5.夢現つ
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「琴乃 元気やったか?」
「馴れ馴れしく呼ぶな」
斎藤は琴乃を見た。
「…もう出歩いて平気なのか?」
「! ………」
何て答えていいのかわからない琴乃は恵を見た。
「安静にしていれば大丈夫よ」
「…座っていろ」
「はい」
琴乃はソファに座った。
「あんさん 赤ん坊ができたんやってな! おめでとさん!」
「…ありがとうございます」
琴乃はそこではっとした。
「…そう言えば…張さんは一様が生きていた事を いつから知っていたんですか?」
「! …えー…今さっきや! ホンマびっくりしたで!」
「……お蕎麦屋さんで会った時に言っていた…私が困ってる時は助けが来るって言葉…あれは……?」
琴乃は疑いの目で張を見ていた。
張は咳払いして 斎藤を見た。
斎藤はため息をついた。
「…こいつに隠す様に言ったのは俺だ」
「! …どうしてですか…?」
「…お前を危険な目に合わせたなくなかった…。 まぁ 結果的に自分から関わっている訳だが…」
「…当たり前です。 剣心さんたちが困っているのに 私だけ見ない振りなんて できませんから」
そう言って 琴乃は笑った。
「! ……フン」
久しぶりに笑ってくれたな―――…
その後、斎藤は弥彦たちに用件を聞いた。
「時間が惜しいのはこっちも同じ。 手短に教えろ。 雪代 縁は今、何処にいやがる!?」
「答える必要なし 以上。 帰れ」
斎藤は煙草の煙を吐き出した。
「…一様…」
「手短過ぎるぞ!!」
操は食いかかった。
「タダとは言わねぇ。 こっちには一つ 大情報がある。 それと交換でどうだ」
「“大情報”? もしかして 神谷 薫が実は生きていたと言う類の話か?」
操と弥彦は驚きのあまり、意味不明な言葉を喋った。
「なんだ 図星かよ」
「…一様…知っていたのですか…!?」
「…まぁな。 見ろ」
斎藤は薫の外見が事細かく書かれた資料を琴乃に見せた。
琴乃は蒼紫にも見せた。
そして 押収した猛襲型 夷腕坊参號機の腹部に人一人が入れる不可解な格納庫があった事を言った。
「…どうして 教えてくれなかったんですか…?」
「あの状態のお前に言っても この資料だけでは納得いかなかっただろ?」
「! ………」
…確かに…
…一様にはお見通しなんですね――…
その後、恵はどうして警察が動かないのか問いた。
斎藤は縁捜索の方が優先事項である事を言った。
「一様…」
「………」
斎藤はため息をついた。
「神谷 薫はヒマな時に探してやる。 今日はもう帰った 帰った」
納得いかない弥彦は斎藤に、縁の新アジトの情報を教えくれるなら 自分たちで薫の捜索をし、それによって 斎藤は縁の捜索に専念できると言う 取引を持ち掛けた。
煙草の火を灰皿に押し付けて 消した斎藤は琴乃の横に座って 足を組んだ。
そして、弥彦の提案に乗り、正確な位置はまだ確認できていないが、新アジトが荒川河口辺りを睨んでいる旨を言った。
操と弥彦は早速向かっていった。
「二人共 気をつけてね――」
斎藤はノリに呆れていたが、蒼紫は弥彦を褒めた。
「抜刀斎が見込んだ少年だと言うのが 少々わかる」
「………」
「だが その抜刀斎の方が壊れたとあってはな。 …してやつの方はどうなっている?」
斎藤はマッチに火を付けた。
「“落人群”に落ちぶれたと聞くが まだ壊れたままか?」
「!」
剣心さんの姿を見ないと思っていたら…そんな所に……
「“聞く“って あなた会ってないの?」
「会う気にもならん」
斎藤は煙草に火を付けた。
「このまま奴がくたばれば 奴の敗北、それだけの事。 そっちの伊達男には以前話したが、俺と奴との決着は”生き残る”の一言に尽きるんでな」
「抜刀斎はここでくたばる様な弱い男ではない。 それは 奴とつき合いが一番長いあんたが一番よくわかっているはず」
蒼紫は横目で斎藤を見た。
「決着はまだ当分先の事…」
斎藤は背を向けて歩き出した。
「それならそれで結構な事だがな。 決着はやはり直接対決となれば申し分ない」
「! ………」
琴乃の頬を冷や汗が伝った。
またあの日の闘いの様な……
その時、琴乃の頬に手が添えられた。
「!」
「顔色が悪いな。 今日は帰って休め」
「……はい…」
その後、蒼紫は警察が縁捜索に全力投入している理由を問いた。
斎藤は組織のNo.2が上海から東京に入って来た事、組織が武器を独自に改良する特殊な技能を持っている危険性を供えている事を言った。
その頃、薫と縁がいる断崖絶壁の孤島に、週一回来る連絡船に乗り 組織のNo.2である呉 黒星とその部下である“四星”が到着していた。
連絡船を脱出の好機だと考えていた薫は、身の安全を確保した上 船を操らせる為に、縁を人質に取ろうと動き出し、テラスにいた縁を襲いかかった。
縁は自分の中にいる巴が微笑んでくれない事に悲鳴をあげ、薫を殺そうとした。
が、過去のトラウマにより 体が拒絶してしまい、薫を殺せなかった。
雪代 縁は私を殺さなかったんじゃなくて…
殺せなかったんだ―――…