5.夢現つ
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八ツ目は琴乃と斎藤に向かって来た。
「!」
斎藤は琴乃の体を抱き寄せ 寸前のところでかわした。
「フン」
八ツ目は地面を潜り始めた。
斎藤は煙草に火をつけて 吸い始めた。
「一様 刀を」
琴乃は自分の刀を抜いて 斎藤に刀を差し出した。
「必要ない。 その刀を化物の血で汚すわけにはいかん」
「………」
琴乃は仕方なく 刀を鞘にしまった。
その頃、八ツ目は万弾地雷砲で結界を作っていた。
【上から踏むか、俺の手中の操作線によって起爆する。 この通り――】
八ツ目が操作線を引くと、万弾地雷砲が起爆し 土砂が舞い上がった。
「!」
すごい威力…
迂闊に動けない…
「琴乃 俺の傍を離れるなよ」
「…はい!」
【この状況で女の心配か? お前も抜刀斎と同じく 女の事になると目の色が変わる口か】
「奴と同じにするな。 妻を護るのは夫の役目だ」
「! ………」
琴乃は頬を少し赤くした。
【ククク。 いくぞ。 これで貴様らの最期。夫婦仲良く あの世にいけるんだ。 光栄に思え】
「っ…!」
斎藤は琴乃の肩に手を置いた。
「…一様…」
八ツ目は全地雷を一斉に起爆させた。
「いくぞ!!」
地面の中から姿を現した八ツ目は、地雷を囮にし 上から自分自身で止めを刺す作戦だった。
が、その単純な作戦は琴乃と斎藤に読まれていた。
琴乃と斎藤は八ツ目より上に跳んでいた。
斎藤は八ツ目の体を掴んだ。
「見え見えなんだよ 阿呆が」
「ぐおおおお!!」
グシャァアッ!!
そして そのまま地面に叩きつけた。
琴乃は地面に着地した。
「っ…」
その時、下腹部に鈍い痛みが走った。
久しぶりに体 動かしたからかな……?
「そろそろ返せ。 化物の血で錆びつかせるには惜しい業物なんでな」
斎藤は八ツ目の左腕から刀を強引に抜いた。
八ツ目は激痛のあまり 悲鳴をあげた。
「後先を見失い 私闘にしか生きられぬ奴など、“悪・即・斬”に到底及ばぬ が、お前は琴乃をも標的にした。 それで十分値する…」
斎藤の目つきが鋭くなった。
「死ね」
「待って!」
琴乃は両手を広げて 斎藤と倒れている八ツ目の間に割って入った。
「…なぜ邪魔をする? お前を殺そうとした奴だぞ」
琴乃は首を横に振った。
「…そうかもしれない。 …でも、もう 闘える状態じゃない人に止めなんていらない…そうでしょ?」
斎藤は、琴乃と 横からやってきた剣心の説得によって 刀を下ろし、血を払って 鞘にしまった。
「…一様…」
「……お前が標的にした相手と仇と狙った相手に命 助けられてりゃ世話無えな」
剣心の言葉に八ツ目は戦意を失くし、項垂れた。
そして、要求通り 縁以外の五人を撃破し、縁が徐々に降りてきた。
「一様 お怪我は?」
「大した事ない」
その後、斎藤は 歩み寄ってきた左之助に、剣心と縁の闘いに手を出さない様に釘を刺された。
斎藤は、今回の任務の最大の目的が 志々雄のほかに反乱を企てている輩の首を押さえる事であり、雪代 縁の武器流通の顧客名簿の入手が第一の目的とし、雪代本人は二の次である事を言った。
「俺が直接手を下すのは、打った“もう一手”が名簿の入手に失敗した場合。 それまでは私闘でも復讐でも なんでも勝手にするがいい…」
その頃、横浜にある縁たちのアジトに忍び込んで 調べ物をしていた張は、地下室で驚くものを見つけていた。
薫から逆刃刀を受け取った剣心は、気球から降りてきた縁と向かい合った。
縁はマントを取り、刀を抜いた。
その刀は 拵えは大陸のものだったが、刀身は日本刀で、戦国期まで主流だった“太刀”だった。
――そして 剣心 対 縁の闘いが始まった…