6.答え
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手を組む様に持ち掛けた提案を 蒼紫に却下された外印は、再び 蒼紫に向かっていった。
蒼紫は二本の小太刀を収めていた鞘を蹴り飛ばし 外印にぶつけた。
そして、御庭番式 小太刀二刀流“呉鉤十字”を繰り出した。
外印は操糸を木の太い枝に巻き付け 上空に避難してかわした。
「人形繰りは 本来左右両手で行うが基本。 ここからが真の――…」
その時 外印の仮面が切れ 顔が露わになった。
「ああ…。 ここからが真の 闇の者の闘いだ」
「!」
「…それで少しは喋り易くもなったろう。 神谷 薫は何処にいる?」
外印は木の太い枝の上に避難し、幸いにして離れた 蒼紫との距離を保ちつつ 攻撃をしようとした。
が、蒼紫は御庭番式 小太刀二刀流奥義“回天剣舞六連”で木を斬り裂いた。
木の上から逃げ出した外印は、追いかけてきた蒼紫によって 追い詰められ、薫の居場所を答える代わりに、屍人形の隠し場所を答えると言う 取引を持ち掛けた。
蒼紫は外印を疑いの目で見ていた。
外印は荒川河口の西岸にある黒星物産の倉庫の下が縁のアジトである事を言った。
「……… …した」
外印は蒼紫の声が聞こえず もう少し近くに寄る様に言った。
蒼紫は外印のいる木に歩み寄った。
「掛かりおったわ! 四乃森 蒼紫!!」
蒼紫が立った場所には、外印の外法操糸術 “幾何八方囲陣”が仕掛けられていた。
「これで お前の機動力は封じたも同然。 そして…留止めがコレ…」
外印は蒼紫の足元に張ってある鋼線は、高純度の精油がたっぷり染み込ませてあり、火をつければ あっという間に燃える事を言った。
「さあ答えろ。 私の屍人形はどこへ隠した?」
「燃やした」
「!」
「滅してなお、外法者に辱められた死体たちが不憫と思って、二度と かのような目に遭わない様 火に葬して弔った」
「キィィ! サマァッ!!」
激怒した外印は鋼線を引いて 火をつけた。
蒼紫は御庭番式 小太刀二刀流“陰陽撥止”を繰り出し、外印の左肩に二本の小太刀を突き刺した。
蒼紫は炎に包まれていった。
外印はその場を立ち去ろうとしたが、外印の左肩に刺さっている小太刀には、外印が先程捨てていった鋼線がつけてあり、外印は逃げられなかった。
外印は命乞いをした。
「断る…御庭番衆にとって 任務は絶対。 そして 先刻既に言った通り…、“外法の悪党は、外法の力を以て 更なる闇へと葬り去る…。 それが 隠密御庭番衆の最後を締め括る御頭としての務めだ!!」
「ぎ…いやあああ…!!」
鋼線を引かれ 木から落ちた外印は、蒼紫と共に炎に包まれていった。
「!?」
琴乃は突然 目が覚めた。
何だろう…胸騒ぎがする……
「…どうした?」
「…いえ…少し目が冴えてしまって…」
「…体に障るぞ」
「……はい…」
…気のせいならいいんだけど―――……
早朝、胸騒ぎが収まらない琴乃は斎藤に頼んで、昨夜 不審火と悲鳴が聞こえた、既に鎮火された林の中へ 共に来ていた。
その時、一人の警官が 切れた外印の仮面を持ってきた。
「…成程 仏の身元はこれで判明」
「!」
あの仮面…
縁さんと一緒にいた人の物…
「場所が神谷 薫の墓地で、死体がコイツ。 となると――、ハデにドンパチやっていた相手は…」
「っ!」
胸騒ぎが一層増した琴乃は、辺りを探し始めた。
蒼紫お兄さん……!
その時、燃え残った木の残骸から蒼紫が姿を現した。
「…やはりお前か」
「っ! 蒼紫お兄さん…っ!」
「琴乃…? !」
蒼紫は琴乃を受け止めた。
「なぜ こんな足場が悪い所へ来た?」
「…だって…」
「琴乃の胸騒ぎの正体がお前だった と言う訳だ」
「! ……そうか…。 …着物が少し汚れてしまっている…」
蒼紫は琴乃の着物の汚れを払ってくれた。
「…ありがとうございます…。 蒼紫お兄さんも… !」
琴乃はその時 蒼紫の頬に傷がある事に気づいた。
琴乃は手拭いを出して 蒼紫の頬の傷の血を拭き取った。
「…綺麗なお顔に傷が…」
「……何れ消える…」
「………」
琴乃は悲しそうに瞳を伏せた。
蒼紫は手に付いた砂を払い、琴乃の頭を撫でた。
「……お前は心配性だな…」
「当たり前… !」
琴乃が顔を上げると 蒼紫が柔らかい表情をしていた。
「………」
琴乃は笑った。
当たり前じゃないですか
…大切なお兄さんなんですから―――…
外印から縁のアジトの場所を聞いた蒼紫は、一旦 街に戻るより ここから行った方が早い事を言った。
斎藤はよく焼け死ななかった事を言い、蒼紫は最近 二度も掘り返されて土のゆるくなった墓穴を利用すれば容易い事を答えた。
「さすがに黒髑髏と心中する気にはなれないか」
「当たり前だ。 俺にはまだ務めがある」
蒼紫は琴乃を見た。
「それに 帰りを待っている者もいる」
「! ………」
…操ちゃん
琴乃は笑いかけた。
「そうですね!」
その後、琴乃たちは縁のアジトへ向かっていった。