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【クロロ・ヒソカ】二人と旅する夢(長編/1章完結)

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デフォルトの名前はユリです

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デフォルトの名前はユリです


「あ、そういえば午後にコンサートの打ち合わせがあったような……。」

朝食を楽しんだユリは、そのままクロロとラウンジで過ごしていた。
非日常感にうっかり演奏の仕事が頭から抜けてしまったユリだが、スケジュールを思い出してよかったと、ほっと胸を撫で下ろした。
時計を見ると11時11分。
コンサートの打ち合わせは14時からなので、まだ間に合う時間だった。

「クロロ、ごめんね。悪いけど今日は本業の打ち合わせがあるのよ。準備して出掛けるから、またね」

そう言うと、ユリはルームキーを探しながらラウンジを出ようとした。

「──待て」

クロロの一言で思わず足を止める。

「私がいなくても、貴方なら大丈夫でしょう?」

ユリは理解できないという表情を示し、それを察するようにクロロが言葉を続けた。

「恐らくな。だが、これは依頼したものとは関係ない。──あえていうのであれば、願いだろうか。全ての講演を中止してオレに付いてきてくれないか。」
「…….!?」

戸惑ったものの、実質的に難しいことではない。
しかし、既に仕事を請け負っているクライアントについては信頼を失うリスクがある。
それを加味してもメリットがあるのか。
探るために問いかけた。

「それ本気で言ってるの? 理由次第では、考えてもいいけど」

するとクロロは少し考え込んで話し始める。

「ヨークシンでオークションが開催された日ことは覚えているか?」
「えぇ。あの日は負傷者を治癒していたもの、忘れないわ。──あ! もしかして、その時の演奏を聴いてたの?」
「むしろ、聴こえてきたと言うほうが正しいな」

普段ならコンサートホール等設備の整った施設で演奏するユリだが、あの日は幻影旅団の襲撃があり、気にする余裕もなかったのだ。

「生死の境で一刻を争う人もいたから、形振り構っていられなかったのよね」

それを聞いてクロロはふと思った。
襲撃した当事者である自分と相対して尚、ユリは何も責めることなく接しているのだ。
なぜ責めないのか、怒りの1つもないのか、疑問に思いつつもあえて口にはしなかった。

ユリが次の言葉を待つように伺ってくる。

「それで……?」
「──何故だろうな。あの時のユリの演奏が、これまでオレが見てきた何より美しいと思った」

意外な答えにユリは驚きを隠さなかった。

「数多の財宝を愛でてきた盗賊さんに言われるなんて、光栄だわ。でも、あの演奏はそんな良いモノじゃないの。場合によっては反動も大きいしね。」

場合によっては、と付け加えたのには意味がある。
ユリはクロロに自分の能力について語った。



(次のページはユリの念能力についての解説になります。読み飛ばしても話は繋がりますので、気になる方のみお付き合いください。)

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