最初、試しに一冊だけ二次創作の本を作ったことがある。
二次創作イベントのサークル初参加に迷っていた頃、出てみたいけどでも……と二の足を踏んでばかり。時間だけが過ぎていく。
サークル参加の不安要素として、ひとり参加、初めてで分からないことが多い、とにかく不安と自信がないこと。
悩んでいるうちに、まず同人誌を作ってみようと思い立った。旧ツイッターに投稿した絵もたまってきたし、イラスト本が作れるんじゃないか、と。

オンライン入稿で印刷所に注文した、初めて自分が作った本。その時の完成品はそれ一冊っきりだ。
今までのイラストを本にして、よくよく眺めてみれば、自分の下手な絵がはっきり見えて恥ずかしくなった。いや〜これは……頒布はやめておこう、と思った。それはどのイラスト原稿もサイズがバラバラで、印刷所へ送る原稿サイズに無理やりはめこんだ形になり、出来上がりはなんだかウ〜ン……な感じになっていたのだ。やってみないと分からない。
試しに作った経験は無駄ではなく、その後は漫画の同人誌を作った。イベントに参加して頒布もした。原稿サイズをちゃんと調べたので、大きなミスも無く満足な本ができた。

過去一冊だけ作ったイラスト本は、思い出として今も自宅の本棚にこっそり仕舞われている。先日なにげなく本棚を眺めていて、ふと目にとまって懐かしくて見返した。
あとがきには、「初の二次創作お絵描き……楽しかった思い出しかありません。」と書いていた。あとがきに書いたことは覚えていないが、そう思って楽しく描いていた時期があったことを思い出せた。
思い出に残すために、自分だけのために作る一冊があっていい。自己満足本で、いいじゃないか。

もし迷ったら、また試しに一冊だけ作ってみようと思う。