第一章 ~王女人生の転機・旅立ち~
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――あれから一週間後。
レントはいつものように、稽古場で剣の稽古を受けていた。
ブ「王女、そろそろ休憩の時間ですぞ」
『そうだな、少し休むか……』
兵団長のブラストに声をかけられ、レントは剣を振るっていた手を止めた。
休息をとる為、レントはブラストと共に、古びた木の椅子に座る。
ブ「しかし、本当に強くなられましたな。もうこのオレが教えられることは何もない……」
『俺なんてまだまだ甘いさ。もっと強くなって、いつかブラストをも超えてみせるよ』
ブ「ほぉ、それは楽しみだ!一体どこまで強くなってくれるのだろうな、我が国の王女様は……」
感心したように豪快に笑うブラストに、レントは少し恥ずかしそうに頬を赤くした。
ブラストと笑い合い、他愛もない事を話すレントを見て、ブラストも他の兵士達も、日に日に彼女の笑顔が見られるようになったことに安心していた。
しかし、いつもはというと、あと一歩というところで彼女はまた"冷酷"な姿に戻ってしまうので、少し心配している者もいた。
彼女にとって、変わらない普通の日常を送っていた、そんな時――彼女の人生の転機ともいえる存在が現れた。
兵「ブラスト兵団長、例の件の挑戦者が現れました!」
ブ「そうか。ガルシア達はどうだったのだ?」
兵「そ、それが……」
休憩中のヘル達の目の前に現れたのは、焦って階段を下りてきた一人の兵士。
普段のこの城ならこんな話ですぐに盛り上がるのだが、今回は違った。ここまで兵士が焦る姿を、レントは見たことが無かった。
レントは少し不思議に思い、ブラストと兵士の方へ歩み寄った。
レント(――北の洞窟のアレだな。どいつもこいつも出来損ないばかりだったのに……今度はどうしたというんだ?)
はぁ……と大きな溜め息をつくレント。戦士の国の出身という事で勿論強い物好きな彼女は、この現実に非常にガッカリしていた。
あれから数人の旅人が現れたのだが、大体の者がガルシアとの手合わせ程度で逃げ出していったのだ。
洞窟で見張りをしていた兵士達も、数人魔物にやられて負傷――また、残酷な事に亡くなってしまった者もいて、国民からは心配の声が轟いていた。
兵士がブラストに事を話すと、ブラストの驚きの大声が稽古場に響き渡った。
ブ「何っ!?全員やられただと!?」
『なっ!』
考え事をしていたせいか、レントはブラストの大声に驚く。だが、それ以上にあのガルシア達が負けたという現実に驚いていた。今まであの三人に敵う者はいなかったからだ。
兵「は、はい。王女と同年代くらいの青年が、今にも人を殺しそうな目で斬りかかってきて……全員命に別状はありませんが、かなりの負傷数で……スコットさんやホリディさんも降参なさった程……」
ブ「そんなに強い奴なのか!?」
『お、俺と同年代で、あのガルシア達を……?』
レントは驚きを隠せず、ハハ……と薄ら笑いした。冗談だ――とでも思ったのだろう。
彼女でさえ、剣だけではガルシアと互角に戦えるくらいなのだ。そんなことがあってたまるか――と、レントだけでなくブラストまでそう思っていた。
ブ「さっさとその青年を連れてくるのだ!!」
兵「は、はっ!」
いつもより強い剣幕で怒鳴るブラストに、兵士は少し怯え焦りながらも、走ってその場を去った。
ブラストはまだ固まっているように見えるが、レントは思わず目をキラキラと輝かせていた。
『凄い。幾らなんでも凄すぎる……他の兵士だけでなく、あの3人まで倒してしまうなんて……!一体どんな奴なんだろうな、ブラスト』
ブ「そ、そう……ですな……」
いつもより楽しそうな彼女に、ブラストは少し困惑する。普段クールな彼女だが、やはり血は争えないのであろう。強いものにはどうしても目がないレントなのだった。