第零章 ~プロローグ~
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ラ「――じゃあ、指切りをしないか?」
『……ユビ……キリ……?』
ラ「ああ。こうやって小指と小指を絡めて……これで指切りだ。約束の証だよ」
『やくそく?』
金髪の少年――ランスが、妹――レントの小指と自分の小指を絡める。
首を傾げるレントに、ランスはいつもの優しい笑顔を見せた。
ラ「そうだ。俺達がもう少し大人になったら、一緒に外に出よう。きっと感動するぞ!外は空と海と大地で広がっていて、そして繋がっているんだ。白い砂浜には蒼い海があって、広がる空には雲がある……見てみたいと思わないか?」
『うん、見たいっ!お兄様、約束だよ!!』
ラ「ああ、約束だ」
そう誓い合い、二人は微笑みあって指切りをした。
たった二人の兄妹の、"たった一つの夢"。
しかし、この時の二人には分かるはずもなかった。
この夢は、永遠に叶わぬものになってしまう事を――。
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『――お兄様……?』
城の者達の静止を聞かず、魔物討伐に出かけた兄――ランス・アークボルト。
彼は、彼が心の底から愛していたこのアークボルトの地で生まれ、そして息絶えた。
彼の妹――レント・アークボルトは、兄が向かったという城の南の森に来たのだが、そこにあったのは焼け焦げた兄の死体だけだった。
レントは、まるでオバケを見るかのような目で驚く。
無理もない。ついさっきまで自分と話していた兄が、"死んでいた"のだから――。
『ウソでしょ……?ねえ、お兄様ってば!!!』
どんなに擦っても、どんなに声を掛けても、目の前で横たわっている大好きな兄は起きてはくれない。
その瞬間、レントの青い瞳から大粒の涙が溢れ出てきた。
――あぁ、私の大好きな兄はもういないんだ。
『――私のせいだ……っ!』
死んでしまった兄の死体に、レントの涙がポタポタと零れ落ちる。
それと同時に、兄が城を出ると言った時に"お兄様なら大丈夫"と両親に言った事を思い出した。
『私のせいだ……っ!あの時私が止めていたら、お兄様は死ななかったのに……!!』
止まらない涙を乱暴に拭いながら、自分を責め続ける。
――自分があの時止められていたなら……。
もう叶うはずもないことが頭を過ぎった。
『ごめん、お兄様……私のせいで……ごめんなさい……』
途切れ途切れに、レントはそう小さく呟いた。
そして、レントは魔物達への復讐を決めたのだ。
――兄と同じ道を味わせてやる、と……。
その時、レントの周りに山火事になっても可笑しくない程の炎が燃え盛っていた。
静かな森を睨む彼女の瞳は、どこか兄に似ていたのと同時に、怒りの色に塗れていた――。
これが"俺"の始まりであり、"炎の姫レント"の誕生である。