観月はじめ
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綺麗な満月を君と
寮の屋上。満月を見上げながら、半袖から延びる冷え切った腕をさすった。羽織るものを持ってくるべきだった、昼間はまだ暑いから油断していた。そう後悔していると、肩に何かが乗っかった。
「そんな格好で外にいると、体を冷やしてしまいますよ」
肩に乗せられたのは、ブランケットだった。彼は寒いから戻れとは言わない。私が月を眺めたいのを知っているからだ。
「はじめくんがなんとかしてくれると思って」
彼はため息をつきながらも、私と並んで柵に手を置いた。
今日は中秋の名月だった。だからと言って普段月をよく見ることはないから、いつもの月と何が違うのかはあまりわからなかった。ただ、二人で眺める月は心なしか暖かく感じた。
「その通りですけど……。だからと言って、そうしていてもよい理由にはなりませんよ」
私は曖昧に彼に微笑んだ。彼の前に言葉は必要なかった。寒空の下、火照った頬を冷やしながらブランケットを握りしめた。
「月が綺麗ですね」
その真意が知りたくて、私は思わず右に立つ彼を振り向いた。目が合って、急に頭が真っ白になった。
「えっと、死んでもいいわ……?」
それはどうやら、彼の欲したフレーズだったようだ。その瞳が優しく揺らいで、なぜだか目が離せなかった。
彼の前に言葉は必要なかった。同時に、私も彼の言葉を必要としなくなっていることに気が付いた。
寮の屋上。満月を見上げながら、半袖から延びる冷え切った腕をさすった。羽織るものを持ってくるべきだった、昼間はまだ暑いから油断していた。そう後悔していると、肩に何かが乗っかった。
「そんな格好で外にいると、体を冷やしてしまいますよ」
肩に乗せられたのは、ブランケットだった。彼は寒いから戻れとは言わない。私が月を眺めたいのを知っているからだ。
「はじめくんがなんとかしてくれると思って」
彼はため息をつきながらも、私と並んで柵に手を置いた。
今日は中秋の名月だった。だからと言って普段月をよく見ることはないから、いつもの月と何が違うのかはあまりわからなかった。ただ、二人で眺める月は心なしか暖かく感じた。
「その通りですけど……。だからと言って、そうしていてもよい理由にはなりませんよ」
私は曖昧に彼に微笑んだ。彼の前に言葉は必要なかった。寒空の下、火照った頬を冷やしながらブランケットを握りしめた。
「月が綺麗ですね」
その真意が知りたくて、私は思わず右に立つ彼を振り向いた。目が合って、急に頭が真っ白になった。
「えっと、死んでもいいわ……?」
それはどうやら、彼の欲したフレーズだったようだ。その瞳が優しく揺らいで、なぜだか目が離せなかった。
彼の前に言葉は必要なかった。同時に、私も彼の言葉を必要としなくなっていることに気が付いた。
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