6.答え
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黒星から鯨波の一件の事態を収めたのが剣心だと聞いた縁は、縁の中の巴が微笑んでくれないのは剣心が生きているせいだと考え、自らの手で殺す事にした。
その頃、鯨波が捕縛された後、すぐに倒れた剣心と弥彦は、小国診療所に入院し、丸三日眠りっぱなしだった。
琴乃たちはお見舞いに来ていた。
「目が覚めたら いよいよ薫さん 救出だね!」
「………」
操は浮かない顔をしている琴乃を見た。
「…琴乃さん 大丈夫?」
「……大丈夫です。 ありがとう…」
「「「………」」」
剣心さんが目を覚ましたら 何て声を掛けたらいいんだろう―――…?
その後、斎藤は四日後に、警視庁の選抜隊で 縁がいる島に乗り込む事、それまでに間に合えば島まで運ぶが、間に合わないなら自分たちで何とかしろ旨を言った。
「いちいち振り出しに戻って、同じサイの目を繰り返す阿呆に それ以上合わせる気はない」
そのまま 斎藤は背を向けて歩いていった。
「何アレ。 やっと緋村が復活したのに」
「何か不機嫌そうね。 いつもの事だけど」
「………」
…いつも以上に不機嫌な気がする……
斎藤は剣心が鯨波に言った言葉を思い返した。
“断る。 いかな事があろうと、拙者は誰一人とて もう殺めたりはせぬ”
結局 それが貴様の振り出しか―――…
剣心と弥彦が気掛かりな琴乃は、毎日 お見舞いに来ていた。
「…剣心さんも、弥彦君もまだ目を覚まさないですね……」
「…はい」
燕は瞳を伏せた。
少しして 剣心と弥彦の病室に恵が入って来た。
「琴乃さん 心配する気持ちはわかるけど、自分の体の事も気にして下さいね」
「……わかっています」
琴乃は瞳を伏せた。
「…でも――」
…でも…もし 明日まで、このまま目を覚まさなかったら―――…
色々と考え事をしながら 琴乃は街中を歩いていた。
「!」
その時 琴乃は人に少しぶつかってしまった。
「ごめんな… !」
琴乃が顔を上げると ぶつかった相手は斎藤だった。
琴乃は斎藤について歩いていた。
少しして、斎藤はお蕎麦屋さんの前で立ち止まった。
「昼 食べるぞ」
「……また お蕎麦ですか……?」
「なんだ 嫌なのか?」
「……別にそう言う訳でもないですけど…」
「なら 決まりだ」
斎藤はお蕎麦屋さんの中に入っていった。
琴乃も斎藤に続いて お蕎麦屋さんに入った。
「いらっしゃいませ」
琴乃と斎藤は席に着いた。
「かけそばを一つと野菜そばを一つ」
「かしこまりました」
店員は一礼して 去っていった。
「私もかけそばで良かったですのに…」
「…ちゃんと野菜を摂れ」
「……はい…」
少しして、注文したそばが運ばれて来て、琴乃と斎藤は食べ始めた。
が、琴乃はあまり口にしようとはしなかった。
「…食べないのか?」
「……あまり食欲がなくて…」
「……ここん所 色々な事があったからな…」
残暑も重なっているんだろうが……
「……はい…」
「…仕方ない。 また無理矢理食わせるか…」
「!」
琴乃は首を横にぶんぶん振った。
「お店の中で そんな事…」
「お店の中じゃいいんだな?」
斎藤は悪戯な笑みを浮かべていた。
「そう言う意味ではないですっ!」
「…わかったから 拗ねるな」
「………」
「お前がちゃんと食べれば何も言わん」
辛いだろうが、後から一番辛い思いをするのも 琴乃自身なんだからな―――…
その次の日、信州で父親の一件でひと暴れした左之助が 東京に戻って来て、小国診療所を訪れた。
そして、恵から左之助がいなかった間の出来事を聞いた。
その後、弥彦も目を覚まし、左之助たちは剣心の部屋を訪れた。
夢の中で会いに来た巴から 薫が待っている旨を聞いた剣心はとても晴れやかな顔をしていた。
その日の夜、琴乃たちは警察の船に乗り 東京湾を出港した。
――夜が明け 琴乃たちは甲板にいた。
剣心にずっと話しかけられずにいた琴乃は、目を瞑っている剣心を横目で見ていた。
「………」
…剣心さん…
「琴乃さん 辛くない?」
「! …大丈夫です」
琴乃は操を見て答え、再び 横目で剣心を見た。
「…琴乃殿」
「!」
名前を呼ばれて驚いた琴乃は、咄嗟に剣心から視線を逸らした。
「…薫殿の事…すまなかったでござるな…」
「!?」
琴乃は思いも寄らない言葉に 剣心に視線を戻した。
「…剣心さんが謝る事では……。 …私の方こそ ごめんなさい……」
そう言って 琴乃は頭を下げた。
「琴乃殿」
「………」
「琴乃殿 頭を上げてくれ」
「………」
琴乃はゆっくり頭を上げて 剣心を見た。
剣心は微笑していた。
「一緒に薫殿を出迎えよう」
「……はい!」
琴乃は満面の笑みを浮かべた。
順調に物事が解決に向かってる――…
…後は…
薫さんを連れて みんなで無事に東京に帰るだけ――――…