愛を込めて、
バタンッ!
「よっご両人!めでてーなー!」
「おめでとうー!!
幽助、螢子ちゃーん!!」
「これでやっと螢子ちゃんもあたしの娘か〜
!
幽助、最上級の親孝行よ!よくやった!」
リビングの隣の部屋から急に現れたのは、
桑原くん、ぼたんさん、温子さん、
そしてビデオカメラを持った蔵馬くんだった。
「えっ!?」
「お、おめーらなんでここにいんだよ?!」
「そりゃあ、我らの大将の一世一代のプロポーズを見守らなきゃと思ってさぁ!」
「蔵馬くんが、幽助から家でプロポーズするみたいだって聞いたからみんなを家に呼んだのよ〜」
「協力したんだから、それなりの報酬をと思ってね」
「協力って、そもそもおめーらが俺にふっかけてきたせいで…」
「まあまあ!一歩踏み出す勇気になったんだからいいじゃないかい!
あ、螢子ちゃん、今日は嘘ついちゃってごめんねぇ。
まあ元はと言えば幽助のヘタレがいけないんだけどさぁ」
「えっ、あっ、全然大丈夫ですよ」
急に話を振られて思わずどもってしまった。
「ちなみに今のはバッチリカメラにおさえ済みですから」
「な、なにぃー?!」
「2人の結婚式で長そうかねぇ♪」
「おっぼたんちゃんいい事言うじゃねーか!」
「ふっ…ざけんなおめーら!!」
幽助が拳を作ってポキポキと音を鳴らしながら桑原くんに近づいていく。
「あ、おい待て浦飯!なんで俺だけっ…
おあああっ!!」
こうして2人のじゃれあいが始まった。
「なんで幽助ってば桑原くんばっかボコボコにするのかしら」
「蔵馬には手が出せないだけじゃないかい?」
「それもあるかもしれないけど、ひとつ貸しがあってね」
「貸し?なんですか?」
「その花束だよ」
蔵馬くんは、あたしが抱えている花束を指さした。
「これ?」
「そう。この花たちの花言葉、幽助から教えてもらった?」
「いいえ、俺のことを無視したバツとか言って教えてくれなくって」
「ははは、さすがに幽助でも恥ずかしかったのかな」
「蔵馬くんは花言葉知ってるんですか?」
「もちろん、それを教えたのも俺ですし」
「教えてくださいっ」
「まず、螢子ちゃんが好きって言ってた青い花、あれはブルースターって言うんだよ」
「そうだったんですね!
あたし初めて知りました」
「花言葉は、幸福な愛、信じあう心。
2人にぴったりだよね」
「…素敵な花言葉、ですね」
幽助がその意味を知った上で
あの花を選んでいてくれたことがとても嬉しかった。
「そして、向日葵は
【あなただけを見つめてる】
幽助らしいよね」
ニコッと優しく微笑む蔵馬くんをチラリとみて、一本だけ堂々とした姿で咲き誇る向日葵を見つめた。
「…そんなロマンチックな演出考えてくれたのは、蔵馬くんですか?」
「いいや、幽助本人が考えたんだよ。
まあプロポーズにふさわしい花とかは聞かれたからアドバイスしたけど、バラとかマーガレットとか色々薦めてみたけど
幽助は向日葵が1番ピンと来たらしいよ」
「そう…なんですね」
「幽助ってば本当に螢子ちゃん一筋だもんねぇ」
「ええ、本当にお似合いの2人ですし」
「あれ?螢子ちゃんどこ行くんだい?」
胸に抱えた花束またそっと抱きしめ、
あたしは桑原くんとじゃれあう幽助に近づく
「幽助!!」
「あ?なんだよ螢子?」
チュッ
「愛してるわよ」
極上の笑顔で言ってやった。
「今の所撮ったかい蔵馬!」
「ええ、ずっとカメラ回してましたから」
「早く結婚式あげてほしいさねぇー!
今からワクワクが止まらないよ!」
「ですね。
でもまずは桑原くんの応急処置をしないと」
「ありゃま、桑原くんあひる状態」
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