壱ノ章
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次の日の朝
夜中まで彼女に振られたヤケ酒をしたためか二日酔いが酷い
二度寝して今日は店を休みにしてしまおうか…
「ん?いい匂い…」
台所の方向からトントンと小気味いい音が聞こえ、食欲をかき立てる甘い野菜のような匂いがする
料理でもしているのだろうか
壁伝いに台所まで歩いていくと身支度をした時雨君が作業しながら振り向いた
『おはようございます。台所、勝手に使わせていただいてました』
「おはよ、それは別に構わないよ」
『昨晩はだいぶ飲んでいたようでしたので薬草粥を作りましたが食べられますか?』
彩りもそうだが二日酔いに効く薬草と食べ合わせを選んで具材を入れているようだ
気分の悪さなんて忘れて腹の虫が小さく声を上げる
「これなら食べられそうだよ、ありがとう。」
『それなら良かったです、熱いので気をつけてくださいね。気分が治らなければ黄連湯を作っておいたので言ってください』
どこまで出来た研修生なんだろう
お粥は薄く味付けされているため、茹でた薬草の甘みと香りが引き立って、お世辞なしで本当に美味しい
僕が薬草粥に舌鼓を打っている間に時雨君は酒瓶を片付けたり店の掃除をしたりしていた
「何か奥さんが出来たみたいだなぁ」
『そんなこと初めて言われました、女性に人気の白澤様に言われると何やら照れますね』
僕がそんな軽口を叩くと一旦手を止めて面食らったように少し頬を赤らめて微笑む
この無表情の中からこんな可愛らしい顔が出てくるのは結構お気に入りになりつつある
『そろそろ開店時間ですがどうしますか?』
「今日は気分がいいからちゃんと開けるよ」
『わかりました』
「ごめんくださぁ~い」
「あ、あの子かな?」
そのままになった食べ終わった皿を何も言わずに片付けている
そういえば結構早起きだよなぁ
なにはともあれ僕は店に来た彼女の元に一目散だ
最近出来たこの彼女は昨日の彼女とは違い可愛い系の顔をしている
僕がおはよう、と声をかけると照れたように頬を染めて慌てて返す
可愛さピュアさ共に申し分ないように見えるこの子の欠点といえば…
「鬼灯様と違って白澤様は女の子にサービスがよくていいですよね」
「そう?ありがとう」
以前アイツに振られてから来る者拒まずの僕の所へ来てはこうして何かと比べたがるところがある
風の噂だが、さっきの純情そうな反応も作ったものらしい
「白澤様は女の子にモテそうだから何も考えなくても人に囲まれてていいなぁ~でも女遊びしないでちゃんと関係を持たなきゃダメじゃないですか?」
あ、駄目だ
朝からあんな至れり尽くせりの対応を受けてたからちょいちょい出る毒に耐えられなくなってきた
今日は一言いっておかえり頂こう
「あのさ…」
『白澤様は案外寂しがり屋さんなんですよ』
時雨君?
「え?どういうことですかぁ?」
『フフ、これ以上は白澤様に怒られそうなのでこのくらいで』
「え~気になる~!」
『あと申し訳ありませんが今日はちょっとお店の用事がありますので日を改めていただけますか?』
「うーん…残念だけど用事ならしょうがないな~またねぇ白澤様」
「あ、あぁ。うん、バイバイ」
彼女は多少残念そうにしながらもいつもの調子で帰っていった
寂しがり屋?僕が?
彼女を帰らせるための時雨君のでっち上げだろうか
「さっきの寂しがり屋さんってどういうこと?」
『帰って頂くためのでまかせ半分って感じですね。白澤様、あの女性に何か言いそうだったので』
「それは助かったよ…あと半分は?」
『白澤様って誰にでも優しいのに女癖は酷いと聞きました。しかも来る者拒まず去るもの追わずといった感じですよね』
「結構いうね」
『でもそれって男女の関係を持つことで誰かにそばにいて欲しいのかなって、僕は思いましたよ。予想ですけどね』
驚いた
そうだ、確かに僕は寂しかったのかもしれない
長い間1人で生きてきたから意志を持って僕と一緒にいてくれる人に飢えていたんだ
この短い期間でこの子はそんなとこを見てたのか…
「じゃあさ、キミがいれば寂しくないからずっとここにいなよ」
なんて歯の浮くような言葉を並べて願望混じりでからかえば
『天国で暮らすのも案外いいかもしれないですね』
「えっ!」
『冗談ですよ』
なんて軽くあしらわれる
これまでいなかったタイプだから悔しいことに翻弄されっぱなしだ
でも僕自身が気づかなかったことを他人に指摘されて少し嬉しかった、というのは内緒にしておこう
「本当にウチに居ればいいのに…」
『何か言いました?』
「ううん、何でもないよ」
夜中まで彼女に振られたヤケ酒をしたためか二日酔いが酷い
二度寝して今日は店を休みにしてしまおうか…
「ん?いい匂い…」
台所の方向からトントンと小気味いい音が聞こえ、食欲をかき立てる甘い野菜のような匂いがする
料理でもしているのだろうか
壁伝いに台所まで歩いていくと身支度をした時雨君が作業しながら振り向いた
『おはようございます。台所、勝手に使わせていただいてました』
「おはよ、それは別に構わないよ」
『昨晩はだいぶ飲んでいたようでしたので薬草粥を作りましたが食べられますか?』
彩りもそうだが二日酔いに効く薬草と食べ合わせを選んで具材を入れているようだ
気分の悪さなんて忘れて腹の虫が小さく声を上げる
「これなら食べられそうだよ、ありがとう。」
『それなら良かったです、熱いので気をつけてくださいね。気分が治らなければ黄連湯を作っておいたので言ってください』
どこまで出来た研修生なんだろう
お粥は薄く味付けされているため、茹でた薬草の甘みと香りが引き立って、お世辞なしで本当に美味しい
僕が薬草粥に舌鼓を打っている間に時雨君は酒瓶を片付けたり店の掃除をしたりしていた
「何か奥さんが出来たみたいだなぁ」
『そんなこと初めて言われました、女性に人気の白澤様に言われると何やら照れますね』
僕がそんな軽口を叩くと一旦手を止めて面食らったように少し頬を赤らめて微笑む
この無表情の中からこんな可愛らしい顔が出てくるのは結構お気に入りになりつつある
『そろそろ開店時間ですがどうしますか?』
「今日は気分がいいからちゃんと開けるよ」
『わかりました』
「ごめんくださぁ~い」
「あ、あの子かな?」
そのままになった食べ終わった皿を何も言わずに片付けている
そういえば結構早起きだよなぁ
なにはともあれ僕は店に来た彼女の元に一目散だ
最近出来たこの彼女は昨日の彼女とは違い可愛い系の顔をしている
僕がおはよう、と声をかけると照れたように頬を染めて慌てて返す
可愛さピュアさ共に申し分ないように見えるこの子の欠点といえば…
「鬼灯様と違って白澤様は女の子にサービスがよくていいですよね」
「そう?ありがとう」
以前アイツに振られてから来る者拒まずの僕の所へ来てはこうして何かと比べたがるところがある
風の噂だが、さっきの純情そうな反応も作ったものらしい
「白澤様は女の子にモテそうだから何も考えなくても人に囲まれてていいなぁ~でも女遊びしないでちゃんと関係を持たなきゃダメじゃないですか?」
あ、駄目だ
朝からあんな至れり尽くせりの対応を受けてたからちょいちょい出る毒に耐えられなくなってきた
今日は一言いっておかえり頂こう
「あのさ…」
『白澤様は案外寂しがり屋さんなんですよ』
時雨君?
「え?どういうことですかぁ?」
『フフ、これ以上は白澤様に怒られそうなのでこのくらいで』
「え~気になる~!」
『あと申し訳ありませんが今日はちょっとお店の用事がありますので日を改めていただけますか?』
「うーん…残念だけど用事ならしょうがないな~またねぇ白澤様」
「あ、あぁ。うん、バイバイ」
彼女は多少残念そうにしながらもいつもの調子で帰っていった
寂しがり屋?僕が?
彼女を帰らせるための時雨君のでっち上げだろうか
「さっきの寂しがり屋さんってどういうこと?」
『帰って頂くためのでまかせ半分って感じですね。白澤様、あの女性に何か言いそうだったので』
「それは助かったよ…あと半分は?」
『白澤様って誰にでも優しいのに女癖は酷いと聞きました。しかも来る者拒まず去るもの追わずといった感じですよね』
「結構いうね」
『でもそれって男女の関係を持つことで誰かにそばにいて欲しいのかなって、僕は思いましたよ。予想ですけどね』
驚いた
そうだ、確かに僕は寂しかったのかもしれない
長い間1人で生きてきたから意志を持って僕と一緒にいてくれる人に飢えていたんだ
この短い期間でこの子はそんなとこを見てたのか…
「じゃあさ、キミがいれば寂しくないからずっとここにいなよ」
なんて歯の浮くような言葉を並べて願望混じりでからかえば
『天国で暮らすのも案外いいかもしれないですね』
「えっ!」
『冗談ですよ』
なんて軽くあしらわれる
これまでいなかったタイプだから悔しいことに翻弄されっぱなしだ
でも僕自身が気づかなかったことを他人に指摘されて少し嬉しかった、というのは内緒にしておこう
「本当にウチに居ればいいのに…」
『何か言いました?』
「ううん、何でもないよ」