5.夢現つ
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左之助は鯨波の砲弾を撃ち返して折れてしまった斬馬刀で、戌亥の鉄甲を破壊しようとした。
が、新・無敵鉄甲となっていた為、傷一つ付かず、斬馬刀が砕けてしまっただけだった。
二重の極みが使えず、武器も無くなってしまった左之助は、一釜的に戌亥にやられていた。
乙和は動かない剣心に、左之助を見殺しにするのかを問いた。
「…もしここでくたばるならば、相楽 左之助は最初から それまでの男だったと言う事でござる」
左之助を自分と肩を並べて闘える男だと思っている剣心はそう答えた。
「………」
剣心さん 本当に信頼しているんだな…
“動”と“静”の膠着状態となり 人誅完成を危惧した外印が、猛襲型 夷腕坊参號機と共に地上に降りてきた。
動かざる得なくなった剣心は横目で琴乃と弥彦を見た。
「!」
琴乃は闘いの前の作戦会議の後、剣心にこっそり言われた言葉を思い返した。
「琴乃殿」
琴乃は振り返って 剣心を見た。
「何でしょう?」
「…もし 弥彦が闘う事になったら…弥彦の援護を頼む」
「弥彦君が闘う前に私が闘います」
剣心は首を横に振った。
「琴乃殿…最近ずっと 体調が優れないのではござろうか?」
「!」
琴乃は驚いて 瞳を伏せた。
「……だから、今回の闘いは極力 琴乃殿の力を借りずに乗り切りたいと思っているでござるよ…」
「…でも…!」
「薫殿、恵殿 女性同士じゃないと何かと不便な部分もあるでござろうし」
「! ………」
「…それに 今は小さな事がいずれは取り返しの付かない事になってしまう事もある……。 落ち着いたら 恵殿にちゃんと看てもらった方がいいでござるよ――…」
そう言って 剣心は笑いかけた。
剣心は斬撃で乙和の暗器“梅花袖箭”を破壊し そのまま外印のもとに向かった。
そして 剣心に代わり、弥彦が乙和の相手をする事になった。
琴乃は弥彦の援護を直ぐ行える様に、柄に手をかけた。
外印は猛襲型 夷腕坊参號機の中に入り、剣心 対 外印の闘いが始まった。
猛襲型 夷腕坊参號機は、表面のゴムは打撃を無効化する“衝撃吸収機巧”、外印の指の動きに合わせて自在に回転する“自由回転機巧”、関節部は樽と鋼線で作られている“自由脱着機巧”…“機能美”を追求したものだった。
圧倒的な防御力と人間を超えた駆動力を持つ 猛襲型 夷腕坊参號機を操る外印だったが、外印自身は剣心に私怨は無く、機巧技術向上の為に戦場に身を置く為に剣心と闘っていた。
その事に怒った剣心は猛襲型 夷腕坊参號機に向かっていき、“龍翔閃”で右腕を攻撃した。
そして、表面のゴムが斬撃により限界まで伸びきったところから 更に刀身に巻き込んで伸ばし ねじ斬った。
剣心は上空の気球の中で高みの見物をしている縁を見て 怒鳴った。
「“降りて来い”だと…? 判ってないナ。 貴様は俺に命じれる立場じゃないだろ」
「………」
「見上げる貴様と…見下す俺……この位置がそのまま互いの立場」
姉さんを殺した貴様と 殺された俺――――
「人斬りの罪を犯した貴様と 人誅の罰を下す俺の立場…!」
琴乃は剣心を見た。
「………」
剣心さん…
琴乃は瞳を伏せた。
人斬りの罪は…いつになっても消えることはないかもしれない……
…でも……
…報われる事もないの―――…?
その後、縁は闘う相手がいなくなったら自分が降りることを言った。
縁との話を終えた剣心は、強力なコークスクリュー貫手である“穿腕撃”を直に食らってしまい 吐血した。
外印は“自由回転機巧”により 剣心の背後を取り “穿腕撃”を繰り出してきた。
が、剣心はさっき斬り落とした猛襲型 夷腕坊参號機の右腕を縦にして防いだ。
「“人形遊び”だよ…」
「!」
「どんなに優れた機巧を作ろうと 使おうと、血の味も痛みも知らないうちは お前のやる事全て 遊びで終わる」
守り手になっていた剣心は刺突で 猛襲型 夷腕坊参號機に入っている外印の左腕を狙おうとしたが、外印の居る胴体部分は銃弾や槍・刀などから防御される“対刺突性装甲機巧”で出来ていた。
それでも剣心は向かっていき、猛襲型 夷腕坊参號機の体に刺突を入れた。
刺突が効かなかった猛襲型 夷腕坊参號機は指をドリル回転させ“穿指穿腕撃”で攻撃を仕掛けてきた。
…が、途中で指が止まった。
原因はさっき剣心が刺突を入れた時、小石を猛襲型 夷腕坊参號機に入れ 機巧を停止させた為だった。
「飛天御剣流奥義・天翔龍閃!!」
「ぐおあああぁあぁ…!!!」
外印が入っている猛襲型 夷腕坊参號機は打ち上げられ 地面に激突し 無惨にも壊れた。
「“この場”は 機能美及ばず、私の負けだ」
外印に勝利した剣心は縁を見上げた。
が、薫たちに呼ばれ 傷の手当をする為に一度道場に戻った。
やっぱり剣心さんはすごい…
…剣心さんが負けるなんて……
琴乃はそこではっとした。
そんな事言ったら…きっと 貴方は怒るのでしょうね―――…