ドシン、と体が軋む、重い。
痛い、と感覚が頭へ届く前に周囲の悲鳴らしき声が聞こえる。思考回路を回す前に意識は途絶えていった。

















ーーーーはっ・・！？
意識が戻ると同時にがばりと体を飛び起こす。あれ、私轢かれ、てない？徐々にはっきりとしていく記憶に今更ながら青ざめる。何冷静に対応してたのか、過去の自分！！と、一頻り罵倒し終わると意識は周りへと向く。
あれ？よく見たら此処どこ？なーんか現代日本じゃあありませんよね！！！？
時代劇でよく見るような日本家屋がずらりと広い道の両サイドに建ち並ぶ。ここは、まるで江戸のような・・・？
時は真夜中、多分だけど。町はしーんと静まり返り人々の生活音は何一つ聞こえない、はずなんだけど。何か足音聞こえませんかね？しかも随分鼻息の荒い音。あれこれ振り返って大丈夫なヤツ？よくあるホラー映画や都市伝説的なヤツ？？？？
碌な考えが出てこない。やばい、やばい、どうしよう。思ってた以上に私はいざという時動けない人種だったらしい。こんな時動けてた物語の主人公たちを改めて尊敬する。なんて考えている間にも音はどんどん近づいてくる。
私は動けるわけもなくただ次の衝撃を身構えた。

ザシュッと体に痛みが走る

「いっ」

悲鳴なんて上げる余裕もない。ただただ痛い。怖い。助けて。
なんて思考を読み取ってくれる訳もなくその『何か』は私を切りつける。楽しそうに。永遠のようなその時間は急に途絶えた。
ぐえっと蛙の潰れたような声を上げて『何か』は倒れる。『何か』を倒した誰かが声を発する。その声は凛と響いてとても心地のよいものだった。

「ほう、まだ息をするか。女よ。おもしろい。万に一つもあるとは限らぬ縁よ。どうなるかは貴様の運しだいだな。」

目の前が真っ赤に染まる。不思議と嫌悪感は無く寧ろ安心するようだった。



「はあ！！？なんだこれ！？なんで羅刹が倒れて女が生きてるんだよ！？」

何か声が聞こえる、様な気がした。意識を保つことは出来ずにそのまま闇へと消えていく。