第一章 ~世界の異変・旅立ち~




三人が仲良く話していると、バンッ――と扉が大きな音を立てて開いた。
そこに立っていたのは、学園長の孫娘のマリアだった。



マ「ルーチェ先生!シャイン!ユリーアっ!」

ユ「あ、マリア!」

ル「マリアか……いきなり入ってくるとは何事だ。ノックぐらいしたらどうだ?」

マ「そんなことより大変なの!魔物がすぐそこまで攻めてきて……っ!!」


シ・ユ「「えっ!?」」


ル「……」



マリアの言葉に、シャインとユリーアは驚き固まる。ルーチェは何かを察していたような表情だった。
ルーチェはタンスをガサゴソと漁り始め、シャインとユリーアは固まったままマリアの話を聞いていた。



マ「ユリーア、シャインを連れて外へ逃げて!おじいさまからの命令なの!」

ユ「……!もしかして、"あれ"ですか?」

マ「ええ、そうよ。とにかく早く!ルーチェ先生も分かってますわよね?」

ル「――……よし、これでいいだろう」

マ「ルーチェ先生!!」



ルーチェは、タンスからジャリジャリという音が聞こえる大きな袋を掴み取った。恐らくお金が入った袋だろう。そして、ルーチェはニッと口角を上げた。



ル「……なんとなく予測はついていた。下がれ、マリア。一人でも多くの生徒を守らなくてはな」

マ「ええ、じゃあ先に戦闘に参加して来ますわ。急いで来てくださいませね」



マリアはそれだけ言うと、急いで部屋を出て行った。
ルーチェは、自分のベッドの隣に立て置いた剣を取り、袋をシャインに手渡してきた。



ル「シャイン、ユリーア、お前達はフィオール城に使いだ。いいな?」

シ「つ、使いって……兄さん、まさか……」

ル「ユリーアも……解ってるな?」

ユ「はいっ!」

ル「――よし、行けっ!」

シ「ちょ、ちょっと!ユリーア!?」



凛としたルーチェの声を合図に、ユリーアはシャインの腕を引っ張って部屋を出て行った。
ルーチェはそれを見送りながら切なげにフッと笑う。そして、何かをボソリと呟いた。



ル「――……シャイン、ユリーア、生きろ。お前達の父さんと母さんも、そして俺も……お前達を愛していたぞ……。


――またな、ユリーア……そして、シャイン・エルソン……」










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