目を開けるとそこは真っ白な世界だった
そう、それはまるで鋼の〇〇術師に出てきそうなあの世界。

『ここは……』

「やーっと目を覚ましたか」

『誰？！…………え……？』

振り返るとそこには

「なかなか目が覚めないもんだからどうしようかと思ってたんだ……ってどうした？」

目の前にいる者は「口をぱくぱくさせて金魚みたいだな」と笑っている

私は目の前で起こっている状況に思考が追いつかないでいた。

だって……だって……ありえない……

『ね、ね、猫が……猫がしゃべったーーー？！？！』

顎が外れてしまうのではないかと思うくらい口が開いていた気がする。
いや、待って……なんで……猫が？！
私の思考は停止しそうだ。

これが俗に言うキャパオーバーか……
いま、まずこれは夢だ。そうだ。きっと……

「夢じゃない」

『なぁ？！』

何だこの猫、人の思考を読み取った……？！

「いや、全部声に出てるぞ」

待って下さい。それはそれで恥ずかしい……
何が起きてる。何が起きてるのだ。

「とりあえず落ち着け」

『いや、落ち着けるわけないでしょ！』

思わず突っ込んでしまった

「お前、トリップって知っているか？」

『は……？』

「トリップは知っているか？と聞いている」

『トリップってあの異世界に行っちゃうやつでしょ？それが何？』

こんの猫のくせに……人をバカにしたような言い方を……と怒りを抑えながらも答えた

「知っているのなら早いな」

じゃあ、あーしてこーしてと1人で呟く猫

何なんだ、何が起きるのよ……
次に発されるであろう言葉を待っているととんでもないことを言われた

「今からお前にはD.Gray-manの世界に行ってもらう」

『……は？』

本日2度目になるであろうマヌケ顔をした私

「もちろんエクソシストとしてだ。原作の知識はある。だけど物語を変えすぎるんじゃないぞ？」

『え、ちょ……まっ……』

淡々と説明をする猫は私の言葉に耳を傾けようとしない。
そして……

地面に穴が空いた

重力に逆らえず落ちる私の身体

『どういうことよおおおおお！』

「大丈夫だ。あちらの世界は止まっているから。まあ、また今度説明するから」

とめんどくさげに伝える猫に私は涙目で叫んだ

『覚えてろよ！』と。