5.夢現つ
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蒼紫たちが薫の亡骸が人形である事を突き止めた頃、薫は東京湾上にある断崖絶壁の孤島にいた――…
操は剣心に 薫が生きている事を伝えに行く事を提案した。
が、蒼紫はまだ早いと言い、今伝えても 再び流浪れて 神谷道場には二度と戻って来ない旨を言った。
「“答”を見つけて立ち上がるのは、自分自身に他ならない―――」
恵は反論しようとしたが、弥彦は立ち上がった“経験者”に従う事にした。
「…だが 今、伝えるべき人物はもう一人いる――…」
操と恵は 琴乃が入院している小国診療所を訪れていた。
「琴乃さん!」
琴乃が入院している事を先程 知った操は、琴乃の病室の扉を勢いよく開けて 中に入った。
「! …操ちゃん」
「琴乃さん 体、大丈夫?」
「…大丈夫だよ。 ありがとう…」
「っ!」
琴乃が笑ってくれない事に操は心を痛めた。
「顔色は良さそうね」
「恵さんの看病のお蔭です」
「そう。 ずっと病室も息が詰まるでしょ? …少し外に出ない―――?」
琴乃は操と恵に連れられ 神谷道場にやって来た。
「やっと来たか」
「弥彦君に…蒼紫お兄さん…」
「お前に見せたいものがある」
そう言って 蒼紫は薫の亡骸の人形が入っている桶を示した。
「…それは…」
血と肉の匂い…
「……中身を見せる前に言っておく。 物を見て 驚きのあまり、また体調を崩されても困るからな」
「…?」
「神谷 薫は生きている―――」
「!?」
琴乃は目を見開いて驚いた。
「……嘘…。 …だって 葬式も埋葬も済ませたって……」
「“嘘”じゃねェよ」
弥彦は桶の蓋を開けた。
中には薫の亡骸の人形が入っていた。
「……薫…さ… !」
その時、体から出ている不自然な鋼線に気づいた。
「……これは…?」
「人形だったんだ」
「…え…?」
「だから、俺たちが薫の遺体かと思っていたのは 人形で、薫本人はどこかでまだ生きているって事だ!」
「…薫さんが…生きて……っ…」
やっと事を理解できた、琴乃の瞳から涙がぽろぽろと流れ落ちた。
蒼紫と操は琴乃を慰めた。
薫さんが生きているんだ―――…
その後、弥彦は自分たちが今すべき事は、剣心が自分の力で立ち上がった時に すぐ動ける様、薫の居場所を突き止める事である事を言った。
「ああ…。 手掛かりは無い。 だが 一人、必ず東京に現れる奴がいる。 まずはそいつに対して ワナを張る」
弥彦はワナを張るだけでは時間が掛かる事を言って、別に手掛かりがある事を言った。
弥彦は琴乃を見た。
「!」
…まさか…
「相手はムチャクチャ手強いけどな!!」
弥彦の提案により、琴乃たちは斎藤がいる警視庁にやって来た。
操と弥彦は二人で作戦を組んでいた。
「操ちゃん、弥彦君 私がいれば大丈夫だと思うけど…」
「いいんだよ! 琴乃を利用したとなったら あいつ うるさそうだし!」
そして、操と弥彦は先に警視庁に入っていった。
「………」
「本人たちがやる気になっているんだ。 好きにさせとけ」
「……はい」
一方、斎藤は資料室で、走り廻って クタクタになりながら張が集めてきた書類に目を通していたが、資料不足でもう一度かき集めてくるように言った。
張はそれに激怒していた。
そこに、お寿司屋さんに変装した操とお蕎麦屋さんに変装した弥彦が入って来た。
が、一発でバレた。
「なんでもいい。 邪魔だ。 とっとと失せろ」
斎藤は手でシッ シッと払った。
「かくなる上は」
「力ずくで!!」
【藤田警部補 琴乃さんと面会人の方が来ましたよ】
そこに 浦村署長に連れられ、琴乃たちが入って来た。
「なんじゃそりゃあ!」
「おや 来てたのかね」
「ごめんね 弥彦君。 …五郎様の部屋に向かっていたら、署長さんに会って…」
「それで 私が藤田君の所まで案内したんです」
「……だいたい蒼紫はここじゃ お尋ね者じゃねェのかよ!」
「いや 事情は高荷さんから聞いてね。 四乃森さんは琴乃さんのお兄さんと言う事もあって、まあここは一つ目を瞑ろうかと…」
「あんた 人良過ぎ!」
弥彦はその後も署長に文句を言っていた。
「座禅を組むのは いささか飽きたか……」
「………」
「! ………」
蒼紫お兄さん――…