運命は愛を呼ぶ 【楓様リクエスト】
――そして、ついにあれから一か月が経った日の朝……。
ユーリとレントは、初めて互いが出会った場所で目を覚ました。そこには、タヌタヌが立っていた。
二人は慣れない木でできた空間を見つめた後、そこがどこなのかを理解した。
レ「――ここは……ユーリと初めて会った……そうか、もう一か月か……タヌタヌ、これで帰れるんだろうな?」
タ「ああ、お主達には世話になった。じゃが、できればもう少しいてほしいのぉ……」
ユ「断る。約束は約束だからな」
タ「そうか……やはりそうじゃよなぁ……」
残念そうな表情をするタヌタヌ。
すると、レントが"あの日"の事を思い出すようにハッとした。
レ「……ところでタヌタヌ、俺達がこの世界に来る前に会ったあの妖精――アイツもポケモンとやらの仲間なのか?」
タ「そうじゃ。あれは森の護り神――セレビィじゃ」
ユ「セレビィ?」
セレビィ――それは、二人がこの世界に来るきっかけとなった妖精の事だ。
ユーリとレントが首を傾げていると、小さな穴の隙間から、聞き覚えのある声がやって来た。
セ「~~♪」
ユ「あ、お前……!」
――そう、セレビィだ。恐らく、タヌタヌの力により連れてこられたのだろう。
ユーリは珍しく目を大きく開けて驚いている。
レントは、その緑色の生き物に頬を緩ませて見惚れていた。
レ「これがセレビィ……可愛い……♡」
ユ「……やっぱり、可愛い物には目が無いんだな」
レ「――!そ、そんなことは……っ!!///」
タ「顔に出とるぞ~可愛い奴め~♪このこのっ!」
レ「煩い((睨」
タ「えっ……あの……ユーリの時との扱いの差が偉く離れてません??;;」
レ「ゆ、ユーリならまだ許せる……でもお前だけは絶対に許さない!よくもこんな可愛い妖精を利用して、俺達をこの世界に連れてきたなっ!?」
タ「ちょ、ちょっと待てレント!オイラの時との対応の差……!泣いてもいい?」
レ「知るかっ!💢
――よしよし、やっぱり可愛い♡」
ユ「……っ//」
レントはタヌタヌに怒鳴った後、セレビィの方に向き直り、セレビィの頭を優しく撫でまわした。
そんな子供らしいレントの姿を見て、ユーリは珍しく彼女に見惚れていた。
そんな二人の様子に、タヌタヌは嬉しそうにうんうんと頷く。
タ「そうじゃろう、そうじゃろう?元の世界に帰ればこの子とはもう会えんぞ。それでもいいのか?」
レ「そ、それは……嫌……それに、ユーリと会えなくなるのも……ちょっと寂しい……し……//」
ユ「レント……だが、これ以上先延ばしにしたらカロル先生やエステル達に悪いしな……オレはそろそろ元の世界に戻らなくちゃならねぇ」
レ「……そうだよな。俺もアークボルトに戻らないと……父様や母様も……レックやミレーユ達も心配するし……」
寂しそうに別れを拒む二人。
それもそうだ。一か月というのは、あまりにも長いようで短い期間。そんな中で出会い、二人は互いに恋心を抱いている。
自分の心に鈍感なレントこそは気づいてはいないが、自分の心に正直なユーリは、既に自分の気持ちに気付き始めていた。だから、今からすぐに別れだというのが辛く感じても仕方の無い事なのだ。
二人が寂しそうに俯いていると、タヌタヌがニッコリと微笑んで、とある提案を上げてきた。
タ「ふむ……ならば、一度この世界の事をその大切な仲間達に話してきてはどうじゃ?実はまだまだお主達に帰ってもらう訳にはいかんのでな。暮らしの為の資金などはオイラが用意する。一度考えてはくれぬか?」
レ「……そうだな、それも一個の
ユ「……」
少し元気を取り戻した二人。二人は、最初こそは拒んでいたはずのこの世界を、いつの間にか好きになってしまっていることに気が付いた。
そして、互いがどんなに信用しあっていたのかも――。
レ「……ねぇ、ユーリ」
ユ「ん?なんだ?レント」
すると、レントは突然、ユーリの服の袖を掴んで彼を見上げた。ユーリはそれに応えるように、レントの方へ首を動かす。
レ「……我儘なのは分かってる。でも、あと少しだけ……少しだけ……俺と……私と付き合ってくれますか?」
突然のレントの言葉に、ユーリは目を丸くした。
しかし、すぐにレントの手を取って、優しい笑顔でウィンクをした。
ユ「――そうこなくっちゃな」
ユーリのそのウィンクと笑顔を見て、レントは彼の手を握り返し、嬉しそうに微笑んだ――。
レ「これからも宜しくねっ!ユーリ♪」
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