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第1章 いじめなんて

いじめをやめる。

そう、沙世と沢田が言ってから数日経ち、ようやくクラスも落ち着いてきた。

最初のうち、懲りていない何人かはターゲットを沙世と沢田に変えて再びいじめを始めようとした。
やはり、連鎖は止められないのか…
そう思ったのも束の間、一人が立ち上がった。

『いい加減にしろよ!お前らは自分がいじめられなきゃそれでいいのか?それなら一回いじめられてみろよ!そうでなきゃ俺らの気持ちわからないんだろ!?』
普段大人しい石川が突然、そう怒鳴った。クラス全員が唖然とする中、秀人が冷たくいった。
『いじめしたいんなら、勝手にすればいい。ただし、俺らや沢田達はもう巻き込むな。俺達はもうゲームは抜けたんだ。』

その言葉があってか、それからしばらくしてクラスに平穏が戻った。
さすがにやりすきた、ごめん。
と静達は香緒里に謝りに来て。
腹が立たないこともないが、香緒里は一つ息をつき、もういいよ。と言った。

平穏が、戻った。そう、戻ったのだ。
どれが一番良い結末だなんてわからない。
けれど…もう、これで良い気がした。


ただ、沢田のあの時の表情はなんだったのだろう…。
疑問が残る。




夏が終わり、ようやく秋に差し掛かりそうだ。
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