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街は何時もより華やかだ。なにしろ明後日は女の子の一大イベント、バレンタインデーなのだから。
って、いやいやいやいや。これを私があの人に?渡す?無理だろ。だいたいあの人忙しいし?会えるかもわからないのに?
なんてスーパーのバレンタインデー特集の前で一人でたちどまる。いやでも、渡したら少しでも喜んでくれるだろうか、笑ってくれるだろうか。チョコレート会社の策略だとしても、恋人がいて、喜んでくれるかもしれないなら悔しいが参加せざるを得ないだろう。一人で自己解決し、作るとしたらと前々から考えていた材料だけをカゴに入れ会計を済ます。
夜、皆が部屋に戻ったあとに一人でキッチンに残る。母さんからはすごいニヤニヤされたが無視だ。先に作り方を頭のなかに入れていたモノを作成にとりかかる。チョコレートを刻み、温めていた生クリームに入れ溶かす。完全に溶けきったらクッキングシートをしいたバットのなかに入れ冷蔵庫で冷やす。
作り方は間違えてはないが、味の保証は出来ない。明日味見をして見てダメだったらもう一度作り直そう、と思い片付けに取りかかる。横目で見たラッピングの道具をどう使うかも考えながら。
次の日、学校から帰って味見をする。どうやら味は悪くないようだ。綺麗に切り分けココアパウダーをまぶす。専用の箱に入れ一息つく。後は渡せるかどうかだ、と気合いも入れ直しておく。バレンタインデー当日は明日まで迫っていた。
「あー、疲れた。ダルいっす。」
隊室で机に突っ伏した状態の半崎に苦笑しながら頭を撫でる。
「確かに、多かったな。今回」
半崎の言葉に穂刈が返す。
「きっとバレンタインデーでだからリア充はぜろーってやつじゃないっすか」
「近界民にバレンタインとかあんのかよ」
「そこは知らないっすけどー」
と話しつつ今日の反省会を占める。今回の任務は夕方だったので外は暗くなり始めている。加賀美を送ると穂刈が言い出すと
「私今日まこちゃんと帰る約束してるんだよねー。」
と加賀美が言い出すのでそれじゃあと言うことで東隊室まで迎えにいくことにした。私も東さんに聞きたいことがあるから、とついていくことにし半崎は笹森が待ってるからと隊室で別れた。
東隊室につくとまこが待ってましたというように部屋から出てくる。
「東さんはいるか?」
「東さんねー、冬島さんにつれてかれちゃったけど、荷物あるからすぐ戻ってくると思うよ。」
どうする?と問いかける彼女に隊室で待たせて貰うことにし、三人に別れを告げる。
東さんの席に座りカバンの中身を確かめる。うん、忘れてない。しかし東さんの席は当然のように東さんの匂いがし、緊張が激しくなる。大丈夫だ、落ち着けと一人で納得させる。その時見計らったようにドアが開く。カツカツと足音がこちらへ近付く。私に気付いたらしい東さんが声をあげる。
「うぉ、荒船。来てたのか」
「ども。お邪魔してます。」
「なんだ、何か用事でもあったか」
問いかけてくるその声にはい、とだけ返事をしてカバンの中身を取り出す。
「これ、今日バレンタインじゃないすか。だから、その、貰ってくれますか…」
照れが強くなり最後になるほど声が小さくなったが東さんには届いたようだ。頭を撫でられて、
「有難う、これお前の手作りか?」
「悪いかよ…返品は不可だからな」
耐えきれなくなりプイッとそっぽを向く。そんな私に苦笑しながらも、有難うと言っているだろ?とキスをしてくれた。なんかとてつもなく恥ずかしくなって東さんの胸に頭を押し付ける。東さんはそっと抱き締め返してくれた。それだけでもうどうでもいいくらい幸せになれる私は単純だ。
それでも、たまにはこんなのも悪くない、と大好きな人の体温と匂いを感じながら思った。
って、いやいやいやいや。これを私があの人に?渡す?無理だろ。だいたいあの人忙しいし?会えるかもわからないのに?
なんてスーパーのバレンタインデー特集の前で一人でたちどまる。いやでも、渡したら少しでも喜んでくれるだろうか、笑ってくれるだろうか。チョコレート会社の策略だとしても、恋人がいて、喜んでくれるかもしれないなら悔しいが参加せざるを得ないだろう。一人で自己解決し、作るとしたらと前々から考えていた材料だけをカゴに入れ会計を済ます。
夜、皆が部屋に戻ったあとに一人でキッチンに残る。母さんからはすごいニヤニヤされたが無視だ。先に作り方を頭のなかに入れていたモノを作成にとりかかる。チョコレートを刻み、温めていた生クリームに入れ溶かす。完全に溶けきったらクッキングシートをしいたバットのなかに入れ冷蔵庫で冷やす。
作り方は間違えてはないが、味の保証は出来ない。明日味見をして見てダメだったらもう一度作り直そう、と思い片付けに取りかかる。横目で見たラッピングの道具をどう使うかも考えながら。
次の日、学校から帰って味見をする。どうやら味は悪くないようだ。綺麗に切り分けココアパウダーをまぶす。専用の箱に入れ一息つく。後は渡せるかどうかだ、と気合いも入れ直しておく。バレンタインデー当日は明日まで迫っていた。
「あー、疲れた。ダルいっす。」
隊室で机に突っ伏した状態の半崎に苦笑しながら頭を撫でる。
「確かに、多かったな。今回」
半崎の言葉に穂刈が返す。
「きっとバレンタインデーでだからリア充はぜろーってやつじゃないっすか」
「近界民にバレンタインとかあんのかよ」
「そこは知らないっすけどー」
と話しつつ今日の反省会を占める。今回の任務は夕方だったので外は暗くなり始めている。加賀美を送ると穂刈が言い出すと
「私今日まこちゃんと帰る約束してるんだよねー。」
と加賀美が言い出すのでそれじゃあと言うことで東隊室まで迎えにいくことにした。私も東さんに聞きたいことがあるから、とついていくことにし半崎は笹森が待ってるからと隊室で別れた。
東隊室につくとまこが待ってましたというように部屋から出てくる。
「東さんはいるか?」
「東さんねー、冬島さんにつれてかれちゃったけど、荷物あるからすぐ戻ってくると思うよ。」
どうする?と問いかける彼女に隊室で待たせて貰うことにし、三人に別れを告げる。
東さんの席に座りカバンの中身を確かめる。うん、忘れてない。しかし東さんの席は当然のように東さんの匂いがし、緊張が激しくなる。大丈夫だ、落ち着けと一人で納得させる。その時見計らったようにドアが開く。カツカツと足音がこちらへ近付く。私に気付いたらしい東さんが声をあげる。
「うぉ、荒船。来てたのか」
「ども。お邪魔してます。」
「なんだ、何か用事でもあったか」
問いかけてくるその声にはい、とだけ返事をしてカバンの中身を取り出す。
「これ、今日バレンタインじゃないすか。だから、その、貰ってくれますか…」
照れが強くなり最後になるほど声が小さくなったが東さんには届いたようだ。頭を撫でられて、
「有難う、これお前の手作りか?」
「悪いかよ…返品は不可だからな」
耐えきれなくなりプイッとそっぽを向く。そんな私に苦笑しながらも、有難うと言っているだろ?とキスをしてくれた。なんかとてつもなく恥ずかしくなって東さんの胸に頭を押し付ける。東さんはそっと抱き締め返してくれた。それだけでもうどうでもいいくらい幸せになれる私は単純だ。
それでも、たまにはこんなのも悪くない、と大好きな人の体温と匂いを感じながら思った。