初めてのお泊り【月城慧】
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「身体……怠い……」
朝日奈はぼんやりとベッドサイドのデジタル時計を見る。
高級ホテルの一室のお高い部屋……と思う。
昨夜は緊張のあまり周囲に目を配れなかったけど入り口からベッドルームに至る前にある応接室にあるような革張りのソファ、綺麗な夜景の見える部屋、分不相応な部屋に今更ながらに気付き緊張してきた。
でもこのホテルなら何かあっても対応可能なのでベストな判断だったのかなと思いを巡らせてじっと天井を見ること数分。
ドキドキドキドキドキドキドキドキ_______
と朝日奈が心臓が壊れそうな気持で思い切って隣を見ると彼の人はいなかった……。
※※※
「ふぅ」
月城が息を吐く。
ここはホテル内にあるジム、このジムは24時間使用可能の施設で早朝に目覚めた月城はジムで軽く汗を流す。
月城は発作予防の一環として基礎代謝維持のための軽いジョギングを日課にしていた。
その習慣で朝早く目覚めてしまったのだが隣で眠る彼女を起こすのは悪い気がしてジムに来てしまった。
昨夜の急な誘いに戸惑い恥じらう朝日奈を思いだすと色々良くない気がして逃げ出したのが正しいのかもしれないなと月城は再び息を吐く。
「7時……そろそろ戻るか」
※※※
「朝日奈、それは恋人との一泊旅行じゃないのか?」
「ふぇ?違うよ~今回は!!幻のヴァイオリニストの演奏があるから勉強もかねてだよ!!いずれコンクールに出るとしたらソリストで勉強になる人の演奏は積極的に見聞きすること!が巽の教えだからね」
「でも一泊旅行になるなんて」
「朔夜は心配しすぎだよ~日本の歴史ある古都での演奏ならって渋々、日本公演を了承したあの方の千載一遇の演奏会……この機会とチケットをみすみす無駄には出来ない!」
めらめらと朝日奈の背後に炎が見えた気がした九条だが“まぁいいか恋人同士だ問題ないだろう”と思い直し朝日奈を見送ることに。
「朝日奈は気楽だな……慧もただの男なんだぞ」
九条のその呟きを拾うことなく朝日奈は意気揚々と月城と一泊旅行に出発した。
※※※
「今回は私が付き添うことは出来ませんので」
「ああ、馬に蹴れたくなければやめてくれ」
「お薬と着替え……緊急の場合はご連絡を……下世話ですがアレはご用意しますか?」
「アレとは?」
「男女の営みに必要な……避妊具でございます」
「ぶっ……!げほっ……」
優雅の午後の紅茶を楽しんでいた月城は紅茶を吹きかけた。
「大丈夫でございますか?」
「巽……お前、余計な事考えるな」
「僭越ながら一泊旅行にございましょう?晴れて恋人同士になられた朝日奈様との」
「………………今回はたまたま古都での演奏会、夜に開幕、最終の新幹線に間に合わないこともないが……どうせなら翌日に観光をして帰りたい、ただそれだけだ」
「なるほど差し出がましいことを申し上げました、良い息抜きになればよろしゅうございますね」
「ああ、楽しみだ」
表情には出さず巽は笑う、いつもなら宿の手配まで自分に頼む主が今回はプライベートだからと頼まれたのはコンサートチケットと往復の新幹線チケットだけ。
部屋が一つなのか二つなのか知るのは主のみ……プライベートだからと領収書も上がらずじまいなので誰にも知られない。
主の初めての恋を巽はこそばゆい気持ちで見守ろうと固く誓った。
※※※
「素晴らしいコンサートだったな」
「はい!ソリストとして尊敬します!……あの巽」
「なんだ?」
「あの高音、どうやって弾くんでしょう?」
「カデンツアのとこか?」
「澄み切った高音……素晴らしかったです」
ほぅと恍惚感に頬を染める彼女に見惚れてしまう。
今日のワンピースは白でシンプルなもののせいか身体の線がよく分かる気がした。
長い髪を柔らかく結い纏め上げていて、白いうなじは柔らかく嚙みつきたい気持ちになる、細身の身体に柔らかそうな胸から腰のラインが気になって仕方がない自分に戸惑った。
聞いたことはないが以前に男と付き合ったことがあるのだろうか?いつもにこにこ笑う元気な彼女は色気とは無縁に見える……が彼女だって女性だ、自分も見たことのない表情、姿を他の男が先に知っていると思うだけで心に黒い靄が掛かる気がしてしまい自分も男だったのかと思う。
「でもお腹空いちゃいました!ご飯どうします?」
表情をケロリと変え、子供のように笑う彼女に疚しい気持ちが霧散した月城はそれならと古都にふさわしい懐石料理の店に行くことにした。
※※※
食事が済みホテルに向かうホテルはホールからも食事をした店からも近く徒歩で移動した。
移動中、朝日奈は食事が美味しかった、今日のコンサート素晴らしかったと嬉しそうに話している。
「そんなに気に入ったなら今度、海外のコンサートに行くか?」
「海外なんて……」
「夏休みにでも短期留学のつもりで行くにはどうだ?俺の知り合いを紹介することもできる」
「でも、費用とか……」
「宿泊施設は月城の別宅があるからそこから通うでいいだろう?レッスン料と渡航費は自分持ちになるがな」
「破格なお誘い……ああああその時までに国際コンクールがなんとかなってれば……!!」
「そうだな……着いた」
ホテルに入りチェックインをすます、朝日奈はにこにこと素直に付いてきた。
ホテルの案内人が消えた後に朝日奈が不思議そうに首を傾げる。
「あの……私の部屋は??」
「やっぱり分かっていなかったか……」
「今日はここに泊まる」
こくこくと首を縦に振る朝日奈。
「今日、同じ部屋に泊まる」
「同じ部屋!!……そっんな…聞いてない」
「言ってないからな、何も聞いてこないからおかしいなとは思っていたが……まさか二つ部屋を取ったと思い込んでいたのか?」
こくこくこくと再び朝日奈が首を縦に振った。
月城は目を閉じしばらく考えたのちに朝日奈を抱きしめ、自分より頭一つ分小さな彼女を抱きしめ肩口に顔を埋める。
「唯、お前が俺のことを男扱いしていないなと感じてはいたが……さすがに俺も傷つく」
「ひっ推しが推しが私に急接近……ひゃあああああ耳元で話さないで」
「推しじゃない、恋人だ、唯」
「…………はい」
真っ赤になって小さくなっていく彼女の顎をつかみ上を向かせた。
恥じらい潤む瞳は揺れている、彼女は常日頃自分は月城慧にふさわしくないと思っている節があった……確かに自分の華やかなルックスは自覚していた、それすらも武器に音楽家としてこれからも高みを目指すつもりだ。
自分なんてといつも言う彼女の豊かで柔らかい髪は撫でていると心地い、顔は幼さがまだ残るものの整っていていると思う普段の言動が子供っぽさと快活さが先に出るので皆は忘れがちになっているが演奏しているときの彼女はとても美しい。
そっとキスを落とすとたどたどしくも応えようとする姿に愛おしさが募った。
合わせた唇に舌を這わせてこじ開けた口に舌を滑り込ませると遠慮がちに舌を合わせてくるのも可愛らしくて心が逸る。
まだ慣れていないそれに安心する自分の浅ましさと誰にも汚されていないことを期待してベッドルームに誘った。
「唯、嫌なら言ってくれ……多分、今ならまだ止めれる」
「…………嫌じゃないです」
後は自分の思うまま本能に身を任せて抱き合った。
※※※
______カチャ
ベッドルームの扉を開くと朝日奈が振り向いた。
「起きていたのか?」
「……どこに行ってんですか?」
「早くに目が覚めたからジムに走りに行った」
「えっ?大丈夫なの?」
「予防のためのジョギングだ……毎朝の日課なんだ」
「そ……なんですね……良かった」
「どうしたんだ?」
「うん、その……昨日、痛がったから嫌われたのかなって」
ふいと背中を向けて横たわる朝日奈の背のあたりのベッドに月城が腰掛ける。
「悪かった、もう大丈夫か?」
「多分……慣れるまでごめんなさい」
「馬鹿、初めてが俺で良かった……嫉妬で狂うのは嫌だからな」
「うん……」
「朝食に行くか?」
「分かった用意するね」
シーツで身を隠しながら上半身を起こす彼女の鎖骨が見え月城の心臓が高鳴った、鎖骨下からドレスに見えない場所に執拗に吸い時には嚙んだ気がする、暗くてよく見えなかったが跡がついているのではないだろうか?
「あの……巽」
「なんだ?」
「じっと見られると着替えられないです」
拗ねたように口を尖らす朝日奈の頬は薄っすらと赤く思えばいつものように口数が多くない。
「ああ、そうかでも見たい」
「ななななっ何言ってんですか~」
「昨日は俺も無我夢中だったんだ……肌、白いな」
腕でシーツを抑えて胸辺りを隠す朝日奈との隙間を見ると赤い跡が見えた気がした。
「悪い」
一言詫びてから布団を引き下ろして彼女の肌を暴く鎖骨下の白い肌、まろみを帯びた胸にも数か所に赤い跡を確認する。
「きゃあああ巽!!」
「…………悪い、収まらなかった」
「なっ何が?」
月城が朝日奈の肩に手を置き体重を掛けて押し倒していく……月城を驚きの顔で見ている間に朝日奈はゆっくりとベッドに沈んでいった。
「あっあの!」
「隣で好きな女が寝ているんだ、我慢できなそうだからジムに走りに行った」
「はっはい!でも朝ごはんとかチェックアウト時間とか!!」
「それでも収まらなかった許せ……それとレイトチェックアウトだから安心しろ」
「巽!?巽が??」
「俺もただの男なんだ……ただの男の月城慧は嫌いか?」
「狡いです……嫌いなわけない___っ!!」
月城に見事に流された朝日奈がベッドから解放されたのは朝食には遅い時間でルームサービスのブランチになった。
膨れた朝日奈が月城に軽く不満を漏らすと困ったように笑いながら月城が詫び……いつのまにか朝日奈から敬語は消えていた。
観光もそこそこに東京に戻った月城を巽が揶揄してお赤飯を用意したり、月城に遠慮なく話すようになった朝日奈に九条が何故だか母親目線で寂しさを感じたりするのは後の話。
二人は今、幸せの絶頂にいた______
朝日奈はぼんやりとベッドサイドのデジタル時計を見る。
高級ホテルの一室のお高い部屋……と思う。
昨夜は緊張のあまり周囲に目を配れなかったけど入り口からベッドルームに至る前にある応接室にあるような革張りのソファ、綺麗な夜景の見える部屋、分不相応な部屋に今更ながらに気付き緊張してきた。
でもこのホテルなら何かあっても対応可能なのでベストな判断だったのかなと思いを巡らせてじっと天井を見ること数分。
ドキドキドキドキドキドキドキドキ_______
と朝日奈が心臓が壊れそうな気持で思い切って隣を見ると彼の人はいなかった……。
※※※
「ふぅ」
月城が息を吐く。
ここはホテル内にあるジム、このジムは24時間使用可能の施設で早朝に目覚めた月城はジムで軽く汗を流す。
月城は発作予防の一環として基礎代謝維持のための軽いジョギングを日課にしていた。
その習慣で朝早く目覚めてしまったのだが隣で眠る彼女を起こすのは悪い気がしてジムに来てしまった。
昨夜の急な誘いに戸惑い恥じらう朝日奈を思いだすと色々良くない気がして逃げ出したのが正しいのかもしれないなと月城は再び息を吐く。
「7時……そろそろ戻るか」
※※※
「朝日奈、それは恋人との一泊旅行じゃないのか?」
「ふぇ?違うよ~今回は!!幻のヴァイオリニストの演奏があるから勉強もかねてだよ!!いずれコンクールに出るとしたらソリストで勉強になる人の演奏は積極的に見聞きすること!が巽の教えだからね」
「でも一泊旅行になるなんて」
「朔夜は心配しすぎだよ~日本の歴史ある古都での演奏ならって渋々、日本公演を了承したあの方の千載一遇の演奏会……この機会とチケットをみすみす無駄には出来ない!」
めらめらと朝日奈の背後に炎が見えた気がした九条だが“まぁいいか恋人同士だ問題ないだろう”と思い直し朝日奈を見送ることに。
「朝日奈は気楽だな……慧もただの男なんだぞ」
九条のその呟きを拾うことなく朝日奈は意気揚々と月城と一泊旅行に出発した。
※※※
「今回は私が付き添うことは出来ませんので」
「ああ、馬に蹴れたくなければやめてくれ」
「お薬と着替え……緊急の場合はご連絡を……下世話ですがアレはご用意しますか?」
「アレとは?」
「男女の営みに必要な……避妊具でございます」
「ぶっ……!げほっ……」
優雅の午後の紅茶を楽しんでいた月城は紅茶を吹きかけた。
「大丈夫でございますか?」
「巽……お前、余計な事考えるな」
「僭越ながら一泊旅行にございましょう?晴れて恋人同士になられた朝日奈様との」
「………………今回はたまたま古都での演奏会、夜に開幕、最終の新幹線に間に合わないこともないが……どうせなら翌日に観光をして帰りたい、ただそれだけだ」
「なるほど差し出がましいことを申し上げました、良い息抜きになればよろしゅうございますね」
「ああ、楽しみだ」
表情には出さず巽は笑う、いつもなら宿の手配まで自分に頼む主が今回はプライベートだからと頼まれたのはコンサートチケットと往復の新幹線チケットだけ。
部屋が一つなのか二つなのか知るのは主のみ……プライベートだからと領収書も上がらずじまいなので誰にも知られない。
主の初めての恋を巽はこそばゆい気持ちで見守ろうと固く誓った。
※※※
「素晴らしいコンサートだったな」
「はい!ソリストとして尊敬します!……あの巽」
「なんだ?」
「あの高音、どうやって弾くんでしょう?」
「カデンツアのとこか?」
「澄み切った高音……素晴らしかったです」
ほぅと恍惚感に頬を染める彼女に見惚れてしまう。
今日のワンピースは白でシンプルなもののせいか身体の線がよく分かる気がした。
長い髪を柔らかく結い纏め上げていて、白いうなじは柔らかく嚙みつきたい気持ちになる、細身の身体に柔らかそうな胸から腰のラインが気になって仕方がない自分に戸惑った。
聞いたことはないが以前に男と付き合ったことがあるのだろうか?いつもにこにこ笑う元気な彼女は色気とは無縁に見える……が彼女だって女性だ、自分も見たことのない表情、姿を他の男が先に知っていると思うだけで心に黒い靄が掛かる気がしてしまい自分も男だったのかと思う。
「でもお腹空いちゃいました!ご飯どうします?」
表情をケロリと変え、子供のように笑う彼女に疚しい気持ちが霧散した月城はそれならと古都にふさわしい懐石料理の店に行くことにした。
※※※
食事が済みホテルに向かうホテルはホールからも食事をした店からも近く徒歩で移動した。
移動中、朝日奈は食事が美味しかった、今日のコンサート素晴らしかったと嬉しそうに話している。
「そんなに気に入ったなら今度、海外のコンサートに行くか?」
「海外なんて……」
「夏休みにでも短期留学のつもりで行くにはどうだ?俺の知り合いを紹介することもできる」
「でも、費用とか……」
「宿泊施設は月城の別宅があるからそこから通うでいいだろう?レッスン料と渡航費は自分持ちになるがな」
「破格なお誘い……ああああその時までに国際コンクールがなんとかなってれば……!!」
「そうだな……着いた」
ホテルに入りチェックインをすます、朝日奈はにこにこと素直に付いてきた。
ホテルの案内人が消えた後に朝日奈が不思議そうに首を傾げる。
「あの……私の部屋は??」
「やっぱり分かっていなかったか……」
「今日はここに泊まる」
こくこくと首を縦に振る朝日奈。
「今日、同じ部屋に泊まる」
「同じ部屋!!……そっんな…聞いてない」
「言ってないからな、何も聞いてこないからおかしいなとは思っていたが……まさか二つ部屋を取ったと思い込んでいたのか?」
こくこくこくと再び朝日奈が首を縦に振った。
月城は目を閉じしばらく考えたのちに朝日奈を抱きしめ、自分より頭一つ分小さな彼女を抱きしめ肩口に顔を埋める。
「唯、お前が俺のことを男扱いしていないなと感じてはいたが……さすがに俺も傷つく」
「ひっ推しが推しが私に急接近……ひゃあああああ耳元で話さないで」
「推しじゃない、恋人だ、唯」
「…………はい」
真っ赤になって小さくなっていく彼女の顎をつかみ上を向かせた。
恥じらい潤む瞳は揺れている、彼女は常日頃自分は月城慧にふさわしくないと思っている節があった……確かに自分の華やかなルックスは自覚していた、それすらも武器に音楽家としてこれからも高みを目指すつもりだ。
自分なんてといつも言う彼女の豊かで柔らかい髪は撫でていると心地い、顔は幼さがまだ残るものの整っていていると思う普段の言動が子供っぽさと快活さが先に出るので皆は忘れがちになっているが演奏しているときの彼女はとても美しい。
そっとキスを落とすとたどたどしくも応えようとする姿に愛おしさが募った。
合わせた唇に舌を這わせてこじ開けた口に舌を滑り込ませると遠慮がちに舌を合わせてくるのも可愛らしくて心が逸る。
まだ慣れていないそれに安心する自分の浅ましさと誰にも汚されていないことを期待してベッドルームに誘った。
「唯、嫌なら言ってくれ……多分、今ならまだ止めれる」
「…………嫌じゃないです」
後は自分の思うまま本能に身を任せて抱き合った。
※※※
______カチャ
ベッドルームの扉を開くと朝日奈が振り向いた。
「起きていたのか?」
「……どこに行ってんですか?」
「早くに目が覚めたからジムに走りに行った」
「えっ?大丈夫なの?」
「予防のためのジョギングだ……毎朝の日課なんだ」
「そ……なんですね……良かった」
「どうしたんだ?」
「うん、その……昨日、痛がったから嫌われたのかなって」
ふいと背中を向けて横たわる朝日奈の背のあたりのベッドに月城が腰掛ける。
「悪かった、もう大丈夫か?」
「多分……慣れるまでごめんなさい」
「馬鹿、初めてが俺で良かった……嫉妬で狂うのは嫌だからな」
「うん……」
「朝食に行くか?」
「分かった用意するね」
シーツで身を隠しながら上半身を起こす彼女の鎖骨が見え月城の心臓が高鳴った、鎖骨下からドレスに見えない場所に執拗に吸い時には嚙んだ気がする、暗くてよく見えなかったが跡がついているのではないだろうか?
「あの……巽」
「なんだ?」
「じっと見られると着替えられないです」
拗ねたように口を尖らす朝日奈の頬は薄っすらと赤く思えばいつものように口数が多くない。
「ああ、そうかでも見たい」
「ななななっ何言ってんですか~」
「昨日は俺も無我夢中だったんだ……肌、白いな」
腕でシーツを抑えて胸辺りを隠す朝日奈との隙間を見ると赤い跡が見えた気がした。
「悪い」
一言詫びてから布団を引き下ろして彼女の肌を暴く鎖骨下の白い肌、まろみを帯びた胸にも数か所に赤い跡を確認する。
「きゃあああ巽!!」
「…………悪い、収まらなかった」
「なっ何が?」
月城が朝日奈の肩に手を置き体重を掛けて押し倒していく……月城を驚きの顔で見ている間に朝日奈はゆっくりとベッドに沈んでいった。
「あっあの!」
「隣で好きな女が寝ているんだ、我慢できなそうだからジムに走りに行った」
「はっはい!でも朝ごはんとかチェックアウト時間とか!!」
「それでも収まらなかった許せ……それとレイトチェックアウトだから安心しろ」
「巽!?巽が??」
「俺もただの男なんだ……ただの男の月城慧は嫌いか?」
「狡いです……嫌いなわけない___っ!!」
月城に見事に流された朝日奈がベッドから解放されたのは朝食には遅い時間でルームサービスのブランチになった。
膨れた朝日奈が月城に軽く不満を漏らすと困ったように笑いながら月城が詫び……いつのまにか朝日奈から敬語は消えていた。
観光もそこそこに東京に戻った月城を巽が揶揄してお赤飯を用意したり、月城に遠慮なく話すようになった朝日奈に九条が何故だか母親目線で寂しさを感じたりするのは後の話。
二人は今、幸せの絶頂にいた______
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