小さな約束
「…あれ?あたしいつの間に?」
目を開けたら、家の近くの公園に立っていた。
もうそろそろ夕暮れ時で、子供たちは家へと帰っていく。
「いつの間にここに来たんだろ?
あたしも帰ろう」
そう思って、公園から出ようとすると女の子の大きな泣き声が聞こえてきた。
「うえーーーん!!ゆうちゃんのバカー!」
ゆうちゃん、という名前に反応して思わず女の子の方を見てみる。
そこには、小さい頃の自分にそっくりな女の子と、同じく幽助に似た男の子が立っていた。
「泣くなよ!悪かったって!」
「やだー!もうっゆうちゃんなんて大きらいだもん!」
「ゔっ‥けーこそんなこと言うなよ!」
「だってだって、けーこが大切にしてたお人形だったのに‥ゆうちゃんばっちくしたんだもん!えーん!!」
「今日はわざとじゃねーもん!
だから悪かったって言ってんだろー!」
ゆうちゃんに、けーこという名前。
そしてあたしたちに似てる子どもたち。
まさか、と思った。
他人の空似?
でも名前も同じなんてありえる?
ほっぺたをつねってみる。
‥痛い。
夢じゃない、、?
「おいーそろそろ泣きやめって!」
「ゆうちゃんの顔なんかもう見たくない!
あっち行ってー!」
昔の頃から変わらない会話に、思わず笑いそうになってしまう。
「あーもー!」
すると、男の子は女の子の顔を両手で挟み自分の方へと向かせた。
「むぐっ」
「けーこ!けっこんしよう!」
「へっ?」
「おれとけっこんしたら、いいこといっぱいあるぞ!」
「いいことってなあに?」
「人形だってぬいぐるみだっておもちゃだって、なんだって買ってやるよ!」
「ほんとにー!」
「ああ!おれにまかせろ!」
「わーい!けーこ、ゆうちゃんとけっこんする!」
チュッ
女の子は泣き止んで、男の子の頬にキスをした。
「お、おまえっ!」
男の子の頬が赤く染まった。
「ゆうちゃんほっぺ赤いよ?おねつ?」
「ちっ、ちげーよ!
ほら、早くかえるぞ!おばちゃんたち待ってるから」
「うん!」
男の子と女の子は手を繋いで公園を出て行った。
2人の後ろ姿を見て、なんだかくすぐったくて懐かしくて。
不思議な感覚に陥った。
昔から幽助はあたしを泣き止ませるために、結婚しようって言ってたんだね。
小さい頃のあたしはその言葉の意味なんてわからなくて、でも幽助がそれを言ってくれると、とても嬉しいことなんだって思って泣き止んだ記憶が蘇った。
懐かしくて、あたしの、大切な思い出。
胸の中がじんわりと温かくなるのを感じた。
「おいっ!螢子起きやがれ!」
ペチッと額に衝撃を感じて目が覚めた。
「いったー」
額をさすりながらむくりと起き上がる。
あたしの目に飛び込んできたのは、大人になった、今の幽助と見慣れた部屋。
「あれ、やっぱり夢?」
「お前寝ぼけてんのか?」
「んー。そうみたい」
「人に飯作れって言っときながら寝やがって」
「ごめんってばー!」
「まーいいや。
ほら、冷めちまう前にくおーぜ」
「うんっ」
リビングに移動して、幽助が作ってくれたチャーハンを食べる。
「美味しいっ」
「あったり前だろ!
幽ちゃん特製愛情たっぷりチャーハンだからな」
「名前長くない?」
「いいだろ別にー」
あたしたちは結婚して、半年になる。
幽助から指輪付きのプロポーズをしてもらった。
幽助に、結婚しようと言われて泣いたのは
人生で初めてだった。
「お前なんの夢見てたんだよ?
ずいぶん楽しそうだったけど」
「え?ほんとに?」
「ああ、何回かお前のほっぺたつねったけど全然起きねーでやんの」
あ、どうりで夢の中で自分でつねって痛かったわけだ。
実際につねられてたんだもの。
「ひっどーい」
「なんかおめーの寝顔見てたらつねりたくなって」
ニカっと笑って見せる幽助。
「人がせっかくプロポーズされてる夢見てたのに」
「はあ?!誰にだよ」
「教えなーい」
あたしにそんなこと言う人、
世界でたった1人しかいないに決まってるじゃない。
あたしを泣き止ませるために昔から言ってたその言葉は、
大人になって
あたしに涙を流させる言葉になった。
そしてあたしは昔から変わらず、
笑顔で幽助のその言葉に答える。
「幽助と結婚する」 ってね。
目を開けたら、家の近くの公園に立っていた。
もうそろそろ夕暮れ時で、子供たちは家へと帰っていく。
「いつの間にここに来たんだろ?
あたしも帰ろう」
そう思って、公園から出ようとすると女の子の大きな泣き声が聞こえてきた。
「うえーーーん!!ゆうちゃんのバカー!」
ゆうちゃん、という名前に反応して思わず女の子の方を見てみる。
そこには、小さい頃の自分にそっくりな女の子と、同じく幽助に似た男の子が立っていた。
「泣くなよ!悪かったって!」
「やだー!もうっゆうちゃんなんて大きらいだもん!」
「ゔっ‥けーこそんなこと言うなよ!」
「だってだって、けーこが大切にしてたお人形だったのに‥ゆうちゃんばっちくしたんだもん!えーん!!」
「今日はわざとじゃねーもん!
だから悪かったって言ってんだろー!」
ゆうちゃんに、けーこという名前。
そしてあたしたちに似てる子どもたち。
まさか、と思った。
他人の空似?
でも名前も同じなんてありえる?
ほっぺたをつねってみる。
‥痛い。
夢じゃない、、?
「おいーそろそろ泣きやめって!」
「ゆうちゃんの顔なんかもう見たくない!
あっち行ってー!」
昔の頃から変わらない会話に、思わず笑いそうになってしまう。
「あーもー!」
すると、男の子は女の子の顔を両手で挟み自分の方へと向かせた。
「むぐっ」
「けーこ!けっこんしよう!」
「へっ?」
「おれとけっこんしたら、いいこといっぱいあるぞ!」
「いいことってなあに?」
「人形だってぬいぐるみだっておもちゃだって、なんだって買ってやるよ!」
「ほんとにー!」
「ああ!おれにまかせろ!」
「わーい!けーこ、ゆうちゃんとけっこんする!」
チュッ
女の子は泣き止んで、男の子の頬にキスをした。
「お、おまえっ!」
男の子の頬が赤く染まった。
「ゆうちゃんほっぺ赤いよ?おねつ?」
「ちっ、ちげーよ!
ほら、早くかえるぞ!おばちゃんたち待ってるから」
「うん!」
男の子と女の子は手を繋いで公園を出て行った。
2人の後ろ姿を見て、なんだかくすぐったくて懐かしくて。
不思議な感覚に陥った。
昔から幽助はあたしを泣き止ませるために、結婚しようって言ってたんだね。
小さい頃のあたしはその言葉の意味なんてわからなくて、でも幽助がそれを言ってくれると、とても嬉しいことなんだって思って泣き止んだ記憶が蘇った。
懐かしくて、あたしの、大切な思い出。
胸の中がじんわりと温かくなるのを感じた。
「おいっ!螢子起きやがれ!」
ペチッと額に衝撃を感じて目が覚めた。
「いったー」
額をさすりながらむくりと起き上がる。
あたしの目に飛び込んできたのは、大人になった、今の幽助と見慣れた部屋。
「あれ、やっぱり夢?」
「お前寝ぼけてんのか?」
「んー。そうみたい」
「人に飯作れって言っときながら寝やがって」
「ごめんってばー!」
「まーいいや。
ほら、冷めちまう前にくおーぜ」
「うんっ」
リビングに移動して、幽助が作ってくれたチャーハンを食べる。
「美味しいっ」
「あったり前だろ!
幽ちゃん特製愛情たっぷりチャーハンだからな」
「名前長くない?」
「いいだろ別にー」
あたしたちは結婚して、半年になる。
幽助から指輪付きのプロポーズをしてもらった。
幽助に、結婚しようと言われて泣いたのは
人生で初めてだった。
「お前なんの夢見てたんだよ?
ずいぶん楽しそうだったけど」
「え?ほんとに?」
「ああ、何回かお前のほっぺたつねったけど全然起きねーでやんの」
あ、どうりで夢の中で自分でつねって痛かったわけだ。
実際につねられてたんだもの。
「ひっどーい」
「なんかおめーの寝顔見てたらつねりたくなって」
ニカっと笑って見せる幽助。
「人がせっかくプロポーズされてる夢見てたのに」
「はあ?!誰にだよ」
「教えなーい」
あたしにそんなこと言う人、
世界でたった1人しかいないに決まってるじゃない。
あたしを泣き止ませるために昔から言ってたその言葉は、
大人になって
あたしに涙を流させる言葉になった。
そしてあたしは昔から変わらず、
笑顔で幽助のその言葉に答える。
「幽助と結婚する」 ってね。
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