01.Valentine
(※ほぼ会話文だけです)
ガ「……もうすぐ……バレンタインだな……」
デ「そういえば、もうそんな時期か……」
リ「早いですねぇ~」
デ・リ「「……で?」」
ガ「で?じゃなくて!二人はどうせ貰うんだろっ!?いいよなーモテ男はっ!」
リ「ま、まあ……僕は姉さんやフィーリアに貰えるかもしれませんけど……大して欲しいという訳でもありませんし……;」
デ「俺はミラージュがくれると言っていた。リースはマーナやデイジーがいるし、お前だって毎年城の者達に貰っているだろう?」
ガ「違うんだーっ!本命が欲しいの、本命っ!!」
リースがいつものようにヘラヘラと笑い、デイルが面倒臭そうにガードを横目で見ていると、そこへ、ナイトとシェリアが一緒にやってきた。
ナ「あれー?三人共何を話してるの?」
リ「ナイトさん!シェリアさんも……珍しいですね、二人がご一緒だったなんて」
シ「偶々そこで会ったってだけ。変な勘違いしないでくれない?それに、アンタ達が話してた事なんて、どうせ下らない事の一点張りでしょ?」
デ「心外だな。ミラージュのチョコが下らない事とは……」
シ「いや、アンタはちょっと黙っててくれない?っていうか、何話してるのかさっぱりなんだけど」
リ「あぁ、もうすぐバレンタインでしょう?その話をしていたのですよ」
ナ「バレンタイン……?
――あぁ!人間界にはそういうのがあるんだったね!アイリーも昔からよくくれたなぁ……人間界の……ちょこれーと?とかいう食べ物を……」
ナイトが懐かしそうにアイリーのくれたチョコレートを思い浮かべていると、シェリアがコテンと首を傾げた。
シ「……ばれんたいん?何それ」
ガ「えっ!?シェリアお前、バレンタイン知らねぇの!?」
シ「し、知ってるよ!バカにしないでくれない!?///
――えっと……えっと……――あっ!あれだ!冬になったら鬼のお面をして豆を投げる……」
デ「――それは節分だ」
シ「うっ……じゃ、じゃあ!紙に願いを書いて葉っぱに吊るす……」
リ「――それは七夕ですね。それと、七夕は夏のイベントです」
ガ「本当はお前、知らねぇんだな?バレンタインの事……」
シ「……わ、悪かったね。どうせボクは世間知らずの元王子だよ……///;;」
ガ「いや、言っとくけど、オレもデイルも王子だからな?」
真っ赤な顔で俯いているシェリアに、ガードが突っ込みに走った。ナイトがそこへ、解説とフォローに入る。
ナ「シェリア、バレンタインっていうのは、人間界で云うイベントの一つなんだ。女の子が好きな人やお世話になった人に、お菓子とか花束とかをあげるんだよ」
リ「それが、毎年2月の14日に行われているんです」
デ「まあ、俺のアークボルトにはあまり親しみのない文化だからな。お前の国にはそういう文化はなかったのか?兄妹とかから貰ったりとか……」
ガ「そうそう!お前、妹居たよな?もう死んじまってるみたいだけど……」
リ「ガードさんっ!」
ガードの言葉に、リースは珍しく怒鳴り声をあげた。
シェリアは3年前、魔王の手によって、故郷や家族、魔法学校時代の仲間達を失ってしまった。その時のショックは今も大きいだろう。
しかし、シェリアはリースの肩を掴んで微笑んだ。
シ「いいよリース、もう気にしてないから。でも2月の14日か……確かにその日にお菓子とか結構貰ったりしたような……そのバレンタインとか以前に大事なイベントがあったもんだから、プレゼントか何かだと勘違いしてたよ」
シェリアの言葉になんとなく理由を察したデイルが口を開いた。
デ「……成程な、お前の誕生日か」
シ「う、うん……――は?何でわかるの?」
デ「なんとなく」
ナ「えっ!?そうなの?シェリア」
リ「おめでとうございます、シェリアさん!」
ガ「なんだーそれならそうと言ってくれればいいのによ!まあ、とりあえずおめでとさん!」
シ「え……あ、ありが……――ハッ!バ、バッカじゃないの!?別に、違う日に誕生日祝われたくらい……じゃ……ぜんっぜん嬉しくも楽しくもないんだからねっ!///」
ナ「あっ、逃げた」
シェリアは相変わらずのツンデレ台詞を吐いて、真っ赤な顔でとっととその場を去っていった。
リ「シェリアさんはツンデレさんですからね~」
デ「本当に揶揄い甲斐がある奴だ」
ガ「揶揄ってたのかよ、デイル……;;」
意外に茶目っ気のあるデイルに、ガードは苦笑いしていた。
しかし、こんな事で終わることもなく、バレンタインデーはどんどん近づいていた――。
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