プロローグ








ここは、魔法の聖地――光の大地ホーリーエデン

広く澄んだ空の下――そこに、4人の英雄達がいた。






シェ『まさか、本当に世界を救ってしまうとは……流石だね、ルース』



幼く中性的なメリアス族の少女――シェル・メリアス。



ア『はっきり言って、僕の治癒術が無ければ微妙でしたけどね』



最年長の雪国の青年――アークル・ミューズ。



マ『まあまあ、いいじゃないですか!これで世界は平和になったんですし!』



フィオール国の貴族令嬢――マーリス・フィオール。



ル『……そうだね。でも、なんだかパッとしないっていうかさ』



そして、彼らのリーダーである若き青年――ルース・エルソン。
彼らが、この世界を救った英雄魔法戦士マジックリストだ。

彼らは四大精霊エレメナイトの加護を受け、地・火・風・水のそれぞれの力を手に入れた、選ばれし魔法戦士。
この世界に伝わる四大元素エレメントを闇に染めた悪者を倒し、長き冒険に渡って、四大元素を元の光満ちた状態に戻したのだ。



ル『また同じような事があったら……それがいつかも分からないし……』


マ『大丈夫です!だってその時は、私達の子孫が倒してくれますから……ねっ、ルース!』


ル『うん、そうだね――って、えぇっ!?』



少し頬の赤いマーリスの問題発言に、ルースは顔を真っ赤にして驚いた。
それにノリ気でシェルの方を向くアークル。



ア『子孫ですか、いいですね~!どうです?シェル。僕と一緒に――イデッ!』


シェ『バカな事言わないで。ボクがアンタと?冗談じゃないよ。頭冷やしてきたら?』


ア『いいじゃないですか!』



口説いてくるアークルに、シェルが思いっきり拳骨を食らわす。
アークルを軽く睨んではいるが、少し照れ隠しのようにも見えた。



シェ『煩いね、アンタと結婚するくらいならジュピターとがいいよ。アンタと結婚なんて、ぜーったいにイヤだ』


マ『まあまあ、シェルもそこまで言わなくても……ああ、アークルも元気出して!』



最年少のシェルは、風の精霊ジュピターにとても懐いていた。
彼の種族であるメリアス族は、周りに子供があまりいない環境であったので、一番若々しい彼の事を兄のように思っていたのだろう。
それを知っているルースとマーリスは、シェルに優しく微笑んだ。



ル『そうだよ、シェル。まずは精霊様達に報告しないと!』


マ『そうですよ!シェル、ジュピターさんが心配してるはずよ』


シェ『ジュピターを待たせるわけにはいかないよね。アークルもほら、早くしないと置いてくからねっ』


ア『あっ!ちょっと、待って下さい!!』



4人は、精霊が住む聖なる森の方へ駆けだした。


これが、この物語の終結になる――はずだった。


幻と化そうとしていたこの物語が、およそ100年の年月を経て、再び動き出すこととなる――。








1/1ページ
スキ