6.答え
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
青龍は“敵の技を見切る”を得意としている事を言った。
「そうかい。 それは大したものだ」
斎藤は牙突の構えをした。
「だが 見切れても、かわせなくば意味が無い。 ましてや…」
斎藤は青龍に向かっていった。
「反撃出来ねば勝利など 絶無!!」
「委細承知!!」
青龍は再び 不気味な笑みを浮かべ、牙突の弱点である右腕に回り込み、一瞬の死角から斎藤の右腕を突いた。
「!!」
…一様…!
斎藤は再び 牙突で青龍に向かっていったが、また 右腕を突かれた。
剣心は強烈な突撃技である牙突は 一度死角に滑り込まれると反応が一瞬遅れてしまう事、青龍の武器が完全に間合いの外にあり 横薙ぎの追加技では刀が届かない事を言った。
「っ…!」
琴乃の心臓がドクンとした。
…もし…このまま……
琴乃の脳裏に、志々雄との闘いが浮かんできた。
…このまま 帰ってこなかったら―――…
「琴乃殿」
「!」
微かに震えている琴乃の肩に剣心の手が置かれた。
「大丈夫でござるよ」
「……はい…」
琴乃は自分の右拳を左手で握り締めた。
「……随分と楽しそうだな」
「!」
「わざわざ手で閉めた口が元に戻っているぞ」
青龍は詫びて 手で口を閉めた。
が、再び不気味な笑みを浮かべた。
「勝利を目前にすると どうしても な」
「愉悦欲しさに闘いに身を投じているクチか」
斎藤は牙突の構えをした。
「だったら一つ いい事を教えてやる。 勝利の前に一度 正悪に目を向けてみろ。 そうすれば 負け戦とてそれなりには楽しめる」
斎藤は青龍に向かっていった。
「またその技か! その技は既に見切ったと―――」
その瞬間、青龍は斎藤の右手に顔を鷲掴みにされた。
「ブァ…ガッ」
「どうした? これしきでもう笑えんのか」
「!」
「勝ち戦でしか笑えん様な男の軽口に これ以上はつき合い切れん。 終わりだ」
「ブギィッ」
青龍は頬骨を粉砕された。
「牙突以上にあの男を強からしめているのは たった三文字の正義。 戊辰に敗れても、新撰組を失っても 決して曲げない“悪・即・斬”」
剣心は琴乃を見た。
「きっと それは琴乃殿がいるからでござるよ」
「っ!」
剣心は再び 斎藤に視線を戻した。
「斎藤 一が 牙突が返せた程度で倒せるなら、とうの昔―――幕末の京都で 拙者と斎藤の決着はついているでござるよ」
斎藤は牙突によって 青龍の薙刀を破壊し、勝利を収めた。
斎藤は琴乃を見た。
「……なんで 泣いているんだ?」
「! ……あれ…」
琴乃の頬には涙が伝っていた。
琴乃は涙を拭ったが、次々に涙が溢れてきた。
斎藤はため息をついた。
「……ますます 涙脆くなったんじゃないか――…」
「……っ…」
涙が止まらない琴乃を、操たちは慰めた。
一方、“敵の技を模する”を得意としている朱雀と闘っていた蒼紫は、紙一重の差で押されていた。
操は蒼紫を心配し 剣心に言葉を求めたが、剣心は黙っていた。
「じゃあ 一言」
「よし。 何?」
「“蒼紫を信じろ”」
「!」
「それで 十分でござる」
「操ちゃん」
操は琴乃を見た。
「さっきまで泣いていた私が言える事でもないけど、剣心さんがそう言うなら 心配ないと思うし、一緒にいた時間が長い操ちゃんなら 蒼紫お兄さんの強さ、よくわかっていると思うよ」
「……琴乃さん」
操は笑った。
ガキィィ!
その時、蒼紫の二本の小太刀が弾かれ、砂浜に刺さった。
「勝負あったな!」
「!」
蒼紫お兄さん…!
朱雀は蒼紫に向かっていった。
「さて ヌシはどのように表情を歪ませてくれるか―――な゛ッ?!?」
が、蒼紫に顔面に拳法の蹴りを入れられた。
蒼紫は朱雀の模倣の技巧には感心したが、所詮は模倣であり 技巧一つで勝てる程、御庭番衆の三百年の武芸は脆弱ではない旨を言った。
「ぬかせ!!」
自分の油断だと思っている朱雀は蒼紫に刀を振り下ろしてきた。
が、蒼紫は容易に手で刃を止めた。
「!」
「自分の剣ゆえ、太刀筋は百も承知」
蒼紫はそのまま刀を折った。
「!!!」
「安心しろ…外法の者なら ここですぐさま始末するところだが、お前は闘いの京楽に溺れただけの只の愚者。 殺すにまるで値しない………」
操は蒼紫の勝利に飛び跳ねて 喜んだ。
良かった…
琴乃はほっとした。
その人の事を信じても、やっぱり 心配な事には変わりない――…