5.夢現つ
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左之助と戌亥の闘いは、拳打同士のぶつかり合いだった。
戌亥は“無敵流・轟斧爆”を繰り出してきたが、左之助には効かなかった。
続いて 戌亥は締・極・投の三種複合技である“阿修羅砕”を繰り出し、左之助は手当てを受けている剣心がいる道場の中まで吹っ飛ばされてきた。
左之助は恵の忠告を受けて尚、最後になる“二重の極み”を出す事を決意した。
その後、左之助は戌亥に向かっていき、“二重の極み”を繰り出した。
左之助の右拳は砕け、戌亥の鉄甲も砕け 相討ちの様に見えたが、戌亥の両腕も破壊されていた。
そして 左之助は頭突きをして 戌亥を倒し、勝利した。
左之助と戌亥の闘いが終わり、道場は静かになった。
「………」
どうやら 勝負が付いたみたい…
左之助さんなら恐らく大丈夫だと思うけど……
…今は―――…
琴乃の目の前では、弥彦と乙和が向かい合っていた。
殺し方を考えてきた乙和は今日入手したばかりの暗器“毘沙門剣”を出してきて 攻撃をしてきたが、太刀筋は大雑把で踏み込みも出鱈目で 素人剣法だった。
「自慢の一品の割には 切れ味大した事ねェな」
「…弥彦君 油断は禁物よ!」
…でも…どう言う事…?
暗器と言う割には 今のところ普通の剣の様だし…
あの乙和と言う人…剣の扱い方がまるで成ってない……
剣術は自分の方が上を判断した弥彦は攻め込んだ。
その時、弥彦を心配した薫が道場から姿を現し 弥彦に忠告したと同時に、乙和は“毘沙門粉”を弥彦にかけてきた。
「目潰し?」
「それとも毒?」
「!」
…いや違う…
あの粉から薬品の匂いではなく、微かに砂の様な匂いがする…
準備が完了した乙和は再び 弥彦に向かって来た。
その太刀筋は比べ物にならない程 早く、咄嗟にかわした弥彦だったが、太刀筋が途中で曲がり 斬られた。
「!?」
太刀筋が曲がった…?
…まさか あの粉……
…だとしたら あの剣は……
琴乃は“毘沙門剣”と“毘沙門砂”の正体に気づいた。
また、乙和が懐紙で刃を拭いている時に、“毘沙門剣”に“毘沙門砂”が不自然にくっついているのを見て 薫も正体に気づいた。
琴乃と薫は乙和に、“毘沙門剣”と“毘沙門砂”の正体が鞘の磁力が帯びた磁石剣と砂鉄で、太刀筋の高速自動追尾が可能である事を話した。
「御名答。 なかなか聡明なお嬢さん達だ」
仕掛けがわかった弥彦は乙和に向かっていったが 少し顔を斬られ 倒れ込んだ。
乙和は攻撃を仕掛けてきたが、弥彦は乙和の腰に差してあった磁石の鞘を取っており “毘沙門剣”は鞘の方へ引き寄せられて、毘沙門剣”を攻略した。
「あなたの方こそ、うちの弥彦を あまりなめない方がいいわよ…」
「………」
相手の切り札を封じたはずなのに…
…胸騒ぎがする……
「いくぞ!!」
一気に勝利を確信した弥彦は“見様見真似 龍槌閃”で乙和に向かっていった。
が、奇抜な襟飾りである暗器“六道蠱”によって 体を六ヶ所刺されてしまい、弥彦は悲痛な叫び声をあげた。
弥彦の体からは血がボタ…ボタ…地面に流れ落ちていて、“六道蠱”から解放された弥彦は 竹刀を握ったまま ぐったりとした。
「!?」
これ以上は見てられない…
…このままではあの子を死なしてしまう……
琴乃は刀を鞘から少し抜いた。
薫の顔は青ざめていた。
「弥…彦…」
その時 薫の肩に手が置かれた。
振り返ると 剣心が立っていた。
「よく戦った…」
剣心は横目で琴乃を見た。
「琴乃殿も 柄から手を離して大丈夫でござるよ」
「……でも…」
剣心さんが闘っては 体力を消耗してしまう……
剣心は乙和に視線を戻した。
「後は拙者が引き受ける」
「待って…くれ…よ」
「「「!」」」
弥彦がゆっくりと立ち上がった。
「守られてばかりいたらもう これ以上強くなれない」
が、直ぐにまた倒れた。
剣心は弥彦の心意気を感じ、“不殺”の信念を預けた。
そして 弥彦と乙和の闘いが続行し、弥彦は竹刀を構え、乙和は腰に差してあった 刀を抜いて構えた。
乙和は弥彦に刀を振り下ろしてきた。
「神谷活心流 奥義の防り“刃止め”!」
弥彦は両手の甲で乙和の刀を防いだ。
「神谷活心流 奥義の攻め“刃渡り”!!」
そして、手の甲を刃に滑らせて柄尻で穿った。
乙和は“六道蠱”で反撃しようとしたが、退く事を意識していた乙和と、攻める一点に集中し 生に強い執念があった弥彦とでは明確な力の差が出た。
結果 弥彦は勝利した。
その後、意識を失った弥彦は恵に手当てをされた。
「どーすか 師範代? 一番弟子の成長振りは?」
「え?」
弥彦が無事で安心した薫は 腰を抜かしてしまっていた。
「なんにしても 情けねェ事に変わりねェな」
「そーねェ」
「もう!!」
「薫さん」
薫は琴乃を見た。
「弥彦君の成長が楽しみですね」
「……うん!」
薫は笑った。
【―――……闘いの最中に談笑とは、相も変わらず ここの連中は阿呆ばかりか……全く 琴乃にも悪影響だ】
「「「!」」」
「……!?」
…今の声……まさか………