観月はじめ
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星と月
「きれーい!」
季節は冬。冬休みの予定を聞かれたので親が海外赴任中だから寮に残ると伝えたら、はじめくんの帰省に同行させてもらえることになった。私が寝泊りさせてもらう二階の客間に案内してもらって、はじめくんが換気のために開けた窓から身を乗り出して空を見上げたら、東京よりずっと沢山の星が輝いていた。
「東京じゃ、こんな景色見れませんね」
「うん。こんなに綺麗な空、初めて見た」
私は夜空に見入った。はじめくんも私の隣で空を見ていたけれど「ここで待っていなさい」と言いつけ、窓を離れた。いつもは言いつけを無視してふらふら周りを散歩して怒られているのだが、今日は大人しく窓際に張り付いていた。はじめくんの家は果樹園のなかにぽっかり建っており、周囲に建物はないので見晴らしが良い。風の通りも良い。寒いけれど、冬の澄んだ空気は美味しかった。
「名前」
名前を呼ばれて振り返ると、はじめくんはなぜかコートを着ていて、手には私のコートを持っていた。
「着なさい」
「えっ何?」
「出かけますよ」
「今から? どこに?」
訳がわからないままコートを着ると、私の首にマフラーをぐるぐると巻いて、耳当てを付けて、手袋をはめられた。私はされるがまま。すっかり雪だるま状態だ。マフラーを巻いて乱れた髪の毛を整えている彼を非難するように見つめると、子どもっぽく微笑み返された。
「星がもっと、綺麗に見られるところにですよ」
家から歩いて何分経ったか。雪の中を歩くのに慣れていないので、手を引いて貰っている。夜空の下にエスコートだ。果樹園を抜けてしばらく歩いた先に丘があり、除雪された階段を登る。
「わあ」
登り切って上を見上げると、視界が星で埋まる。
「まるでプラネタリウムみたい」
「天然モノですよ」
「とっても綺麗!」
私ははじめくんの手を離れて、丘の上ではしゃいだ。雪が積もる中飛び跳ねて、つんのめって雪に倒れ込んだら、はじめくんが呆れた顔で助けてくれた。
「鼻が赤くなってますね」
「え」
本当に? そう返答しようとはじめくん顔を見上げたら、鼻にキスされた。呆気にとられて、ぼうっとはじめくんの瞳を見つめる。その瞳は、星空に輝く月みたいに美しかった。
「そろそろ帰りましょうか。これ以上冷えないうちに」
私は頷いた。雪に突っ込んだくせに、なぜだか私の体温は上がりっぱなしだった。
Twitterにてお題を募集して「プラネタリウム」とお題を頂きました。ありがとうございました。
観月の実家、どんなのかわかんなかったので空想で書いたんですけどどこかに記述ありましたっけ? 知ってたら教えてください。
2021/02/08
星と月
「きれーい!」
季節は冬。冬休みの予定を聞かれたので親が海外赴任中だから寮に残ると伝えたら、はじめくんの帰省に同行させてもらえることになった。私が寝泊りさせてもらう二階の客間に案内してもらって、はじめくんが換気のために開けた窓から身を乗り出して空を見上げたら、東京よりずっと沢山の星が輝いていた。
「東京じゃ、こんな景色見れませんね」
「うん。こんなに綺麗な空、初めて見た」
私は夜空に見入った。はじめくんも私の隣で空を見ていたけれど「ここで待っていなさい」と言いつけ、窓を離れた。いつもは言いつけを無視してふらふら周りを散歩して怒られているのだが、今日は大人しく窓際に張り付いていた。はじめくんの家は果樹園のなかにぽっかり建っており、周囲に建物はないので見晴らしが良い。風の通りも良い。寒いけれど、冬の澄んだ空気は美味しかった。
「名前」
名前を呼ばれて振り返ると、はじめくんはなぜかコートを着ていて、手には私のコートを持っていた。
「着なさい」
「えっ何?」
「出かけますよ」
「今から? どこに?」
訳がわからないままコートを着ると、私の首にマフラーをぐるぐると巻いて、耳当てを付けて、手袋をはめられた。私はされるがまま。すっかり雪だるま状態だ。マフラーを巻いて乱れた髪の毛を整えている彼を非難するように見つめると、子どもっぽく微笑み返された。
「星がもっと、綺麗に見られるところにですよ」
家から歩いて何分経ったか。雪の中を歩くのに慣れていないので、手を引いて貰っている。夜空の下にエスコートだ。果樹園を抜けてしばらく歩いた先に丘があり、除雪された階段を登る。
「わあ」
登り切って上を見上げると、視界が星で埋まる。
「まるでプラネタリウムみたい」
「天然モノですよ」
「とっても綺麗!」
私ははじめくんの手を離れて、丘の上ではしゃいだ。雪が積もる中飛び跳ねて、つんのめって雪に倒れ込んだら、はじめくんが呆れた顔で助けてくれた。
「鼻が赤くなってますね」
「え」
本当に? そう返答しようとはじめくん顔を見上げたら、鼻にキスされた。呆気にとられて、ぼうっとはじめくんの瞳を見つめる。その瞳は、星空に輝く月みたいに美しかった。
「そろそろ帰りましょうか。これ以上冷えないうちに」
私は頷いた。雪に突っ込んだくせに、なぜだか私の体温は上がりっぱなしだった。
Twitterにてお題を募集して「プラネタリウム」とお題を頂きました。ありがとうございました。
観月の実家、どんなのかわかんなかったので空想で書いたんですけどどこかに記述ありましたっけ? 知ってたら教えてください。
2021/02/08
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