壱ノ章
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『烏頭さん、もし暇があればお願いがあるのですが』
「おう!何でも言ってみろ!」
元上司、現相談役の烏頭さんは頼れる兄貴って感じだ
『護身用に武器が欲しいのですが付き合ってくれませんか?』
「いいけど鬼灯はどうした?」
『今日は夜まで仕事だそうなので…』
「なるほどな。で、どこで買うかは決めたのか?俺もいくつか馴染みの店はあるが…」
『そうですね…鬼灯様の金棒はどこで手に入れられたのでしょう?初めてあった時から同じものを使っているようですが…』
「あぁ、あれは昔競売屋で買った曰く付きの金棒だよ。持ち主を選ぶらしいがなんでも何回使っても棘が丸くならない代物なんだと」
『不思議なものと縁があるようですね』
「ちょうど今日は似たようなイベントがあるらしいから行ってみなよ」
「ナイスアイデアだ蓬!そうと決まれば出発だな」
蓬さんの一言で行き先は決まった
曰く付きのものや呪いの人形などが好きなので骨董市には何度か足を運んでいるが、今回のは骨董品から個人で作っているものまで売っているかなり大きなものらしい
烏頭さんと適当に目に付いた所を廻りながら武器屋にたどり着く
「世界各地で見つけた武器の数々!少し怪しいものもあるがお兄さん方寄ってかないかい?」
「いかにも胡散臭いな…」
『面白そうじゃないですか、行きましょう』
神妙な顔をした烏頭さんを引っ張って薄暗い店内に入ると誘導されるように足が勝手に店の奥へと動く
店の奥に入ると全体が黒いぼんやりと光る刀を見つけた
なぜだかとても惹き付けられる
「これが気になるのか?何か気味悪いなぁ」
『売り物なのに鞘に入ったままなのですね』
「お客さんお目が高い!それは黒雲(クロクモ)、鞘も刀身も絶対に折れることがない妖刀さ!まぁ、刀に認められなければ鞘から刀身を出した瞬間に両腕が無くなるんだがね」
「怖っ!そんな危険なもん置いておくなよ!」
「俺だって早くこれを手放したいんだよ!」
「呪い押し付けてるだけじゃねえか!」
先程の胡散臭い店主が恐ろしい刀の説明をすると烏頭さんは大声を上げた
面白いじゃないか
『これ、おいくらですか?』
「待て待て買う気かよ…」
「仕入先からの意向でね、刀を抜けたらただで譲ってやるよ」
「はぁ!?失敗したら大怪我じゃねぇか!!とっとと帰るぞ、時雨」
『まぁまぁ、烏頭さん。物は試しですよ』
「お前に怪我させたら鬼灯になんて言われるか…」
慌てる烏頭さんを余所に僕は鞘と柄を握り、ゆっくりと刀を引き抜く
刀身まで黒いのか、刃の輝きや美しい刃文でそこまで詳しくなくても名のある名刀だと分かる
全てを引き抜くと怪しい光は消え、やたらと手にしっくりきた
『腕はくっついてますよ』
「あ、焦ったぁ…」
「やっと売れたよありがとうお客さん!!!オマケに手入れセットもプレゼントだ!」
「これはいわく付きじゃねぇだろうな…」
「はっはっは!そこは心配しないでくれ、新品だよ!」
『では、頂きますね。ありがとうございました』
思わぬ品が手に入った、次は剣術を習おうか
目的の品も手に入ったことだしあとは別行動だ、さて、古書とか怪しいグッズ探しに走ろう
『ん?』
人気のない所まで来るとひっそりとした店が目に入った
こんなところに出店していたら来る客も来ないだろう
店主は年老いた鬼女なようだ
何を売っているか見てみればガラス細工の置物や食器などが陳列している
どれも小さいがとても目を引く
「お客さん、見ていくかい?」
『えぇ、とても綺麗ですね…もっと人通りの多いところに行ったらどうです?』
「ほっほっ、もう歳だからね、人混みじゃあ体力が持たんわ。それに、お客さんみたいに商品に惹かれて来る人とゆっくり話したいんだよ」
朗らかに笑うおばあさんは幸せそうだ、こんな年の取り方をしてみたいものだなぁ
まぁ生憎何百年もこの姿のままなのだが
『ふふ、素敵ですね。これはおばあさんの手作りで?』
「そうよ。若い頃はガラス細工職人でねぇ。もう店は畳んじまったんだけど時々こういう所で趣味で作ったのを売ってるんだよ」
『どれも繊細で、お店を畳んでしまったのがもったいないです…あれ…』
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
目に入ったのはひとつの煙管
火皿や吸口は銀に近い金の金属製で、他はガラス細工に細かい飾りが施されていた
光に透かすと暖色の硝子と装飾が透けて、何より目を惹くのは控えめに主張する鬼灯の模様である
『これ、頂けますか?』
「おや、贈り物かい?いいのを選んだね」
『ど、どうして分かったんですか?』
「この年になるとね、目を見れば何を考えてるのなんて簡単さ。お代はこのくらいだよ」
『そんな、安すぎます。素材から見ても倍以上は…』
「ババアの長話に付き合ってくれたお礼だよ、ありがとう。その人に恩返しできるといいわね」
『こちらこそ…ありがとうございました』
不思議なおばあさんだ…煙管の入った袋とは別に小さい袋も貰った、おまけだろうか
「おい、時雨、何やってるんだ?」
『あぁ烏頭さん、たった今この店でいい品を見つけたので…』
「…店なんてどこにあるんだ?」
『は…?ここに…って』
店があった場所には何もなかった
当然あのおばあさんも、いない
霊的なものだったんだろうか…不思議と嫌な気はしないのでどちらかと言うと神様に近いのかもなぁ
おまけの袋を開けると彼岸花の装飾が美しい硝子の耳飾りが入っていた
本当に彼女の腕とセンスは逸品だ
『いえ、どうです?似合いますか?』
「ぐっ…性別詐欺が…」
『ちょ、どういうことですか!』
『ということがあったんですよ』
「不思議なこともあるものですね」
『その時に買ったものですが、鬼灯様にお土産です。』
「私に買ってくれたんですか…?」
『あ、新しい煙管が欲しいと言っていたし、鬼灯様に似合うんじゃないかとおもって…たまたまですよ!』
「ありがとうございます、大事にしますね」
明らかに動揺しているのがバレている
微笑ましそうにこっちを見ないで…!
「さて、部屋に行きましょうか」
『は、え、なんで』
「そんなに期待した顔をされては手を出さなくては」
『してませんよそんな顔!下ろしてくださいー!!』
このあとじっくりべったり愛でられた
「おう!何でも言ってみろ!」
元上司、現相談役の烏頭さんは頼れる兄貴って感じだ
『護身用に武器が欲しいのですが付き合ってくれませんか?』
「いいけど鬼灯はどうした?」
『今日は夜まで仕事だそうなので…』
「なるほどな。で、どこで買うかは決めたのか?俺もいくつか馴染みの店はあるが…」
『そうですね…鬼灯様の金棒はどこで手に入れられたのでしょう?初めてあった時から同じものを使っているようですが…』
「あぁ、あれは昔競売屋で買った曰く付きの金棒だよ。持ち主を選ぶらしいがなんでも何回使っても棘が丸くならない代物なんだと」
『不思議なものと縁があるようですね』
「ちょうど今日は似たようなイベントがあるらしいから行ってみなよ」
「ナイスアイデアだ蓬!そうと決まれば出発だな」
蓬さんの一言で行き先は決まった
曰く付きのものや呪いの人形などが好きなので骨董市には何度か足を運んでいるが、今回のは骨董品から個人で作っているものまで売っているかなり大きなものらしい
烏頭さんと適当に目に付いた所を廻りながら武器屋にたどり着く
「世界各地で見つけた武器の数々!少し怪しいものもあるがお兄さん方寄ってかないかい?」
「いかにも胡散臭いな…」
『面白そうじゃないですか、行きましょう』
神妙な顔をした烏頭さんを引っ張って薄暗い店内に入ると誘導されるように足が勝手に店の奥へと動く
店の奥に入ると全体が黒いぼんやりと光る刀を見つけた
なぜだかとても惹き付けられる
「これが気になるのか?何か気味悪いなぁ」
『売り物なのに鞘に入ったままなのですね』
「お客さんお目が高い!それは黒雲(クロクモ)、鞘も刀身も絶対に折れることがない妖刀さ!まぁ、刀に認められなければ鞘から刀身を出した瞬間に両腕が無くなるんだがね」
「怖っ!そんな危険なもん置いておくなよ!」
「俺だって早くこれを手放したいんだよ!」
「呪い押し付けてるだけじゃねえか!」
先程の胡散臭い店主が恐ろしい刀の説明をすると烏頭さんは大声を上げた
面白いじゃないか
『これ、おいくらですか?』
「待て待て買う気かよ…」
「仕入先からの意向でね、刀を抜けたらただで譲ってやるよ」
「はぁ!?失敗したら大怪我じゃねぇか!!とっとと帰るぞ、時雨」
『まぁまぁ、烏頭さん。物は試しですよ』
「お前に怪我させたら鬼灯になんて言われるか…」
慌てる烏頭さんを余所に僕は鞘と柄を握り、ゆっくりと刀を引き抜く
刀身まで黒いのか、刃の輝きや美しい刃文でそこまで詳しくなくても名のある名刀だと分かる
全てを引き抜くと怪しい光は消え、やたらと手にしっくりきた
『腕はくっついてますよ』
「あ、焦ったぁ…」
「やっと売れたよありがとうお客さん!!!オマケに手入れセットもプレゼントだ!」
「これはいわく付きじゃねぇだろうな…」
「はっはっは!そこは心配しないでくれ、新品だよ!」
『では、頂きますね。ありがとうございました』
思わぬ品が手に入った、次は剣術を習おうか
目的の品も手に入ったことだしあとは別行動だ、さて、古書とか怪しいグッズ探しに走ろう
『ん?』
人気のない所まで来るとひっそりとした店が目に入った
こんなところに出店していたら来る客も来ないだろう
店主は年老いた鬼女なようだ
何を売っているか見てみればガラス細工の置物や食器などが陳列している
どれも小さいがとても目を引く
「お客さん、見ていくかい?」
『えぇ、とても綺麗ですね…もっと人通りの多いところに行ったらどうです?』
「ほっほっ、もう歳だからね、人混みじゃあ体力が持たんわ。それに、お客さんみたいに商品に惹かれて来る人とゆっくり話したいんだよ」
朗らかに笑うおばあさんは幸せそうだ、こんな年の取り方をしてみたいものだなぁ
まぁ生憎何百年もこの姿のままなのだが
『ふふ、素敵ですね。これはおばあさんの手作りで?』
「そうよ。若い頃はガラス細工職人でねぇ。もう店は畳んじまったんだけど時々こういう所で趣味で作ったのを売ってるんだよ」
『どれも繊細で、お店を畳んでしまったのがもったいないです…あれ…』
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
目に入ったのはひとつの煙管
火皿や吸口は銀に近い金の金属製で、他はガラス細工に細かい飾りが施されていた
光に透かすと暖色の硝子と装飾が透けて、何より目を惹くのは控えめに主張する鬼灯の模様である
『これ、頂けますか?』
「おや、贈り物かい?いいのを選んだね」
『ど、どうして分かったんですか?』
「この年になるとね、目を見れば何を考えてるのなんて簡単さ。お代はこのくらいだよ」
『そんな、安すぎます。素材から見ても倍以上は…』
「ババアの長話に付き合ってくれたお礼だよ、ありがとう。その人に恩返しできるといいわね」
『こちらこそ…ありがとうございました』
不思議なおばあさんだ…煙管の入った袋とは別に小さい袋も貰った、おまけだろうか
「おい、時雨、何やってるんだ?」
『あぁ烏頭さん、たった今この店でいい品を見つけたので…』
「…店なんてどこにあるんだ?」
『は…?ここに…って』
店があった場所には何もなかった
当然あのおばあさんも、いない
霊的なものだったんだろうか…不思議と嫌な気はしないのでどちらかと言うと神様に近いのかもなぁ
おまけの袋を開けると彼岸花の装飾が美しい硝子の耳飾りが入っていた
本当に彼女の腕とセンスは逸品だ
『いえ、どうです?似合いますか?』
「ぐっ…性別詐欺が…」
『ちょ、どういうことですか!』
『ということがあったんですよ』
「不思議なこともあるものですね」
『その時に買ったものですが、鬼灯様にお土産です。』
「私に買ってくれたんですか…?」
『あ、新しい煙管が欲しいと言っていたし、鬼灯様に似合うんじゃないかとおもって…たまたまですよ!』
「ありがとうございます、大事にしますね」
明らかに動揺しているのがバレている
微笑ましそうにこっちを見ないで…!
「さて、部屋に行きましょうか」
『は、え、なんで』
「そんなに期待した顔をされては手を出さなくては」
『してませんよそんな顔!下ろしてくださいー!!』
このあとじっくりべったり愛でられた