最強の悪霊と私の怪奇日常
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『キスの味ってどんな味なんだろう……』
「……突然なんだい?」
休日、部屋で雑誌を見ていたななしが突然そう呟いた。最上は姿を現すと、ななしを怪訝な目で見る。
『この雑誌に書いてあるんです。ファーストキスはレモン味とか』
「ロクなこと書いてないな……」
『でも私、興味あります』
目を輝かせ雑誌を最上に見せるななし。
『私、ファーストキスしたことないです』
「はあ……」
『だから憧れるなあ。でも本当にファーストキスってレモン味するんでしょうか?』
「さあねえ」
『最上さんはキスしたことありますか?』
その問いに、最上は少し目を見開いた。
「……ああ、したよ」
『やっぱり。最上さん結構年上ですしね。で?どんな味でしたか?』
「そんな質問を悪霊の私にするのは後にも先にも君だけだよ」
『だって気になるし』
「……もう、かなり昔のことだ。忘れたよ」
『なんだあ』
「なんで残念そうな顔をするんだい」
ジトリとななしを見る。
…………すると、
「ああ待て、思い出した」
『え?』
ななしは顔を上げると、そこにはニヤリと笑う最上の顔が近くにあった。
そして、唇に冷たい感触が伝わってきた。
「…………で?ファーストキスの味はどんなものだった?」
『…………何もなかったし、冷たかったです』
「悪霊だからね」
『もう!いきなり何するんですか!』
「別に問題はないだろう?私たちは恋人同士なんだから」
『命吸われるかと思った…………』
「悪霊は食うが口から生気は吸わないなあ」
『うえええ…!』
「その反応止めろ」
『うがいしてきます!最上さんのバーカ!』
「………………」
ドカドカと部屋から出て行ったななし。そんなななしをクスクス笑いながら見つめた最上だったが、ボソリとあることを呟いたのだった。
「また、君にキスしてしまったなあ……」
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