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第3章 恋と謎

本格的に冬が始まりだした11月末。
日に日に朝も晩も冷え込んで行き、外に出る時はマフラーが欠かせない。
香緒里もつい先日ようやくマフラーと手袋を部屋のクローゼットから取り出した。
そのマフラーで白い息の出る口元を隠し、身を縮こませながら通学路を歩く。

あと1ヶ月と少しで今年も終わる。
クリスマス、大晦日とイベントが目白押しであるが、例年通りであれば香緒里にはほとんど関係のないものだ。
だが、今年はもしかしたら……去年より楽しいかもしれない、なんて淡い思いを抱きながら、澄んだ空を見上げた。




学校に着くと、香緒里のクラス、2年1組の下駄箱の前で立ち止まっている人影を見つけた。
「千佳?」
「あ、香緒里………おはよ。」
「どうしたの?」
クラスメイトの二宮千佳は、下駄箱の上を覗いたり、他の人の下駄箱の蓋を開けたりしている。
声を掛けると、眉を下げ困った顔をしながらこちらを見た。
「上履きがなくって………どこいっちゃったんだろ……」
咄嗟に、もしかしてまたいじめ………??とも思ったが、数ヶ月前にあれ程の騒動があったのに、また起こるとは思えない。
「他のクラスの下駄箱は見た??」
「あ、それはまだ。ちょっと見てみる。」
2人で手分けして他の下駄箱を覗いていく。
登校してくる生徒も増えてきているが、香緒里たちを気にしている者はあまりいない。

結局、10分ほど探すも見つからず。
「うーんどこ行っちゃったんだろう………」
と眉を八の字にさせながら、千佳は先生への報告も兼ねて、スリッパを借りに職員室に向かって行った。
別れた香緒里も、なくなった理由について考えながら教室に向かったが、特にいい考えが思いつくことはなかった。





いじめから約2ヶ月。
香緒里には、何かが起こるような気がしてならなかった………
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