あさきゆめみし【御門浮葉】
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☆あさきゆめみし夢③
吹きまよふ
野風をさむみ秋萩の
うつりもゆくか人の心のーーーー。
早朝に以前に彼女に話した古今和歌集の歌を思い出す。
昨日、彼女の部屋に泊まった。
人の心は移りゆくもの……
つなぎ止めることは叶いません。
そう話し自分を戒めていたのに結局のところ自分の心は彼女につなぎ止められていたままだった。
それだけ彼女の存在が自分の中で強かったという事だろう。
彼女はまだ夢うつつの中。
急に訪れた自分を文句ひとつ言わず受け入れてくれた。
いつもそうだ私がスタオケに参入せず独断でグランツとリーガルレコードと契約した時も彼女はただ黙って受け入れてくれた。
家の事もある自分の事情を察してくれたのだろう……。
あれから一年が経つが相変わらず家の問題は片付いていない。
様々な金銭の問題が片付くまで彼女の手を取ることは躊躇わなかったというのは嘘になる。
でも取らずにはいられなかった、自分がこんなに弱い人間とは思わなかった……
「おはようございます」
大学進学後の彼女の一人暮らし用の小さな部屋の小さなリビングに彼女が入る。
「おはようございます唯、良い朝ですね」
「は……い」
「どうしました?」
「巽のパジャマ姿が新鮮で……それほうじ茶ですか?」
「ええ、あなたは飲まないのにここにある。嬉しいですね」
「ふふっ、ほうじ茶のこと覚えています?」
にこにこと笑いながらエプロンを身に付ける彼女に目を細めてしまった。
以前、与えらた曲の表現に悩んでいた時に差しだされた、ほうじ茶のペットボトル。
「ええ、でも今は以前より迷うことがなくなりましたので」
「音楽の解釈ですか?また難しい楽曲とか巽の……苦手な曲ですか?ところでほうじ茶ラテって飲んだことあります?」
話しながら手際よく朝食に準備をする彼女を見ていると様々な感情が溢れ出る気がする。
自分に合わせた和の朝食を作る彼女に湧くあたたかな気持ちに。
『一度でもいい。喜びや幸せを胸に抱いたことがあるなら、それを音色に変えなさい』
以前に成宮小百合社長に投げらた言葉。
「喜びを表した曲……がふさわしいのでしょう華やかで、喜びや幸せ……を音色にする。ほうじ茶ラテですか……今度挑戦します」
「うわあぁ楽しみ!コンサートでもライブでも観に行きますから!!」
「ええ、ぜひ」
「それとほうじ茶ラテは食後に淹れますね」
「ありがとうございます唯」
にっこりと微笑み返すと彼女も笑う……こんな小さなことが幸せだと。彼女の側にいると苦手だった幸せな音の表現が造作もない事かもしれないそう思った。
吹きまよふ
野風をさむみ秋萩の
うつりもゆくか人の心のーーーー。
早朝に以前に彼女に話した古今和歌集の歌を思い出す。
昨日、彼女の部屋に泊まった。
人の心は移りゆくもの……
つなぎ止めることは叶いません。
そう話し自分を戒めていたのに結局のところ自分の心は彼女につなぎ止められていたままだった。
それだけ彼女の存在が自分の中で強かったという事だろう。
彼女はまだ夢うつつの中。
急に訪れた自分を文句ひとつ言わず受け入れてくれた。
いつもそうだ私がスタオケに参入せず独断でグランツとリーガルレコードと契約した時も彼女はただ黙って受け入れてくれた。
家の事もある自分の事情を察してくれたのだろう……。
あれから一年が経つが相変わらず家の問題は片付いていない。
様々な金銭の問題が片付くまで彼女の手を取ることは躊躇わなかったというのは嘘になる。
でも取らずにはいられなかった、自分がこんなに弱い人間とは思わなかった……
「おはようございます」
大学進学後の彼女の一人暮らし用の小さな部屋の小さなリビングに彼女が入る。
「おはようございます唯、良い朝ですね」
「は……い」
「どうしました?」
「巽のパジャマ姿が新鮮で……それほうじ茶ですか?」
「ええ、あなたは飲まないのにここにある。嬉しいですね」
「ふふっ、ほうじ茶のこと覚えています?」
にこにこと笑いながらエプロンを身に付ける彼女に目を細めてしまった。
以前、与えらた曲の表現に悩んでいた時に差しだされた、ほうじ茶のペットボトル。
「ええ、でも今は以前より迷うことがなくなりましたので」
「音楽の解釈ですか?また難しい楽曲とか巽の……苦手な曲ですか?ところでほうじ茶ラテって飲んだことあります?」
話しながら手際よく朝食に準備をする彼女を見ていると様々な感情が溢れ出る気がする。
自分に合わせた和の朝食を作る彼女に湧くあたたかな気持ちに。
『一度でもいい。喜びや幸せを胸に抱いたことがあるなら、それを音色に変えなさい』
以前に成宮小百合社長に投げらた言葉。
「喜びを表した曲……がふさわしいのでしょう華やかで、喜びや幸せ……を音色にする。ほうじ茶ラテですか……今度挑戦します」
「うわあぁ楽しみ!コンサートでもライブでも観に行きますから!!」
「ええ、ぜひ」
「それとほうじ茶ラテは食後に淹れますね」
「ありがとうございます唯」
にっこりと微笑み返すと彼女も笑う……こんな小さなことが幸せだと。彼女の側にいると苦手だった幸せな音の表現が造作もない事かもしれないそう思った。
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