちに囲まれて、いつかバチが当たりそうだけれど
今は優しいこの人達への感謝で心がいっぱいだ
【烏頭視点】
あれから仕事を早く切り上げ、予約を取っておいた飲み屋へ向かう
宴会は大いに盛り上がり、時雨も楽しそうに笑ったり時々涙ぐんだりしていた
俺は鬼灯程ではないが酒は強いほうなので終盤に差し掛かってもほろ酔い程度だ
蓬はとっくにダウンしているし、酔っ払いたちのグダグダした雰囲気になってきたのでそろそろお開きにするか
ところで、さっきから俯いている時雨が気になる
酒を大勢に飲まされて眠くなっているようだ
迎えを読んであるので方を揺すって声をかける
「そろそろ鬼灯が迎えに来るぞ」
『うぅ…うる…さん?』
時雨がコテンと首を傾げる
かなり酔っている呂律が回っていない上に肌もほんのり桜色だ
不覚にも色っぽいとか思ってしまった自分を殴りたい
てか気づかなかったが顔近いな
そのとき
ドンッ
酔っぱらいが踊りながら背中に当たった
バランスを崩した俺は時雨の肩に手をかけたまま倒れてしまう
『んむ…!?』
「んん!?!?」
その勢いで唇が重なってしまった
やわらけ…いやいややばいって!!どう見ても俺が時雨を襲ってるようにしか見えないから!
こんな所を鬼灯に見られでもしたら
ガラッ
あ、終わった
コンマ1秒くらいで店の壁にめり込んだ
「不可抗力だ…」
「不注意なあなたが悪い。時雨さん、立てますか?」
『ほ、鬼灯様!』
さっきので酔いが覚めたようだな
俺は一眠りしようか…
【時雨視点】
やばい…告白されてその日にアクシデントとはいえあんな事があるなんてはしたないと思われる…
『あの、ほおず…んん!!』
一通りが少ないところに連れてこられたと思ったらいきなり鬼灯様がキスをしてきた
苦しくなって息を吸おうとするとそこから舌が入り込む
口の中をかき混ぜてくる舌に背筋が痺れる感覚がしてくらくらとしてくる
現実逃避のようにギラギラとした切れ長の目に自分の目が映っているのをぼぅっと眺めた
息が限界になって鬼灯様の胸を叩くとようやく解放され、足の力が抜けるが鬼灯様が抱えてくれる
腰が抜けたようだ…
『んあっ…はぁっ…』
「初めて見る表情ですね」
『な、にを…』
「無防備すぎるあなたが悪い輩に捕まらないように警告と、消毒です」
『あれは事故ですよ!』
「むしろわざとだったらあの程度では済ましていませんよ」
顔が熱い、僕だけ必死になっていると思うと悔しくなってきた…
『僕帰ります!』
「立てないでしょう」
『せ、責任を取って送り届けてください!』
「初めからそういえば良いのですよ」
この人には永遠に勝てそうにない…