WT
ズモモモモモ、と効果音がつきそうなほど黒いオーラを放っているのは俺の隊の隊長で。いつもの愚痴を聞いているからある程度察しはつくんだけど(日佐人からも聞いてるし)そのオーラで隊室を満たされるとゲームもやりにくいもので。頼りになる先輩達は用事があっていないので、結局俺が聞くことになる訳で。つまりなんだ、ダルイ。
「たいーちょー、今度はなにやらかしたんすか」
俺の言葉を待ってましたとばかりに食いついてくる
「ちっげーよ!!!やらかしたとか、そんなんじゃなくて……」
隊長にしては珍しく(あの人に関することなら珍しくは無いが)言い淀む。
「じゃあなんでそんなオーラ出してるんすか」
そう聞くと言いにくそうに返してくる
「また、諏訪さんと喧嘩した。」
ほら、やっぱり。てか、この人がこんなになるのは友人の隊長、諏訪洸太郎に対してだけだ。他のことに関してはとても男らしいのに恋愛になるとこうだ。これがギャップ萌えってやつなんだろうか。生憎恋愛ゲーは許容外だ。
「こんなんじゃ、告白すらできねえよ。喧嘩ばっかで可愛くねえガキから告白されても迷惑だろ……」
だんだんと尻すぼみになっていく声。正直傍から見ると諏訪さんは隊長にベタ惚れだろう。日佐人が言うにも諏訪隊室じゃあ諏訪さんもこんな感じで堤さんから呆れられているらしい。全く、どうしてこうも面倒くさいのだろう恋愛とやらは。……少し先輩の口調が移ってきたかもしれない、気を付けよう。
話を戻すが本当に彼らは付き合ってないの?と聞かれるくらいあからさまなのだ。気づいていないのは本人達だけ。まさに漫画のような展開だ。テンプレだ。
まあ、俺だって隊長にはお世話になっている訳で、尊敬だってしてる訳で、笑っていて欲しくもあり、つまり幸せになって欲しい訳で。
「ねえ、隊長。告白してみればいいんじゃないすか」
「それが出来てたら苦労しねえよ!!」
「大丈夫ですって。俺が保証します」
俺が言い切るのが珍しかったのか隊長が考える
「なんでそんな自信あんだよ」
そりゃあ見てれば分かりますからね、とは流石に言えないのでなんとなく流す
「だって、隊長格好良いじゃないすか。俺の自慢の隊長すもん。」
そんなアンタが振られるわけない。とまでは言えなかったがそれは伝わったようで暫らく悩むようにしながら押し黙る。顔を上げると少し照れくさそうにしながら
「お前がそこまで言うのって珍しいな。なんだよ、そんな風に思ってたのかよ」
なんて言うもんだから恥ずかしくなって軽口のように返す
「そうっすよ。悪いっすか。だから隊長も自信もって言ってきてください。あたって砕けろっすよ」
「砕けること前提かよ」
隊長がようやく笑った。うん、やっぱり笑顔の方が隊長には似合う。
「そういうことすから、ささっとこくってきて下さい。もしものことがあればダッツ、奢ってもいいっすよ」
「お前に奢られるようじゃかっこつかねえじゃねえか。任せろ。お前に奢らせやしねえよ」
そう言って笑う隊長は本当に格好良い。
その隊長の表情を見てこっそりスマホのチャットアプリをいじる。宛先は日佐人。彼奴には隊室に諏訪さんだけ残すという最後の仕上げをやってもらわなくちゃいけないからな。すぐに了承の返事がきた。
「隊長、善は急げっすよ。気持ち変わる前に言ってきてください」
「それもそうだな。よし、言ってくるぜ。ありがとな半崎」
心を決めた顔をした隊長は本当に思い切りがいい、男らしすぎるくらいだ。俺の頭を撫でるとスタスタと隊室を出ていく。後はあの人の嬉しそうな顔を見るだけだ。よく頑張った俺。後でアイス奢ってもらう。それぐらいいいだろう。
俺はやりかけのゲームを再開した。
ダッダッダッダッ
物凄い足音が聞こえる。ったく走るんならもっと静かに走れよな。俺の情けなさに呆れた堤がラウンジへ行くというのに日佐人もおサノも付いて行っまちまったし何をしようか考えている間に隊室のドアが勢いよく開く。
そこにいるのは想い人で、可愛くて可愛くねえ後輩のガキ。息を切らして顔を真っ赤にしてツカツカと入ってくる。
「お、おいどうしたんだよ……?」
「なあ!諏訪さん!俺!諏訪さんのことが!」
一言一言自分に言い聞かせるように紡ぐ。まさか、その一言が頭をよぎる。
「好きなんだ」
それは俺の待ち望んでいた言葉で、俺が言いたくて言えなかった言葉で。つまりは
「俺も好きだよ、荒船」
──告白してもいいかい?──
「たいーちょー、今度はなにやらかしたんすか」
俺の言葉を待ってましたとばかりに食いついてくる
「ちっげーよ!!!やらかしたとか、そんなんじゃなくて……」
隊長にしては珍しく(あの人に関することなら珍しくは無いが)言い淀む。
「じゃあなんでそんなオーラ出してるんすか」
そう聞くと言いにくそうに返してくる
「また、諏訪さんと喧嘩した。」
ほら、やっぱり。てか、この人がこんなになるのは友人の隊長、諏訪洸太郎に対してだけだ。他のことに関してはとても男らしいのに恋愛になるとこうだ。これがギャップ萌えってやつなんだろうか。生憎恋愛ゲーは許容外だ。
「こんなんじゃ、告白すらできねえよ。喧嘩ばっかで可愛くねえガキから告白されても迷惑だろ……」
だんだんと尻すぼみになっていく声。正直傍から見ると諏訪さんは隊長にベタ惚れだろう。日佐人が言うにも諏訪隊室じゃあ諏訪さんもこんな感じで堤さんから呆れられているらしい。全く、どうしてこうも面倒くさいのだろう恋愛とやらは。……少し先輩の口調が移ってきたかもしれない、気を付けよう。
話を戻すが本当に彼らは付き合ってないの?と聞かれるくらいあからさまなのだ。気づいていないのは本人達だけ。まさに漫画のような展開だ。テンプレだ。
まあ、俺だって隊長にはお世話になっている訳で、尊敬だってしてる訳で、笑っていて欲しくもあり、つまり幸せになって欲しい訳で。
「ねえ、隊長。告白してみればいいんじゃないすか」
「それが出来てたら苦労しねえよ!!」
「大丈夫ですって。俺が保証します」
俺が言い切るのが珍しかったのか隊長が考える
「なんでそんな自信あんだよ」
そりゃあ見てれば分かりますからね、とは流石に言えないのでなんとなく流す
「だって、隊長格好良いじゃないすか。俺の自慢の隊長すもん。」
そんなアンタが振られるわけない。とまでは言えなかったがそれは伝わったようで暫らく悩むようにしながら押し黙る。顔を上げると少し照れくさそうにしながら
「お前がそこまで言うのって珍しいな。なんだよ、そんな風に思ってたのかよ」
なんて言うもんだから恥ずかしくなって軽口のように返す
「そうっすよ。悪いっすか。だから隊長も自信もって言ってきてください。あたって砕けろっすよ」
「砕けること前提かよ」
隊長がようやく笑った。うん、やっぱり笑顔の方が隊長には似合う。
「そういうことすから、ささっとこくってきて下さい。もしものことがあればダッツ、奢ってもいいっすよ」
「お前に奢られるようじゃかっこつかねえじゃねえか。任せろ。お前に奢らせやしねえよ」
そう言って笑う隊長は本当に格好良い。
その隊長の表情を見てこっそりスマホのチャットアプリをいじる。宛先は日佐人。彼奴には隊室に諏訪さんだけ残すという最後の仕上げをやってもらわなくちゃいけないからな。すぐに了承の返事がきた。
「隊長、善は急げっすよ。気持ち変わる前に言ってきてください」
「それもそうだな。よし、言ってくるぜ。ありがとな半崎」
心を決めた顔をした隊長は本当に思い切りがいい、男らしすぎるくらいだ。俺の頭を撫でるとスタスタと隊室を出ていく。後はあの人の嬉しそうな顔を見るだけだ。よく頑張った俺。後でアイス奢ってもらう。それぐらいいいだろう。
俺はやりかけのゲームを再開した。
ダッダッダッダッ
物凄い足音が聞こえる。ったく走るんならもっと静かに走れよな。俺の情けなさに呆れた堤がラウンジへ行くというのに日佐人もおサノも付いて行っまちまったし何をしようか考えている間に隊室のドアが勢いよく開く。
そこにいるのは想い人で、可愛くて可愛くねえ後輩のガキ。息を切らして顔を真っ赤にしてツカツカと入ってくる。
「お、おいどうしたんだよ……?」
「なあ!諏訪さん!俺!諏訪さんのことが!」
一言一言自分に言い聞かせるように紡ぐ。まさか、その一言が頭をよぎる。
「好きなんだ」
それは俺の待ち望んでいた言葉で、俺が言いたくて言えなかった言葉で。つまりは
「俺も好きだよ、荒船」
──告白してもいいかい?──
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