5.夢現つ
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剣心と縁の私闘が始まったが、小手調べをして なかなか飛天の剣を見せてこない剣心に痺れを切らした縁は、日本刀の速さと斬れ味に 大陸特有のしなやかな動きと力技を融合させた“倭刀術”、その一つの技である“蹴撃刀勢”を繰り出してきた。
火が付いた剣心は再度 縁に黒メガネを外す様に言った。
「ソレは俺を過小評価してるのカ? それとも 自分を過大評価しているのカ?」
「どちらでもござらん。 ただ拙者は お前を傷つける為にではなく、止めるために闘うのでござる」
やっと火が付いても 炎になるまで時間がかかると判断した縁は、剣心が本気になるまで 昔語りをしながら闘う事にした。
「さて ココで問題。 少年は盗むだけで済むはずのところ、何故 わざわざ一家を皆殺しにしたのでショウ?」
「………もういい…」
「答え① 一家が反抗したカラ。 答え② 少年はタダの殺人狂。 答え③ 非常な人斬りに一番大切な姉を殺され 幸せを奪われた少年には、幸せいっぱいに暮らす一家が我慢ならなかった」
「もう今は喋るなッ 縁!」
「正解は 言うまでもなく 答え③」
少し炎が立った剣心は “龍巻閃”を繰り出したが、縁の倭刀術 “回刺刀勢”によって返されてしまい、左腕を刺された。
「剣心!」
「剣さん!」
「阿呆が。 “龍巻閃”は返し技として使ってこそ 最も威力を発揮する技。 それを先打ちして 返されやがって」
「……!」
剣心さん 少し冷静になって…!
「剣心ッ!!」
薫が剣心の名を呼んだ時 縁の視線を感じ、薫の顔が青ざめた。
縁は薫に歩み寄ってきた。
「そして 十年、少年はついに姉を殺した人斬りを見つけました。 ところがなんと その人斬りは名を変えて、“次”を見つけて幸せに暮らしていました」
この闘いの前に、剣心に 傍で薫を守るように頼まれていた琴乃は、薫を庇うように 前に立った。
「…琴乃さん…」
「大丈夫」
「少年はとても我慢なりません」
剣心は薫を護る様に 左腕を前に出した。
そして 完全に炎が立ち 目つきが変わった剣心と縁は 本番の勝負となった。
「オイ」
「!」
「これ以上面倒が起きるのは御免蒙る。 今の内にサッサとここから遠くに退け」
薫は縁の眼の事を言った。
「貴様は“緋村 剣心”の最大の“弱点”。 戦況が悪くなれば 奴は容赦なく狙ってくる」
薫は自分が動く事によって 剣心と縁の闘いに水を差したくない事を言った。
斎藤は煙草の煙を吐き出した。
「言っておくが 事態が起きても俺は一切手助けはせんぞ」
「わかってます」
薫は斎藤を見た。
「あなただって もともと半分近くは剣心の敵なんですから」
「半分以上だ。 訂正しておけ」
琴乃は微笑した。
「何かあった時は私が守るよ 薫さん!」
「!」
「…琴乃さん」
「それに…」
琴乃は斎藤を横目で見た。
「私が出るとなったら 嫌でも貴方は出てくれるでしょ?」
琴乃は悪戯な笑みを浮かべた。
「………」
斎藤はため息をついた。
「……俺への当てつけか…?」
……少し 性格が強引になったんじゃないか…?
「…そんな事ないですよ」
正面を見た琴乃は しれっとしていた。
「………」
琴乃さん…上手い…
その後、剣心と縁の睨み合いが続いていたが、薫の声援によって動き出した。
縁は倭刀術 “掌破刀勢”を繰り出し、剣心は飛天御剣流 “龍槌閃”で翔んで かわした。
縁は倭刀術 “朝天刀勢”で上空に翔んだ剣心を打ち上げた。
が、剣心は鯨波たちが乗り捨てた気球を足場にして 飛天御剣流 “九頭龍閃”を繰り出してた。
地面に叩き付けられた縁であったが、精神が肉体を凌駕している状態にある縁は立ち上がり 不気味に笑っていた。
「勝負の結果がそのまま 生死の結果。 勝者には“生”、敗者には“死”だ」
「…それじゃあ ただの私闘じゃなくなってしまう…」
「奴は最初からその気だったと言う事だ」
「!」
…剣心さん…
縁は刀を逆手に持った。
「ひとまずここで “決着”と行こうカ」
そして 奥義を打ってくるように言った。
剣心は縁の巴への想い、自分への怨恨の念は間違っていないと言った。
「だが お前のこの十五年の生き方は 絶対に間違っている」
剣心は刀を鞘に収めた。
「今、ここでそれを 斬り払う」
そして、剣心と縁の剣気がぶつかり合った。
その剣気によって、脇腹を打たれて戦線を離脱していた鯨波が 復帰しようとしていた。